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企業・政府・大学の貪欲につぶされる子供たち

原文入力:2010-11-15午前09:12:55(2674字)
韓国社会 未来を語り
企業は一流大出身を求め
大学も富裕層優秀生 選好

富裕層は巨額私教育に没頭 政府政策は競争教育助長

イ・ジェフン記者

←良い大学と職場に入ろうとする競争が激しい我が国で、私教育は必須と見なされる。‘私教育1番地’であるソウル江南区、大峙洞の塾街周辺道路は、塾の数業が終わる夜10時頃になれば子供たちを連れに来た父母たちの車両が集まり大混雑になる。 カン・ジェフン先任記者 khan@hani.co.kr

ソウルのある高等学校で12年間にわたり英語を教えているキム・某(38)教師は5日<ハンギョレ>と会うやいなや、いきなり携帯電話カメラで撮った写真を差し出した。模擬試験中にある教室でうつ伏せになって眠っている半分の生徒たち、一つの番号がずっと並んでいる答案用紙、学校に不満を示すために生徒たちがなぎ倒した植木鉢とごみ箱、悪口の混ざった落書きなどが写真に写っていた。彼は「10年前と違い、この頃は昼休みや休み時間に運動場でサッカーやバスケットボールをする生徒たちは見当たらない。同年代文化が消えた学校はそれこそ序列化した大学の中でどこへ行くか競争する塾となり、生徒たちは今や大学以後に何をしたいか夢を語らない」としてため息を吐いた。

学校と大学が急速に入試機関と就職士官学校となっている。学校はもはや教育の現場ではなく、生徒たちに出身成分を捺して上げる烙印の空間に変質している。小学生と中学生は特殊目的高校や自律型私立高などの特権学校に編入するために大学入試の前哨戦を行い、高校生は上位圏大学入学により就職に有利な地位を確保しようとすべての神経を注ぐ。この過程で年間33兆5000億ウォン規模(現代経済研究院2007年発表)の私教育費が父母の月給通帳から抜け出る。

父母の選択は非合理的なことだろうか。教育科学技術部が全国小・中・高1012校の生徒と父母7万4000人を対象に質問した結果、私教育増加原因として‘企業採用に際し出身大学が重要なため’という理由が1順位に挙げられた。2順位は‘大学が成績優秀学生選抜競争に重点を置くため’、3順位が‘大学序列化構造が深刻なため’だった。

それでは大学序列化と学閥社会は誰が助長しているのか。教育専門家たちは企業に代弁される資本、学校と大学、富裕層など3つの主体が持った貪欲が政府政策とあいまったことが原因と分析した。

企業は学閥人脈を業務に活用でき、学閥の他には選抜基準がないという論理で序列化した大学中心の採用慣行を維持しながらも、採用した人々に業務能力を直接教えたり大学に関連投資をすることにはケチだ。就職準備生たちが進んで外国語点数と単位、公募展入賞と奉仕活動経歴、資格証などのスペックを準備するようにさせ、大学の正常教育機能をマヒさせている。

正規職採用はますます減らし、非正規職とインターン職採用を乱発しながら正規職-非正規職-インターン職の階層化現象を作り、これによってがっちり賃金支出を減らし貪欲を充足している。

オ・ホヨン韓国職業能力開発院副研究委員らが2005年に532ヶ企業の人事採用担当者を対象に実態調査を行った結果、1000人以上規模の企業の内、29.1%が‘出身大学を採用で重視する’と答えた。300~999人規模企業は20.4%、100~299人規模の企業は17.3%であり、企業規模が大きくなるほど学閥を重視していた。

学校と大学は共同体構成員を育てる教育の根本機能はおざなりにして、成績と成績の背景となる裕福な家庭の学生たちを選抜し、名門高と名門大学の地位を占めるという貪欲を隠さない。大学には‘成績どおりに選び勝手に教えよう’という態度と‘40%の正規職に含まれなければ余剰人材になる’という脅しだけが横行している。

教育科学技術部が先月1日に公開した各大学新入生現況によれば、ソウル大と延世大、高麗大など上位圏大学は新入生5人中1人以上を外国語高校と科学高校など特別目的高校出身学生から選んだ。特別目的高校出身比率はソウル大が25.9%、延世大が28.0%、高麗大が20.7%だった。最近4年間のソウル大合格者の21.0%はソウル、江南3区地域の高校出身だった。
富裕層は高い教育費を子供に投資し、名門大に送り良い職場を求めるようにしながら、自身の経済的地位と階層が相続される社会システムを維持しようとする貪欲を示している。これらは社会全体のための教育投資、すなわち税金を出すことには先を争って否定的な姿勢を取る。

経済協力開発機構(OECD)と教育部が2005年に発表した統計を分析した結果、韓国の小・中学生1000人当りに投入される教員は43.8人に過ぎなかった。イタリアは93.6人、フランスは70.2人であり、国家平均は72.8人だった。クォン・ヨンギル民主労働党議員は「それでもイ・ミョンバク政府は就任後の3年間、中等教員数を凍結している」と話した。

キム・ヨンイル韓国海洋大教授(教育学)は「結局、企業と大学、富裕層など3つの貪欲の主体が強く結託し、社会不平等と社会危機を高めさせ、一般父母たちの不安心理を刺激している」として「このように教育は階級を階層化し相続により再生産する道具に転落して、不安に苦しめられる父母たちの自分の子供のための‘合理的選択’は全員に望ましい結果を持たらしえない」と指摘した。

しかし政府は企業と大学、富裕層の無節制な貪欲を満足させる制度を定着させ、これを国家競争力のためのものとして包装し、全員の得になることだと宣伝している。ハ・ジェグン学閥のない社会運営委員は「大学序列化が入試競争を助長し、人間までを序列化する学閥社会を作ったが、去る10年の民主政権や李明博政権など政府はただの一度も大学序列化問題に触れなかった」と話した。

父母たちはこういう環境により子供たち全員のための投資にはケチなまま、自分の子供のための投資にのみ全てを注ぎ込むことになった。結局、人間本来の共同体的性格が貪欲を土台にした競争教育というひき臼に絶えず吸い込まれてゆき、粉々につぶされている状況が現在の韓国教育だ。

イ・ジェフン記者 nang@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/448592.html 訳J.S