韓国国防部による調査の結果、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が12・3内乱の1年あまり前に北朝鮮に対するビラ散布の再開を決め、実際にビラを散布していたことが確認された。
国防部のチョン・ビンナ報道官は17日の定例ブリーフィングで、「アン・ギュベク国防長官の指示で12月1日に編成された国軍心理戦団タスクフォース(TF)による調査の結果、このような事実が確認された」と明らかにした。「尹錫悦政権時代に国軍心理戦団が、昨年5月に北朝鮮が韓国に向けて汚物風船を飛ばしてくる以前から北朝鮮にビラを散布していた」という今月1日のハンギョレの報道が、軍の内部調査を通じて事実であることが公式に確認された。
■憲法裁無視…「対北朝鮮ビラ禁止法」決定直後に再開決める
チョン報道官は「対北朝鮮ビラ作戦の再開の決定過程などは、捜査が必要だと判断している」として、「国防特別捜査本部は近いうちに心理戦団についての調査結果の移管を受け、本格的な捜査に着手する予定」だとも語った。国防特別捜査本部は、対北朝鮮ビラ散布の再開の背景をはじめ、非常戒厳宣布との関連性、作戦中の違法行為などについて捜査する方針だ。
国会法制司法委員会に所属する共に民主党のチュ・ミエ議員室はこのことについて、「2023年10月に国家安全保障会議(NSC)で対北朝鮮ビラ作戦の再開が決定され、その後、国軍心理戦団が平壌(ピョンヤン)、元山(ウォンサン)などの北朝鮮の主要都市と軍部隊を標的として、昨年2月から11月までの間、対北朝鮮ビラを少なくとも23回散布した」と語った。国防部が最近、国軍心理戦団や合同参謀本部(合参)など当時の作戦系統にいた軍の関係者を調査し、これらの事実を確認したという。
チュ議員室が明らかにした国防部の調査結果によると、尹錫悦政権は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に中止された北朝鮮に対するビラ散布を政府レベルで再開することを2023年10月12日に決定。憲法裁判所が「対北朝鮮ビラ禁止法(南北関係発展法)」に対して違憲決定(2023年9月26日)を下した直後だ。
「9・19軍事合意の評価および対応策」を案件として開催された第34回NSC常任委で、当時のシン・ウォンシク国防部長官、キム・ヨンホ統一部長官、キム・ギュヒョン国家情報院長らが協議し、対北朝鮮ビラの散布の再開が決定されたという。ただしチュ議員室は、同常任委の結果は大統領記録物として保存されているため、国防部レベルでは再開理由などの具体的な内容は確認できていないと語った。
■合参、作戦部隊に「いかなる文書も残すな」
シン元長官は2023年11月8日、対北朝鮮ビラ散布作戦の再開を軍に口頭で指示。この指示は合参を経て国軍心理戦団に通達された。その後、国軍心理戦団は昨年2月18日を皮切りに、同年11月15日までに17次にわたって計23回の対北朝鮮ビラ散布作戦をおこなっていた。標的は平壌、元山をはじめとする北朝鮮の主要都市や軍部隊など、35カ所だったという。
作戦は現場にいた心理戦団長から合参の作戦企画部長、合参作戦本部長、合参議長の系統で管理され、その過程ですべての報告と承認はセキュリティーフォンが用いられたという。作戦系統上の諸部隊は毎月の定期サイバー・保安診断点検のたびに、対北朝鮮ビラ作戦に関する記録を削除していた。合参からは、対北朝鮮ビラ作戦に関するいかなる文書も一切残すなとの指示もあったという。
北朝鮮は昨年、先にビラを飛ばしてきたのは韓国だとして反発し、昨年5月から韓国に汚物風船を散布した。尹錫悦政権は北朝鮮による汚物風船散布などを理由として、昨年6月に9・19軍事合意のすべての効力の停止を決め、その後、北朝鮮に対する拡声器放送を再開している。
内乱特検は、尹前大統領が非常戒厳の大義名分を作るために非正常な軍事作戦を敢行し、北朝鮮の武力対応を誘発しようとしたとして、先月、一般利敵の疑いで尹前大統領、キム・ヨンヒョン前国防部長官らを起訴している。対北朝鮮ビラ作戦の再開が決定された2023年10月は、尹前大統領が非常戒厳の準備を本格化したと内乱特検によって特定された時期でもある。