米国当局によって拘禁された300人余りの韓国人らは10日(現地時間)午後、米国からチャーター機で帰国しようとしたが、米国側による突然の通知で日程が延期された。米国に再入国する際、不利益を被らないよう「追放」ではなく「自主出国」の形で帰国させるという政府側の構想と関連し、大詰めの交渉で問題が生じたのではないかという懸念が高まっている。
韓国外交部は10日午後3時50分頃、「ジョージア州に拘禁されていた韓国国民の現地時間10日の出発は、米国側の事情で難しくなった」とし、「できるだけ早急に出発するため、米国側と協議を続けている」と述べた。当初10日午後2時30分に大韓航空のチャーター便で出発する予定だったが、出発時間の11時間前に突然状況が変わった。前日の午後1時から拘禁者たちが収容服の代わりに逮捕当時に着ていた私服に着替えるなど、退所手続きが始まり、拘禁者たちのパスポートも全て大韓航空側に提出され、手続きが進んでいたため、困惑が広がった。
李在明(イ・ジェミョン)大統領もこの日午後、「国民成長ファンド国民報告大会」の最中にメモでこのような内容の報告を受けた。李大統領は行事直後、外交・安保担当者たちと会議を開き、追加状況の報告を受け、対応策などについて話し合った。
外交部によると、米国の移民・関税執行局(ICE)は出発遅延の理由などを説明していないという。ICEは前日夕方、ジョージア州に設置された政府現場対策班に「上部の指示で出発できなくなった。10日にチャーター機は飛ばない」と一方的に通知したという。
ひとまず外交部が「米国側の事情」と言及した点からして、釈放と関連して米国側の実務手続きが残っている可能性があるとみられる。だが、ICEは国土安全保障省の所属機関であるだけに、不法滞在問題に強硬な態度を示しているクリスティ・ノーム国土安全保障省長官の「影響力」が及び、政府側が推進していた自主出国計画に支障が生じた可能性も排除できない。ノーム長官は8日、ジョージア州に拘禁された韓国人に対する質問を受け、「彼らは追放される(be deported)」と述べたからだ。
拘禁された労働者の一部を代理しているA弁護士はこれに関して、「拘禁施設に入った後に署名し釈放されるのは『迅速追放』だ。拘禁施設から『自主出国』するというのは移民法にない手続き」だとして「自主出国は空港から入国できずに帰るか、移民判事が自主出国を許可するなど、二通りのケースだけ」だと説明した。ところが、外交部はこの日の午後、追加の発表で「韓米両国は自主出国の形で最も早い時期に帰国させるための細部協議を進行中であり、これは『追放』とは異なる」とし、懸念を一蹴した。
一部ではジョージア州フォークストンの拘禁施設からアトランタ空港まで移動する手続きなどをめぐり、隔たりを埋められなかった可能性もあるとみている。韓国側が提供するバスを利用して移動することを望んだ政府とは異なり、ICEは自分たちの車で「護送」しなければならないと主張してきたためだ。また、拘禁された労働者たちを束縛するかどうかも争点になった可能性がある。これと関連し、キム・ヨンボム大統領室政策室長は前日、「(拘禁された韓国人を)バスで連れてくる際、現地の法執行機関がこだわっている方式がある。手をどうするか、束縛をするか、などだ」とし、「絶対にそのようなことをしないということまで、一つ一つ最後の行政手続き関連の交渉に最善を尽くしている」と述べた。