韓国の高齢層(55~79歳)のうち経済活動人口が初めて1千万人を超えた。働くことを望む高齢層の半数以上は生活費が目的だったが、高齢層の年金受領の割合の低さと年金額の少なさも無関係ではないものとみられる。
統計庁が6日に発表した2025年5月の経済活動人口・高齢層付加調査によると、高齢層(1644万7千人)全体のうち経済活動人口(実際に働いているか求職中の人)は1年前より32万8千人増加した1001万人だった。2005年に統計作成を始めて以来、1千万人を超えたのは今回が初めて。高齢層の就業者も978万人で、過去最高値を記録し、高齢層の経済活動参加率(高齢者全体のうちの経済活動人口の割合。60.9%)と雇用率(高齢者全体のうち就業者の割合。59.5%)のいずれも最高値を更新した。就業者は10人中4人の割合で単純労務(22.6%)やサービス(14.5%)を担当しており、事務(8.3%)や管理者(2.1%)に従事する割合は比較的低かった。
統計庁のソン・ジュンヘン雇用統計課長は「高齢化により(高齢層人口の)絶対的な規模が増えているが、経済活動参加率や雇用率のように該当する年齢人口における割合も共に上がっているのは、働きたいと思っている人たちも増えたことを意味する」と説明した。
実際、高齢層の10人に7人(69.4%)は将来も働くことを希望していることが分かった。半数以上(54.4%)はその理由を「生活費の足しにする」と答えており、「働く楽しさ」(36.1%)は2位だった。2022年5月の調査から「生活費の足しにする」という理由の比重は減少し、「働く楽しさ」との理由が上昇する現象が同時にあらわれている。ただし、ソン課長は「傾向においての変化はあるが、『生活費の足しにする』というのが依然として半数以上」だと述べた。このような人々は平均73.4歳まで働くことを望んだ。
長く働きたがる理由は、年金支給水準の低さとも関係している。統計庁の調査によると、この1年間、年金受領者の割合は51.7%にとどまる。月平均の年金受領額も、1年前より5.0%上がったにもかかわらず86万ウォン(約9万1千円)にとどまった。これは昨年12月、国民年金研究院が発表した1人基準の老後の最低生活費(136万1千ウォン、約14万4千円)の63%に過ぎない。年金を受け取れない高齢層が半分に近く、年金を受け取っても年金だけでは生計維持が難しく、働き続けるしかない状況だ。
一方、統計庁は今年初めて「最も長く勤めた職場に勤続中の人の平均年齢」(62.6歳)を公表した。最も長く勤めた仕事を辞めた人の平均年齢(52.9歳)に比べると、10歳ほど高かった。男性は退職の理由として事業不振、操業中断、休・廃業(27.1%)、定年退職(21.8%)を主に挙げた一方、女性は健康悪化(26.6%)、家族の世話(25.7%)を最も多く挙げた。