尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時、大統領室から海兵隊員C上等兵の捜査についての「VIP激怒(尹大統領が捜査の結果報告を受けて激怒したという説)」を伝えられたとされるキム・ゲファン元海兵隊司令官の拘束令状が棄却された。
ソウル中央地裁のナム・セジン令状担当部長判事は22日、「被疑者の経歴、住居、家族関係、捜査手続きにおける被疑者の出頭状況および供述態度などを考慮すれば、逃亡の恐れは認めがたい。本件容疑に関して、現在までに確保されている証拠および捜査の進行経過、被疑者の現在の地位などを総合すれば、現段階で防御権行使の次元を超えた証拠隠滅の恐れがあると考えることも難しい」として、キム元司令官の拘束令状請求を棄却した。特検チームは18日、謀害偽証、国会証言・鑑定などに関する法律違反などの疑いでキム元司令官の拘束令状を請求していた。
キム元司令官は今年2月、パク・チョンフン海兵隊捜査団長(大佐)の抗命容疑に対する軍事裁判の一審に証人として出廷し、「VIP激怒」をパク大佐に伝えてはいないと陳述したため、謀害偽証の疑いが持たれている。また、昨年6月の国会聴聞会でVIP激怒説を否定する発言をした疑いも持たれている。
キム元司令官は今月7日と17日に、特検チームに被疑者として出頭して取り調べを受けた際に、「VIP激怒」を伝えたことはないというこれまでの立場を維持したいう。
しかし特検チームは、2023年7月31日の大統領主宰の首席秘書官会議に出席したキム・テヒョ元国家安保室第1次長らから「尹前大統領が怒ったのを見た」という供述を確保し、キム元司令官の陳述には信ぴょう性がないと判断し、身柄の確保に乗り出した。
特検チームは、キム元司令官の身柄確保に失敗したことを受け、近く補完捜査を通じて拘束令状を再請求するかどうかを決める予定だ。