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奇襲豪雨に‘無防備都市’…‘水谷洞’に変わった禾谷洞(ファゴクトン)

原文入力:2010-09-23午後09:57:10(1755字)
ソウル、江西区 水害現場‘薄情な秋の日差し’
住宅 あちこちに泥水、連休ずっと床で睡眠
浸水の70%が地下・半地下、1階店舗でも大きな被害
"二日間 何の支援もなかった"

イム・ジソン記者、キム・ギョンホ記者

←去る21日、首都圏に降った奇襲豪雨で住宅が水に浸ったソウル、陽川区、新月1洞のある半地下住宅の住民が秋夕連休最終日の23日昼、水にぬれた衣類や家財道具を整理している。キム・ギョンホ記者jijae@hani.co.kr

23日午後、ソウル、江西区、禾谷1洞の空は薄情にも美しかった。二日前に時間当り最高98㎜の豪雨を降り注いだその空だとはまったく思えないほどだった。この地域の多世帯住宅街の半地下住宅はその日に降り注いだ計293㎜の雨水と逆流した下水でくつろぎの場所をそっくり奪われた。

空はいつものように明るく晴れたが、暖かい日差しが射す地面には泥水で汚された住宅たちの凄惨でみじめな姿を見られた。相変らず日差しの入らない半地下の部屋の住民たちは、家具や家電製品、衣類、ふとんなどを外に出していた。狭い路地がより一層狭苦しくなった。消毒車が吹き出す煙とパトカーのサイレンの音、動員された軍人たちが集まった住宅街は二日前の衝撃から抜け出すことの出来ない状態だった。

チェ・ブンネ(79)氏は「まだ胸が震えている」と話した。5年前から禾谷1洞の多世帯住宅の半地下部屋に賃借りして暮らしている彼は、去る21日午前、激しくなる雨脚にからだを震わせ玄関のドアを開いた。瞬間いきなり荒々しい水流が襲ってきた。路地から怒涛のように流れ込んだ水は半地下の部屋を水浸しにし、玄関のドアに挟まった4本の指は水の流れに逆らえず対応できなかった。 "指が皆切れるかもと思った…."

水は瞬時にチェ氏の鼻下まできた。かろうじてドアから手を離したチェ氏は、飼っている子犬を抱きあげ必死にドアを叩いた。声を聞いた隣人たちがかろうじてドアを開けてくれた。

チェ氏は貧しい二人の娘と一緒に暮らすことができず、一人で廃紙を拾って暮らしている。1ヶ月に受け取る20万ウォン余りの基礎生活受給費は大部分が家賃として出て行くが、それでも行き場のない老人のために保証金なしで部屋を貸してくれた家主のおかげでできたことだった。廃紙を集めて売って得る収入が月に10万ウォン余りの彼は、先日、数ヶ月食べるために買った20㎏の米と小さな冷蔵庫、衣装だんすの全てを失った。運び出せたのはふとん3枚が全て。 今は半地下のオンドル床もない床に、ふとん3枚を敷き眠らなければならない。去る二日間、秋夕名節という考えは思い出すこともなかった。

23日午前まで禾谷1洞で浸水被害を申告した879世帯の内、70%に達する600余世帯がチェ氏のように半地下や地下に住む人々だった。日が差さないために半地下の部屋はこの日までも水気が完全に去らなかった。まだ乾くこともしない状態で外の気温が上がり浸水被害を受けた地下住宅にはすでに青いかびが広がり始めた。

1階で店舗を経営している人々は生計にも大きな打撃を受けた。5ヶ月前に禾谷1洞に鴨焼き店を開いたアン・ソンヨ(51)氏の店は一気に押し寄せた水でコンクリート床が割れた。 冷蔵庫2台とエアコン2台、生鴨20羽、粉トウガラシ100斤など商売の元手も一瞬にして失った。アン氏は「3000万ウォンをかけてインテリアと各種什器を入れたのに…」として言葉を失った。

この日、禾谷1洞住民センターは被害を訴える住民たちで大変な混雑になった。 揚水機とふとん支援を要請しに住民センターを訪ねたユン・某(38)氏は「半地下の部屋に水が満ち二日間椅子で寝たが、何の支援も受けることができなかった」と言った。住民80人余りは住民センターに「禾谷洞を災難地域宣言してくれ」として嘆願書を出した。

イム・ジソン記者 sun21@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/440647.html 訳J.S