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再びハロウィーンを迎えた韓国・梨泰院の街…人混みの中で哀悼と記憶

登録:2025-11-01 06:53 修正:2025-11-01 08:02
街のあちこちで安全放送、右側通行を誘導
10月31日夜、ハロウィーンを楽しむために訪れた市民でソウル龍山区梨泰院の「世界食べ物通り」一帯が賑わっている=チャン・ジョンウ記者//ハンギョレ新聞社

 再びハロウィーンを迎えた梨泰院(イテウォン)には祭りを迎えた楽しさと、消せない悲しみと哀悼が入り混じっていた。3年前のあの日のように、街は人波で足の踏み場もなかったが、あの日とは異なり、中央分離帯に沿って市民たちは列をなして一方向に歩き、警察と区庁職員もあちこちに配置されていた。一方、集まった市民たちは惨事に対する各々の記憶と痛みを共有し、安全社会の意味を再確認した。

 ハロウィーンを迎えた金曜日の31日、ソウル龍山区(ヨンサング)梨泰院一帯ではミニオンズ、スパイダーマンのような人気キャラクターや、魔女、がいこつなどのコスチュームを着た市民たちが写真を撮り合いながら祭りの雰囲気を楽しんでいた。「世界食べ物通り」の周辺に特に人が殺到し、午後10時20分頃、徒歩約300メートルの距離を通るのに10分以上かかるほどだった。一部の店は「混雑により行列禁止」という案内文を貼っていた。行列ができることで、移動する市民の流れが滞るのを防ぐためだ。

 3年前のあの日とは異なり、警察と龍山区庁の職員もあちこちに配置され、安全管理に乗り出していた。約10メートルに1人の間隔で並んだ警察と区役所の職員は、拡声器で「右側通行をお願いします」と呼びかけ続けた。簡易中央分離帯が市民の右側通行を誘導した。龍山区庁関係者は「ボトルネック現象が起きる可能性がある路地に職員が配置され、市民を移動させている」と語った。韓国語と英語で「今、街が混雑しているので、安全に注意して移動してください」という案内放送が流れていた。

 警察は2人1組に分かれて人出の状況を見守っていた。同日、ソウル警察庁は午後6時から梨泰院一帯に機動巡察隊4個大隊288人を配置した。午後10時30分を過ぎて梨泰院を訪れた市民の数が増えると、道路は非常車両通行路だけを残し、車が入れないように規制された。午後11時から地下鉄6号線も梨泰院駅を無停車通過した。ヤギのがいこつをかぶった古代の魔法使いに扮して梨泰院を訪れた在韓米軍のジャストンさん(30)は「実は梨泰院惨事について聞いて心配だったが、安全管理が大きく変わったというニュースを見て出かけることにした。今は安全だと思っている」と語った。

梨泰院の住民のAさん(30)は10月31日夜、梨泰院惨事を哀悼し、再び梨泰院を訪れてほしいという気持ちを込めて道端でフリーハグを行った=チャン・ジョンウ記者//ハンギョレ新聞社

 賑やかな市民の間で、梨泰院惨事の現場である「10・29記憶と安全の道」には、その日を記憶し犠牲者を追悼する白い花が置かれていた。壁には「(訪れた)目的にかかわらず、事故で死んで良い人はいない」、「安全な韓国になることを願う」という内容が書かれた付箋が貼られていた。漢江鎮(ハンガンジン)駅周辺に行ったことをきっかけに記憶と安全の道を訪ねたというキム・ウンスクさん(62)は「ノルウェー国籍の犠牲者、スティーネ・エベンセンさんの話が書かれた記事を読み、本当に胸が痛んだ」とし、「今は安全管理が行われているようで幸いだ」と語った。ウサギの着ぐるみをてフリーハグをしていた梨泰院の住民Aさん(30)は「惨事以降、梨泰院地域の住民たちはつらい時期を送った」とし、「哀悼を込めて、そして再び梨泰院を訪ねてほしいという気持ちを込めて、フリーハグをしている」と話した。Aさんが持っているプラカードの片隅には、梨泰院惨事を追悼する意味を込めた紫色のリボンが描かれていた。

 この日、ソウル地下鉄6号線の緑莎坪(ノクサピョン)駅周辺の梨泰院広場では梨泰院惨事市民対策会議と「梨泰院を記憶するカボチャランタン」が共同主催した「哀悼と安全の祭り」が開かれた。200人余りの市民が集まって梨泰院と惨事に対する記憶と安全の意味を再確認した。カボチャランタンの活動家、サンミンさんは「安全は単純に生命を維持することそれ以上を意味する」とし、「安全に哀悼できる社会を作ることが目標」だと語った。

チャン・ジョンウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1226772.html韓国語原文入力:2025-11-01 00:51
訳H.J

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