原文入力:2010-07-15午後10:12:57(1396字)
韓国語 下手だという点 悪用
警察では拷問・苛酷捜査
裁判所では通訳要請も無視
真実和解委 門を閉めると言うが
他の被害者たちはどうすれば
ソン・ギョンファ記者
←スパイという寃罪をかぶせられ無念な獄中生活を送った在日同胞 イ・ジョンス氏が15日、ソウル高裁508号法廷で開かれた再審で無罪を宣告され祝いの花束を受け法廷を出ている。
"国家は反政府勢力を押さえ込むための政権安保次元で、日本で生まれ育った被告人が韓国語をよくできず十分な防御権を行使することができない点を悪用し、在日同胞という特殊性を無視しむしろ工作捜査の犠牲の羊としました。我が国の裁判所は権威主義統治時代に違法・不当な公権力行使で甚大な被害をこうむった被告人に国家が犯した誤りに対し心から許しを請います。"
26年ぶりに裁判所から許しを請うという話を聞いたが、在日同胞イ・ジョンス(52)氏は泣きも笑いもしなかった。15日、ソウル高裁刑事10部(裁判長 イ・カンウォン)審理で開かれた再審で無罪を宣告されたイ氏は「無念な獄中生活の後にも‘スパイ’という烙印のために日本に帰っても過去を隠して生きてきた、今でも韓国にきて再審を請求する意欲を出せずにいる多くの同胞たちがいる」として首をうな垂れた。
在日同胞イ氏は韓国語を学びたくて1981年高麗大国文科に入学した。その頃、保安司捜査課は‘在日同胞留学生を装ったスパイを探し出す’とし留学生430人の内、イ氏を含む40人を対象者として選定した。保安司はイ氏の下宿部屋を捜索し<マルクスエンゲルス小伝>のパンフレットを発見し、彼を強制連行し拷問した。
拷問は苛酷を極めた。イ氏は「腕で膝をかばうようにして縛った後、膝の間に棒を挟み、机2つの間にかけ、からだがぐらぐらする状態で両側親指の間に電線を連結し電気が流れるようにした拷問が最も苦痛だった」と言った。いわゆる‘鶏の丸焼きを伴った電気拷問’だ。39日間にわたり不法拘禁されたイ氏は無条件に‘はい’と答えた。
‘裁判所は別だろう’と考えたが、期待ははずれた。裁判所は「不当な待遇で虚偽自白をした」というイ氏の陳述を受け入れず、「韓国語に自信がないので通訳人をたててくれ」という要請も無視した。懲役10年を宣告されたイ氏は5年8ヶ月間 服役した後に日本に帰ることができた。現在、日本の大学で韓国語を教えている彼は‘故国’に言いたい言葉が多い。
"スパイ寃罪をかぶせられた在日同胞の中で、私が初めて無罪を宣告されました。私は運良く‘真実・和解のための過去史整理委員会’の存在を知り、真実糾明決定を受け、その調査を根拠にここまできたが、日本にはそのような機構があることさえ知らない人がより多いのです。知ることになっても、その時の拷問のぞっとする記憶を想いうかべること自体を嫌い、韓国訪問の意欲も出せない人々もいます。もう真実和解委も門を閉めました。この無念をどのようにすればいいのでしょう。"
文・写真 ソン・ギョンファ記者 freehwa@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/430611.html 訳J.S