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[シンクタンク 対面] 労働連帯で完全雇用 成し遂げる 福祉国家 指向

原文入力:2010-09-26午後05:43:24(3186字)
安定した所得が福祉の第一歩
最低賃金制 改革 優先課題
非正規職 正規化とともに
正規職の労働時間 短縮 推進

キム・ジンス記者

←ノ・フェチャン進歩新党代表が今年初め 1月14日午前、国会で新年記者会見をしている。 キム・ジンス記者 jsk@hani.co.kr

民主労働党・進歩新党の中長期ビジョンは
最近流行に乗る福祉談論はいくつかの福祉政策を導入しさえすれば福祉国家になるかのように話す傾向がある。だが、福祉国家はあれこれ政策を導入したからと言ってできるものではない

進歩新党は党綱領で "すべての市民のための社会共和国" を指向すると明らかにしている。そして、この社会共和国は "平等と平和、公共性と社会連帯に基づかなければならない" と主張する。今回の進歩新党党職選挙に代表として出馬したチョ・スンス議員はこのような指向を "社会連帯国家" という一語に要約する。

この頃、民主党までも‘福祉国家’を語る。事実、進歩新党の‘社会連帯国家’もこのような福祉国家指向と軌道を一にする。社会共和国、社会連帯国家…こういう言葉の根元である‘社会国家’はヨーロッパで福祉国家とほとんど同意語として使われている。ところで、進歩新党が‘福祉国家’に加えて、あえて‘社会連帯国家’という用語を好んで使う理由は何か? まさにここに進歩新党の福祉国家指向が民主党などの福祉国家談論と区別される特性がある。

最近流行に乗る福祉談論はいくつかの国家福祉政策を導入しさえすれば福祉国家ができるかのように話す傾向がある。だが、福祉国家はあれこれの福祉政策を導入したからと言ってできるものではない。20世紀中盤、福祉国家全盛期に福祉国家を構成した要素中には社会保険や公共医療、公共教育の他にも他の重要なことがあった。

進歩新党はその中でも完全雇用に注目する。1世代前に資本主義中心部では歴史上初めて大多数の経済活動人口に正規職の働き口を提供した。その結果、大部分の家庭がこの正規職の働き口を通じ安定した所得を得ることができた。国家福祉政策はこのような所得確保方式を補助する役割を果たした。

今、私たちにはまさにこういうシステムがない。すでに韓国社会では賃金労働者の半分以上が非正規職だ。これらに与えられるのは低賃金と抑圧的な労働条件、そして雇用不安だ。反面まだ正規職の働き口から退出していない労働者たちはこの地位を維持するために、自ら長時間労働も辞さない。こういう状況では国家が一部所得移転政策を使うとしても、生活の質が良くなることはない。福祉政策が存在するにしても、決して福祉国家だとは言えないものだ。

そこで進歩新党は未来福祉国家の一つの軸であり、その出発点として‘労働連帯’を強調する。正規職労働者は長時間労働と無限競争から解放されなければならず、非正規職労働者と失業者は働き口不安から抜け出さなければならない。そうするためには、まず賃金労働者たちの内部で連帯のメカニズムが作動しなければならない。

まず所得連帯がなされなければならない。かつて、スウェーデンやイタリアで実施したような連帯賃金制が必要だ。低所得労働者の賃金を引き上げ、所得の平等を期そうということだ。ただしスウェーデンなどでは労働組合の交渉賃金を通じて連帯賃金を推進したが、韓国の場合は労働組合加入率が低いために他の方式を求めなければならない。現時点では最低賃金制を改正し、活用する方式を考えてみることができる。最低賃金を労働者平均賃金の一定水準に連動させれば低所得労働者の賃金を引き上げる効果を上げることができる。当分、労働運動と進歩陣営はこのような最低賃金制改革に戦力を集中しなければならない。

次は働き口の連帯だ。現代車社内下請け問題に対する裁判所判決からも分かるように、現在 韓国社会では大資本の超過搾取のために非正規職雇用がそのどの国より乱発されている。こういう領域では今すぐにでも非正規職を正規職化しなければならない。それと共に、より長期的には正規職労働者の労働時間を短縮しなければならない。進歩新党は去る地方選挙で‘8-8-8’ビジョンを提示した経緯がある。誰もが8時間仕事をし8時間は休み8時間は寝なければならないということだ。とても当然な話のようだが、この当然の話が全く当然でないのが今の韓国社会だ。既存正規職労働者の労働時間が短縮されるならば、それだけ新たな正規職働き口を創り出し、非正規職労働者と失業者の比重を減らさなければならない。

このように連帯は福祉国家の出発点でありその細胞だ。労働者庶民から始まったこのような連帯が社会全体に拡張されなければならない。全社会的連帯で核心は相対的高所得層が経済的負担を受け入れなければならないということだ。株主は企業の長期発展のために短期利潤極大化を放棄すべきだ。富裕層は高率の税金を払うことに耐えなければならない。進歩新党はその一環として、高所得者たちから所得税をもう少し徴収し、福祉予算に投じる社会福祉税の立法を推進している。

今はこういう指向に対し巨大資本と富裕層の相当な抵抗があるものと予想される。特に非正規職量産の主犯である大資本の抵抗が激しいだろう。それなら労働-庶民連帯と大資本間の対立は避けられない。この際、大企業の所有と経営を民主化する方案まで追求しなければならないだろう。

進歩新党付設 想像研究所はこのような進歩新党の指向、すなわち社会連帯国家ビジョンを整え具体化することを課題としている。想像研究所は上で指摘した‘労働連帯’を中心に‘普遍的福祉’、‘生態社会への転換’そして‘平和体制樹立’を社会連帯国家の4本柱と見ている。したがって、これら各領域がまさに想像研究所の研究課題となる。

例えば普遍的福祉と関連しては健康保険の保障性を強化し無償医療を実現し、公共医療体系を確立する方案を用意しているところだ。また、韓国社会で特に重要なのが教育と住居問題だ。これら領域でも競争ではなく連帯を中心原理として定着させる方法を探索している。

これに加えて、上で強調したように労働連帯の具体的方案を模索することも重要な課題だ。韓国的形態の賃金連帯や働き口連帯方案を整えようとしている。生態転換、平和体制樹立と関連しても、このような具体的な研究作業を推進しているところだ。

進歩新党は韓国政党の中で最も新生政党といえる。したがって付設想像研究所もやはりその沿革が短い。今まさに始まったばかりと言っても過言でない。だが、すでに年初に<リアル進歩>(レディアン出版)という単行本を出し、党と研究所の指向を広く知らしめる作業に出た経緯がある。想像研究所は進歩新党の‘社会連帯国家’ビジョンをさらに体系的に整理した また別の単行本を来年上半期までに出版する計画だ。これが進歩新党の創党精神である‘進歩の再構成’を実現してゆく想像研究所なりの努力であり方式だ。

チャン・ソクジュン進歩新党 想像研究所研究企画室長

※ ‘シンクタンク対面’は韓国社会の課題に対する政策代案を考える研究機関の積極的な参加で作られます。多様な政策懸案に対する機関の研究成果を原稿用紙10枚分量の簡潔な文にして送って下さい。他の頭脳集団が出した提案や資料に対する問題提起と代案提示でも結構です。問い合わせと原稿はハンギョレ経済研究所(heri@hani.co.kr)に送って下さい。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/440932.html 訳J.S