韓国政府は、人口減少と超高齢化への対応に向けた初の「国家人口戦略基本計画」を発表した。出生率の向上と高齢者福祉の拡充ばかりだった従来の人口政策の範囲を、地方消滅、技術革新、移住民対策などへと拡大し、社会・経済構造全般を再設計していこうという趣旨だ。「人口減少への適応」へと政策パラダイムを転換することに意義があるとの評価がある一方、具体的な実行戦略と構造改革の方法を補完すべきだとも指摘されている。
人口戦略委員会(人口委)は14日、大統領府で開かれた「国民主権政府人口戦略ビジョン宣言式」で、「第1次国家人口戦略基本計画」を発表した。先月、少子高齢社会基本法が人口戦略基本法へと全面改正されたことを受けて策定された初の計画で、2030年まで推進する人口政策の方向性と課題が盛り込まれている。
李在明(イ・ジェミョン)大統領はこの日の宣言式で「今こそ大韓民国の人口政策の構造、枠組みを変えるべき転換期」だとして、「(人口問題は)個人が子育ての責任を持つ環境や将来への不安、機会が少数に集中する格差が招く総体的な社会問題だ。社会経済システム全般を人口変化に合わせて根本的に再設計しなければならない」と述べた。
政府は今回の基本計画で、以前のような「合計特殊出生率」の数値目標は示していない。代わって、人口変化の速度を緩める「緩和」、人口構造の変化に合わせて制度を改編する「適応」、産業・教育・行政の革新などによって生産性を高める「飛躍」を、3大推進戦略として提示。これによって、2030年までに国民の生活満足度を現在の6.6点から7点へ、経済活動参加率を71.8%から74%へ引き上げることを表明している。
基本計画には、社会的議論を通じて実行方法を具体化する7つの挑戦課題と、関係省庁との協議などを経てすでに推進することが決まっている117の基本課題が盛り込まれている。新たに提示された挑戦課題の中では、人工知能(AI)やロボット技術を用いた「ケア専門の若者人材」育成計画が際立つ。人口減少地域を中心とした、ケア技術を用いる「準公務員級」の雇用で、初任年収4000万ウォンほどと住宅支援を提示している。政府は、ケア専門人材となる若者を順次10万人育成していく計画だ。
省庁・地域ごとに分散して運営されてきたケアサービスを連携させ、出生から高齢期までのライフサイクルごとにケアを提供する「K-ケア推進システム」も構築する。長期的には、省庁ごとに分散しているケア政策を管理する専門組織「ケア庁」(仮称)の新設も構想されているという。
グローバル人材の誘致拡大と外国人移住民の定着支援も盛り込まれている。理工系の修士・博士レベルの人材の迅速な居住・永住・帰化ルートを拡大し、2030年までに2000人を誘致する計画だ。国内で出生・成長した移住を背景とする児童・青少年の出生登録制度を導入するほか、教育機会も拡大する。
基本課題には、先に関係省庁が発表した公共住宅57万1000戸供給、若者未来住まいローンの新設、子ども誕生支援金とわが子自立ファンドの導入、特殊雇用労働者などの育児手当新設計画などが盛り込まれている。
人口委は、各省庁が個別に推進してきた人口関連政策を、政府全体レベルで調整するコントロールタワーとしての役割も強化する。来年から、各省庁の人口関連予算事業について、予算案確定前にあらかじめ調整する「予算事前協議制」を実施するとともに、分野ごとの人口変化とそれによる影響を分析して公表する「人口影響予告制」を導入する。
今回の基本計画について、ソウル大学国家未来戦略院人口クラスター長のイ・チョルヒさん(経済学部教授)は、「政府の政策だけでは変化させるのが難しい合計特殊出生率を目標指標として掲げず、人口変化の緩和と適応をバランスよく盛り込んでいる」としつつも、「教育や労働時間、若者の雇用環境など、社会構造全般の改革内容が十分に反映されていない」と指摘した。漢陽大学高齢社会研究院のイ・サムシク院長(元政策学科教授)は、「各省庁が予算を編成してから人口委員会と協議するのではなく、委員会がまずどこに資金を使うべきか、選択と集中の方向性を戦略的に示さないと、これまでの委員会の活動と差別化できないだろう」と述べた。