原文入力:2009-03-09午前12:39:22
ドル汲み出して ‘絶対不足’ ブーメラン
メリルリンチに投資して18億ドル飛ばす
リーマン引受企図2ヶ月でリーマン破産
アン・ソンヒ記者
←韓国で導入した政策と米国で起きた事件
←政府が推進した金融政策と現在結果
“今は前後半戦が変わったのでゴールポストを変えることだ。”
先月26日ホ・ギョンウク企画財政部1次官がドルの国内流入を促進するための‘外貨流動性拡充方案’を発表してした話だ。ホ次官は「公企業国外借入抑制は当時ウォン貨(韓国ウォン)が大きく切上げされて導入したもの」として「もう条件が変わったのでそれを変えるということ」と説明した。
政府はこの頃、変わった‘ゴールポスト’に適応するのに考える余裕すらない。1年前まで政府の金融政策は‘あふれるドル’を外に汲み出して‘先進金融技法’を習うことに焦点を合わせていた。こういう政策基調と方向は参加政府の時に芽生え、イ・ミョンバク政府になっても修正されるどころかさらに強化された。状況が完全に変わった現在、政府は態度を変え「前代未聞の金融危機のため」と解明する。だが振り返ってみれば、世界金融市場に明確な暗雲が近づいた時点でもこれに気づかずにゴリ押しした政策が多い。そのうちの相当数は今でも深刻な後遺症を残している。
■国外ファンドへ投資しろ
2007年6月1日、政府は国外ファンド非課税措置を施行した。2006年から始まった国外ファンド投資熱風はこの措置でより一層強まった。施行初日から五日間で国外ファンドに1兆6226億ウォンが流入したほどだ。当時ウォン-ドル為替レートが4年連続下落して、過剰流動性で不動産価格が急騰するや政府はどうにかドルを外に汲み出そうと努めていた。政府はファンドだけでなく国外不動産投資も奨励に出たし国外送金も大幅自由化した。
結果は凄惨だ。金融投資協会資料によれば去る2月末、国外株式型ファンドの投資元金は54兆2770億ウォンだが、評価額は27兆2180億ウォンだ。文字どおり‘半分’だ。為替レート上昇効果も大きくなかった。国外ファンド運用会社らがドルを買い先物為替売りで為替ヘッジをしてしまったためだ。当時の財政経済部高位関係者は非課税措置施行数ヶ月後「為替ヘッジ変数を計算できなかった」と打ち明けることもした。運用会社らの為替ヘッジが今になって‘ブーメラン’として帰ってきてドル不足現象を煽っている。
■外国為替保有額でメリルリンチ株式買い入れ
韓国投資公社(KIC)は昨年2月‘外国為替保有額’でメリルリンチの株式20億ドル分を買い入れた。すでにサブプライム事態でメリルリンチの株価がぽつぽつ下がっていた時期であった。憂慮の声もあったが政府と公社側は‘世界的投資銀行を安値に買うことができる絶好の機会’と主張した。
メリルリンチは昨年9月バンクオブアメリカ(BOA)に引き受けられ、投資公社が保有していた株式もBOA株式に転換された。BOA株価は去る6日3.14ドルまで暴落し、投資金20億ドルは1億9496万ドルに縮んだ状態だ。メリルリンチから受けた配当金(1億4150万ドル)を合わせても3億3646万ドルにしかならない。もしBOAが国有化にでもなるならば、これさえ減ることになる。2月末の外国為替保有額は2015億ドルだ。
当時、財政経済部当局者であった政府関係者は「投資決定は投資公社運営委員会で行ったので政府とは関係がない」と話したが、当時財政経済部は投資公社の管理・監督業務を受け持っていた。さらに運営委員会には財経部長官も入っていたので‘責任論’から自由ではない。
■為替レート引き上げリーマンブラザース引受企図
新政府出発後にもねらいを外した足蹴りは続いた。カン・マンス財政部長官をはじめとする初期経済チームは、輸出競争力のために為替レートが上がるべきだとし、そうでなくても進んでいた為替レート上昇をより一層煽った。その結果、物価が暴騰するや高為替レート政策を修正したりもしたが、為替レートは高空行進を続け現在1600ウォンに肉迫している。
昨年7~9月初め、産業銀行はリーマンブラザーズと引受交渉を行った。チョン・グァンウ金融委員長は当時国会で「大型投資銀行引受を政府次元で検討している」と話しもした。価格差などで結局失敗に終わったが、もし成し遂げていたとすれば国民経済に及ぼす負担は途方もなかっただろう。リーマンブラザーズは交渉霧散直後の9月15日に破産した。
■韓国版ゴールドマンサックス作ろう
個別政策だけでなく全体金融政策の方向も逆に流れた。参加政府は金融産業を新しい成長動力に育てるとして、東北アジア金融ハブ戦略,グローバル投資銀行育成などを野心満々で推進した。産業銀行民営化,資本市場統合法制定,金融中心地選定などがその延長線上から出た政策だ。
現政権になっても継続しているこういう政策基調で、モデルとしたシンガポール・ロンドン・ドバイなど主要金融ハブは金融危機以後、他の地域よりさらに深刻な経済沈滞に苦しんでいる。5大投資銀行中リーマンブラザーズなど3行が門を閉めた。ある政府関係者は「外国為替危機以後、私たちの金融政策の教科書は米国式金融であったしロールモデルはグローバル投資銀行だった」として「今回の金融危機で私たちは道に迷った」と話した。 アン・ソンヒ記者shan@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/342961.html 訳J.S