「海外の大学への入学を控えて郵便局から関連書類を送ったのですが、予定どおりに届かず入学が取り消されるのではないかと心配しています」、「休みを取って、月曜日に住民センター(町の役所)に行って書類を発給してもらうしかありませんね」
国家情報資源管理院の大田(テジョン)センターで26日に発生した火災により、行政ネットワークが麻痺し、市民の不安が高まっている。火災の影響で各種行政書類の発給や郵便局業務、国民の安全と直結した消防業務に必要な電算に至るまで、あちこちで支障が生じている。行政安全部は28日午前9時現在、国民申聞鼓(行政機関に苦情・意見を提示するポータルシステム)など647の政府業務システムの稼動が中断された状態だと発表した。
中断された業務システムの3分の2ほどは、国民が利用するサービスであるため、至る所で不便を訴える事例が相次いでいる。日本の大学に合格して書類審査を控えている高校生のAさんはハンギョレに「郵便局を通じて送った書類が予定どおりに届かないのではないか心配だ。最悪の場合、入学が取り消され、浪人を準備しなければならないかもしれないので、とても不安だ」と語った。京畿道高陽市(コヤンシ)に住むYさん(53)は「今すぐLH(韓国土地住宅公社)に提出しなければならない書類がある。とりあえず月曜日に休みを取って住民センターに行ってみようと思う」と話した。前日、全国各地の無人書類発給機には「火災でネットワークの障害が発生し、利用が不可能だ」という案内文が貼られた状態だ。
火災の余波が郵便局の宅配配送網にまで及び、秋夕(陰暦8月15日の節句)連休を約一週間後に控え、郵便局宅配を利用してきた小商工人たちも不安を隠しきれない。
記念用品を販売する会社の代表のSさん(33)は「すでに送った宅配の配送照会ができず、顧客にきちんと受け取ったかどうか連絡をしてみなければならない」とし、「(書き入れ時なので)他の宅配会社を利用してもきちんと届くか確実ではないため、注文も受けられずにいる。売り上げに大きな打撃になる」と語った。
宅配労組郵便局本部の関係者は「電算が麻痺(まひ)し、昔のやり方で作業しているが、手続きが比較的複雑で普段より時間がかかる状況」だと伝えた。郵便と宅配の他に郵便局金融サービスも中断された状態だ。
国民の命と安全に直接かかわる消防業務に必要な電算も一部支障をきたしている。119への通報や受付・出動システムは正常に運営されているが、現場では火災が発生した地域の位置が普段より正確に表れないなどの事例があるという。
現場で働くある消防士は「基地局単位までは位置把握ができるが、Wi-FiやGPS(全地球測位システム)がきちんと作動せず、火災発生地域に数百メートルほどの誤差が出るようになる。警察に位置追跡を要請するなど共同対応しているが、やむを得ず一部遅延がありうる状況」だと語った。
基礎生活保障制度の給与、緊急福祉支援など各種福祉サービス情報を確認して申請できるホームページ「福祉路」も不通になり、福祉受給者たちを悩ませている。東子洞(トンジャドン)サランバン活動家のパク・スンミンさんは「多くの給与や手当ては支給された状態だが、緊急福祉支援は問題になりうる。急いで住民センターに申請しなければならない状況もあるが、支障をきたすのではないかと心配だ」と話した。
公務員たちは月曜日の29日から本格的な「行政混乱」が起きることを懸念している。「政府24」サイトは住民登録謄本・抄本の発給、転入届などオンラインで可能だった行政業務のほとんどを「実物身分証を持参して住民センターを訪問してください」と案内している。
これに加えて公務員が利用するEメールなど内部連絡網も火災の余波で接続が不可能な状態だ。
京畿道のある住民センターで働くN氏は「2023年に行政ネットワークが麻痺した時も苦情が多く、業務が不可能なほどだったが、今回はさらに広範囲で作動していないようだ。月曜日に住民センターが業務を始めると、地獄が広がりそうだ」と語った。