本文に移動

"在日同胞スパイに駆り立て、反省なき政府に警鐘"

原文入力:2011-03-14午後09:52:37(2050字)
民主弁護士会弁護団 日本訪問 面談
イ・チョル氏など再審請求を導く
"被害者100人中 無罪宣告3人
個人ではなく政府が解決すべき"

キム・ミンギョン記者

←‘在日韓国人良心犯同友会’代表のイ・チョル(63・左側)氏が去る12日、日本、大阪市、北区の大阪弁護士会館で‘在日同胞再審弁護団’のイ・ソクテ弁護士(法務法人 徳寿)に会い再審について議論している。 キム・ミンギョン記者 salmat@hani.co.kr

 "北韓に2度行ったというのはねつ造でしょう?" イ・ソクテ弁護士(法務法人 徳寿)がイ・チョル(63)氏に尋ねた。「北韓に行ったという日、日本にいたという証拠がありますが、依然有効ですか?」イ氏が答えた。「もちろんです。そして最も重要なことは本人が違うと言うことでしょう。」去る12日、日本、大阪市、北区の大阪弁護士会館でイ弁護士に会ったイ・チョル氏は依然として悩んでいる表情だった。完全な韓国人にも、日本人にもなることができなかった在日同胞2世だったイ氏は「在日同胞を卒業」しようと考え韓国留学を決心、1973年 高麗大大学院に入学した。しかし1975年、中央情報部に連行された後、結婚を約束した夫人ミン・ヒャンスク(60)氏とともに国家保安法違反疑惑などで死刑、3年6ヶ月の刑を宣告された。その後、彼の救命運動が国内外で活発に広がり、イ氏の事件は捏造が疑われる代表的な在日同胞スパイ事件に挙げられている。

1988年に釈放された後 日本に帰り1970~80年代在日同胞スパイ事件当事者らの集いである‘在日韓国人良心犯同友会’を作り代表として活動したイ氏は、同友会全体の名前で‘真実・和解のための過去史整理委員会’(真実和解委)に真実糾明を申請したが、自分の事件の真実糾明については拒否した。再審についても同じように否定的な立場だった。「韓国政府は植民地と分断の遺産である在日同胞をスパイだとして責め立て苦痛を与えただけに、在日同胞スパイ事件は個人の努力ではなく政府次元で一括的に解決されなければならない」という考えのためだった。しかし同友会会員たちとイ弁護士の説得などでイ氏は結局「友人たちが馬に乗り戦場に出て行くのに自分だけがじっとしていることはできない」として再審を決心した。

昨年12月‘民主社会のための弁護士会’のイ・ソクテ、シム・ジェファン(法務法人 正平)、チョ・ヨンソン(法務法人 ドンファ)、チャン・ギョンウク(法務法人 常緑)・イ・サンヒ(法務法人 ハンギョル)弁護士らが集まって作った‘在日同胞再審弁護団’が12日から2日間 大阪を訪ね捏造と思われる在日同胞スパイ事件当事者12人と面談した。この中には「韓国で勉強し弁護士資格を取った後、在日同胞のための弁護士になる」として韓国に留学し国家保安法違反で1976年に5年刑を宣告され、社会安全法で7年を保安監護所で過ごさなければならなかったカン・ジョンゴン氏、1974年に両親の病気見舞いに行き金浦空港で中央情報部に連行され懲役10年刑を宣告されたコ・ビョンテク(74)氏なども含まれていた。

在日同胞スパイ事件は1970~80年代、日帝強制支配期の時に強制動員や生計のために日本に渡っていった人々の2世が日本国内での差別などの理由で留学、就職のために韓国を訪れ反共法、国家保安法違反などで実刑を宣告された事件だ。

真実和解委が真実糾明決定を下した10人の在日同胞捏造スパイ事件を見れば、中央情報部と国軍保安司令部が在日本大韓民国民団と在日本朝鮮人総連合会などが併存し韓国より表現の自由が発展した日本からきた在日同胞らを対象に不法拘禁・苛酷行為等を通してスパイ事件として捏造したと発表した。100人余りと推定される被害者の内、今までに再審無罪宣告を受けた方はイ・ジョンス氏など3人で、先月 キム・チョンサ氏など2人が再審開始決定を受けた。まだパク氏など8人が再審開始を待っている。

イ・サンヒ弁護士は「やっとのことで育てた日常の平和を再び壊すかもしれない再審をするということは難しく大きな決心」とし「国家が自身が犯した捏造事件について当然に責任をとり原状回復するべきだが、そうではなく再審のために被害者がまた別の負担を背負っている」と話した。今回の集いを準備したキム・チョンサ氏は「多くの人々が再審を受けられるよう説得するために この席を作ったが、イ・チョル氏も再審を決心し、会うことが難しかったキム・オジャ氏にも会うなど弁護団訪問が多くの契機を作った」と評価した。

大阪/文・写真 キム・ミンギョン記者 salmat@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/467980.html 訳J.S