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"iPhone、米国では作れないのか" "そのような働き口は再び帰ってこない" なぜ?

原文入力:2012/01/24 22:09(2301字)
ク・ポングォン記者

NYT,アップル部品国外調達の背景 深層報道 注目
中国が工場柔軟性・速度・労働者熟練度で優越
国内業者も速度競争…職場ストレス より増大

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 去る13日アップルは人権団体の圧力により協力会社の労働条件と人権保護義務遵守を明らかにしたホームページを作り、部品供給業者156ヶ所を初めて公開した。ベールに包まれていた企業等が明らかになったが、関心を引いた米国のガラス製造会社コーニングは入っていなかった。これでアイフォン ディスプレイにコーニングのゴリラグラスが使われているかを巡る長期にわたる論争も終わった。 iPhone使用者は簡単に割れるiPhoneのガラス画面が硬いことで有名なゴリラグラスか否かを巡り論争を繰り広げてきた。 名簿には中国深せんにあるレンスウォン テクノロジーが入っていた。 レンスウォンは2006年に作られた職員9500人規模の会社で、携帯電話画面用ガラスを作りノキア、モトローラなど主な企業等に納品してきた。

 執拗なほど高い品質を追求するというアップルはなぜ硬いと言われるゴリラグラスの代わりに中国産ガラスをiPhoneに採択したのだろうか? <ニューヨークタイムズ>は去る21日付に前・現職アップル役職員、協力業者関係者など40人余りをインタビューした深層取材記事‘米国はなぜiPhoneを製造できなくなったのか’を載せ、その背景を報道した。

 <ニューヨークタイムズ>記事によれば、2007年iPhone発売を一ヶ月ほど後に控えて試作品を使ってみたアップルの最高経営者スティーブ・ジョブスは開発者を呼んで激しく叱責した。 ジョブズがジーンズのポケットから鍵とともに取り出したiPhoneのプラスチック画面には鍵によるかききずが鮮明についていた。ジョブズは「私はきずの付く製品は売らない」として「ガラス画面の設計を変えること、6週以内に完ぺきに」と要求した。 アップル役員はジョブズの指示直後に中国深せんに飛んで行った。ジョブズが要求した条件を満たせる所はそちらだけだった。 アップルはコーニングをガラス部品プロバイダとしてすでに選択した状態だったが、量産に必要な空間とテスト、中間熟練度の技術陣などの条件をコーニングが満足させられなかった。 アップル役員が会った中国の業者はすでに新しい建物を作っていたし、テストに必要なサンプルと技術陣をほとんど無料で使うようにした。 この業者は工場寄宿舎があり、24時間いつでも作業をさせることもできた。 アップルはこの会社と契約した。

 アップル技術陣が1ヶ月余りの実験の末にiPhone用強化ガラスの切断技術を開発し遂げた2007年中盤、強化ガラス部品がトラックにのせられ8時間の距離にあるポクスコン工場に到着した。 深夜12時頃だったが管理者は寄宿舎職員8000人余りを起こし、菓子一切れと飲み物だけを提供し30分の準備時間の後に直ちに作業に投じた。 96時間後に工場は一日1万台のiPhoneを生産することになり、アップルは3ケ月間に100万台のiPhoneを販売することができた。

 このエピソードを明らかにしたアップル前役員は「速さと柔軟性が驚くべき水準だった」として「米国にはこれに対抗できる工場がない」と断言した。 昨年2月、バラク・オバマ米国大統領はシリコンバレーで情報技術業界の主要人物らと夕食をしながらジョブズに「なぜiPhoneが米国で作られえないのか」と尋ねた。 当時ジョブズは「そのような働き口は二度と米国には戻らないだろう」と躊躇なく話したと参席者が伝えた。 単に安い人件費のためではなく、工場の速い速度と柔軟性、労働者の熟練度の側面で中国が米国を上回るためというのがアップル経営陣の見解だ。 アップルの製品調達マネジャーを務めたジェニファー、リゴニーは「ポクスコーンは一夜にして新たに3000人を採用できる」として「米国ではこのような採用規模と、彼らを寄宿舎に住ませることが不可能だ」と話した。

 昨年アップルの売上は1080億ドルで、ミシガン、ニュージャージー、マサチューセッツ3州の予算総額を越えるほどだったが、製造の国外依存により国内雇用誘発効果は非常に低い。 このような傾向で米国ではますます製造業働き口は減って、サービス部門の働き口がその場を埋めている。 米労働統計局資料を見れば、自動車製造で1000個の働き口は4712個の関連働き口を追加で作り出すが、1000個の病院働き口は672個を作るだけだ。 物流、倉庫、部品製造など関連働き口が減って、結局は中産層の崩壊につながるというのが米国専門家たちの分析だ。

 国内製造業者も速度と柔軟性を高めるために腐心している。 サムスン電子とLG電子などは研究開発陣に寄宿舎を提供し、速度を上げていて、市場の変化に柔軟に適応するためにいつも戦略を変えている。

 2009年5月、米国の時事週刊誌<タイム>は‘未来職場の変化’で‘速い速度と高い柔軟性、そして高いストレス’を予告した。 生存のための速度と柔軟性が高いストレスとしてすでに現実化している。

ク・ポングォン記者 starry9@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/515904.html 訳J.S