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"3人世帯 一食3500ウォン…閉口した

原文入力:2010-08-01午後10:40:41(2926字)
家長が夕食を外で済ませば残りの家族は食べられず
牛乳1本買えばおかずを減らさざるを得ず涙が滲む
服一揃いは買えず社会保険料は想像外
28日でついに破産…16万ウォン赤字も奇跡だった

キム・ソヨン記者

←キム・ソヨン記者(右側)がソウル、城北区、三仙洞の長寿村の最低生計費体験3人世帯で、パク・ミヨン(中央)氏 母子と夕飯を作っている。 イ・ジョンチャン先任記者 rhee@hani.co.kr

最低生計費で1ヶ月 貧民街 貧困リポート
キム・ソヨン記者‘最低生計費’体験

‘一食を3000ウォン以内で賄いなさい。’

一ヶ月間、参与連帯から支給された最低生計費111万919ウォンで貧困体験を始めた7月1日、最優先課題は3000ウォンで昼食を食べることだった。現在の最低生計費品目で職場に通う家長の昼食費用が3000ウォンであるためだ。

だが、初日から問題が生じた。記者の仕事場であるソウル、鍾路区と麻浦区周辺にはいくら探しても3000ウォンの昼食を商う食堂がなかった。平均が5000ウォンだ。インターネットを検索し一食に3000ウォンの食堂を調べはしたが、行ってくるだけで30分以上かかる所にありあきらめた。3000ウォンで可能なお昼はラーメンとのりまき、トッポッキなどの粉食だけだ。

最初の一週間は結局一人 粉食でお昼を間に合わせた。不十分な食事より、一人で食べる記者をチラチラと見つめる他の人の視線のために‘いじめ’にあった気分で辛かった。しかたなく週に一度は職場の同僚たちとご飯を食べ、一食に5000~7000ウォンを使わなければならなかった。昼食代の平均を3000ウォンに合わせようと、週に1,2回は弁当を作った。おかずにキムチを持っていき、記者室に臭いが広がり一日中きまりが悪かったこともある。保険の仕事をするヒマンの母さんも昼食代を可能な限り3000ウォン水準に合わせた。

昼食よりさらに大きな問題は夕食だった。最低生計費に決められた3人世帯の一食の費用は平均3500ウォンだ。この基準どおりならば職場に通う家長が外で3500ウォンの夕食を食べれば、家にいる2人の家族は飢えるしかない。閉口した。7月中はずっと夕方の約束をできなかった。物質的欠乏は、一つを選択すれば他の一つはあきらめるほかはなくさせた。

貧民街長寿村はソウル地下鉄4号線漢城大入口駅から三仙公園方向へ急な登り坂の道に沿って20分程歩いていかなければならない。夜の気温も30度以上に感じられるある暑い日、空腹で帰途に坂を登ったら全身から汗が雨が降るように流れた。とうてい我慢できずスーパーに入った。5分余り迷ったあげく1000ウォンのバナナ牛乳を買って飲んだ。1000ウォンは、かまぼこや豆腐を買って‘結構な’おかずを作ることができるお金だ。頭の中に色々な価格表がふわふわ漂い、牛乳一本も気楽に飲めないという思いで暫し涙がにじんだ。

教育費はとうてい越えられない壁のようだった。最低生計費で3人世帯の教育費は4万9844ウォン(学習誌・参考書)だ。ヒマンは学業成績が良くなく英語と数学の塾に通っていた。月に各々15万ウォンずつ30万ウォンかかる。塾2ヶ所にやる場合、教育費だけで25万ウォン程の赤字が出る。食料品費と交通・通信費など他の分野も予算が窮屈で負担があまりに大きかった。お母さんに塾は1ヶ所だけにしようと提案した。
 「子供が勉強出来ないのが全部 私のせいみたいです。塾費は負担だけど、それでも食べるものを節約したほうがまだマシです。塾にやらなければ子供が家で一人でいなければなりませんね。悪い友人と交わるかもしれなくて不安です。」保険の仕事をしながら一人で子供を育てたお母さんは、ため息をつきながら難色を示した。ヒマンも塾を希望した。「休みの時に友人に会おうと思えば塾に行かなければなりません。家に一人でいるのも退屈だよ。」

相談の末、英語塾は中断することにした。代わりに子供を一人で置いておけず月に2万5000ウォンする手文字(POP)学院に送ることにした。7月中旬に‘国家水準学業達成度評価’(一斉試験)があったので、退勤後 家でヒマンに国語と社会、英語を教えることで罪滅ぼしをした。

とにかく教育費は12万5156ウォン超過した。統計庁資料によれば、昨年 小学生の87.4%が私教育を受けていて、1人当り平均塾費は24万5000ウォンだ。この無視できない現実が最低生計費には反映されていない。

あきれるのは交通・通信費も同じだ。最低生計費品目を確認してみると、携帯電話は最初から必需品に含まれていなかった。‘0ウォン’ということだ。ある両親の家庭では小学校6学年の子供にも携帯電話は‘必需品’だ。見栄を張ると言うのではなく、お父さんまたは、お母さんが仕事に出なければならないので、子供に急な用事ができれば迅速に連絡するためだ。私たち家族3人の携帯電話費用14万2000ウォンはそっくり超過金額になった。

最低生計費で持ちこたえ28日目、結局 破産してしまった。最低生計費で比重の最も大きい食料品費を減らしてみようと努めたが、2万7989ウォン超過し、教育費(-12万5156ウォン)と交通・通信費(-16万1484ウォン)等で赤字幅が大きくなり111万919ウォンはすっかりなくなった。一ヶ月体験を終えた31日に計算してみると、3人家族が計127万4470ウォンを使い16万3551ウォンの赤字を出した。

だが、ここまで持ちこたえられたのも‘奇跡’だった。服や履き物は全く買わなかったし、国民年金など社会保険料も払わなかった。外食はもちろん、家でサムギョプサルも焼けなかったし、教養・娯楽費としては3500ウォン(映画雑誌)を買ったのが全て。特に夏場で燃料費が‘0ウォン’だったし、家族の中に病人も出なくて保健医療費もほとんどかからなかった。それでも最低生計費だけでは一ヶ月を‘生存’出来なかった。

国民基礎生活保障法は最低生計費を‘国民が元気で文化的な生活を維持するために必要とされる最小限の費用’と定義している。ところが品目別に予定されている最低生計費は現実ととてもかけ離れていて毎日が苦痛だった。

節約に節約を重ねたが、3人家族の前には赤字家計簿が置かれた。今日使うお金が不足したために未来のための貯蓄は夢見ることもできなかった。子供やお母さんが突然大きい病気にかかりでもすれば、私たち家族はその瞬間に極貧層へ墜落してしまうだろう。持てるものがないからと‘何か事が起きればどうしようか’という不安感が日常に付いて回った。社会安全網が不十分な状況で、最低生計費で暮らす生活はいつ爆発するかも知れない‘時限爆弾’を抱いて暮らすことのようだ。

キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/433045.html 訳J.S