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【 ハンギョレ in 】“質の悪い働き口”社内下請け ②流行のように広がる社内下請け(1)

原文入力:2011/10/10 21:12(3099字)
キム・インヒョン記者


病院・空港・造船所・コールセンター…私たちは社内下請け労働者です


←安い人件費などを目的とした社内下請けはすでに業種と公・私企業を問わずに広まっている。左から和順全南大病院、仁川国際空港、釜山韓進重工業造船所、あるホームショッピング業者のコールセンターで社内下請け労働者が仕事をしている様子。<ハンギョレ>資料写真


ベッド カバー、シーツ、枕カバー交換およびセッティング、客室および浴室のゴミ箱清掃、コーヒーカップ・ワイングラスなど8個と灰皿の洗浄及び磨き、冷蔵庫内部の整理整頓、衣装だんすの清掃および整理整頓、テーブル上と引出しのホコリ除去、50種余りに及ぶ各種備品の整理整頓および補充、客室ドア内外磨き、電灯、窓、窓枠とガラスの汚れ及びホコリの除去、真空掃除機でのカーペットおよび床清掃、芳香剤噴霧、カーテン セッティング、洗面台、浴槽、シャワーブース、便器、浴室床、排水口の洗浄および髪の毛除去、タオル交換およびセッティングなど。


ホテルのルームメード業務の主要内容だ。40余項目のチェックリストを持つインスペクターのOKサインを受けて初めて客室整備が完了する。客室一つに40分、一日8時間で客室12室が割り当てられる。休憩室? ない。必要もない。休む時間がないためだ。お昼も20~30分でさっさと済ませ、またちょこちょこと飛び回ってやっと割当量を終えられる。今のようなホテル シーズンには18室、さらには20室まで割当が増えたりもする。「ダイエットなんて必要ないんです。ルームメードをやってみて下さい。一ヶ月で3~5㎏は減りますから。」

このように働く経験3年のルームメードが一ヶ月に手にするお金は普通基本給120万ウォン余りに超過・休日勤労手当て、チップを含めて140~150余万ウォン程度。賞与金? なし。2000年頃まではホテルがルームメードを正規職や非正規職として直接雇用していた。ホテルのサービスの質を左右する常時的で必須の業務であるためだ。以後、ホテルが経費節減などのために下請けに切り替え始め、現在ルームメードはほとんど大部分が下請け業者所属だ。休日勤務をすれば通常賃金の1.5倍を支給しなければならないが、下請け業者はアルバイトには6万ウォンを支給しながらも業者所属のルームメードには5万ウォンしか支給しないケースもある。ホテルが下請け業者を選定し最低価入札をしているために起きていることだ。「乾いたタオルを絞り取るよう」に仕事は辛いうえに賃金まで少ないために転職が多く、残ったルームメイドは1万ウォンでも給料が多ければ数ヶ月ごとに巣を移す渡り鳥になった。


←業種別社内下請け比率(※イメージをクリックすれば大きく見ることができます)


公-私企業・業種を問わず拡散
300人以上事業場の内 41%が該当


雇用労働部の‘2010年300人以上事業場社内下請け現況’資料を見れば、昨年8月基準でロッテホテルがルームメードを含む下請け労働者比率が最も高く、全体1690人の内 28.4%にあたる480人を下請けで使っており、朝鮮ホテル25.4%、ウォーカーヒルホテル21.3%、リッツカールトンホテル17.2%、新羅ホテル15.7%などの順だった。


このように社内下請けが自動車、鉄鋼、電子などの製造業だけでなく、ホテル、流通業者、大学、病院、銀行、情報通信業者、公企業など業種の別なく席を広げている。同資料によれば、300人以上の事業場1939ヶ所の内、41.2%にあたる799ヶ所で社内下請けを使っており、全体183万余人の内 15.1%にあたる32万人余りが下請け労働者であった。 下請けを使う799ヶ所の労働者は132万人余りで、下請け労働者比率が24.6%に達する。事業場当たりの下請け業者数は平均11社であり、下請け企業当たりの平均労働者数は38人だった。


業種別に見れば造船と自動車が100%社内下請けを使っており、次いで鉄鋼(87.1%)-機械(76.9%)-金属(68.8%)-化学(68.5%)-事務(61.0%)-電子(60.6%)-電気(58.0%)-販売(50.6%)-その他(30.0%)-サービス(29.1%)の順だった。労働者全体の中で下請け労働者比率が最も高い業種は造船(61.3%)であり、鉄鋼(42.7%),機械(18.2%),自動車(16.3%)が後に続いた。


公企業・準公企業でさえ36%
仁川空港、保安検索も任せる


正規職より社内下請けの方が多い事業場は、ポスコ、コーヒービーンズコリア、大韓造船、双龍(サンヨン)セメント東海工場、暁星蔚山(ウルサン)・亀尾1工場、韓国アムウェイ、ロッテハム、ロッテショッピング、KTテレコップサービス、農協牧牛村、ハイトビールなど計48社であった。この内、公企業では全世界的に唯一 保安検索業務にまで社内下請けを活用している仁川国際空港公社が全社6839人の内 86.4%にあたる5936人を下請け形態で使っており比率が最も高く、韓国道路公社が1万1613人の63.0%にあたる7311人を、韓国馬事会は3093人の63.0%にあたる1948人、韓国西部発電泰安発電本部は1462人の50.3%にあたる736人が下請け労働者であった。


下請け業者利用事業所が利用していない事業所より
採用率・働き口創出率が低い


公企業や準公企業、地方自治体の300人以上事業場206ヶ所の内、36.4%に及ぶ75ヶ所で社内下請けを使っており、社内下請けを使う事業場の労働者全体10万9769人の内、2万9412人が下請け労働者であり、その比率が26.8%に達した。この内、下請け労働者の比率が30%以上に達する事業場は仁川国際空港公社など50%以上の4ヶ所の他に、大韓石炭公社道渓(トゲ)鉱業所(43.7%),国民健康保険公団(35.0%),韓国地域暖房公社(34.9%),韓電ソウル事業本部(33.0%),大韓送油管公社(31.1%),韓国中部発電保寧(ポリョン)火力本部(30.9%),大韓石炭公社長省鉱業所(30.4%),釜山地下鉄を運営する釜山交通公社(30.1%)がある。政府や地方自治体が影響を及ぼしうる事業場で社内下請けの活用が民間企業と大差がないということは、政府や地方自治体の良い働き口創出に対する態度をよく示している。


こういう社内下請けの拡大は大企業の採用率鈍化と働き口創出率低下に寄与していることが調査された。韓国労働研究院が今年はじめに出した報告書を見れば、社内下請け活用事業者が活用していない事業者に比べ働き口創出率が1.9%ポイント低く、採用率も15.2%ポイント低いことが分かった。ウン・スミ韓国労働研究院研究委員は「悪い働き口が増えることを防ぎ、両極化によって深刻化している社会的不満を緩和させることが公共部門の役割なのに、我が国の政府の公企業経営革新指針などにより反対に進んでいる」として「公共部門は適正な賃金と勤労条件を保障する国家の義務を果たす模範的使用者でなければならないという認識を再確認しなければならない」と話した。


キム・インヒョン先任記者 inhyeon@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/500139.html 訳J.S