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「もはや辺境ではない」「レッテルは分裂招くだけ」…韓国の極右論争が白熱(1)

登録:2025-07-02 06:56 修正:2025-07-02 10:23
HERI:韓国社会・政治の極端化をめぐる診断と展望 
今年1月19日午前3時に、尹錫悦前大統領の支持者らが乱入したソウル麻浦区孔徳洞のソウル西部地裁の様子=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 「極右はもはや辺境の問題ではない。オンラインコミュニティを基盤にした極右性向が大衆政治の中心部に入ってきた」(チェ・ヨンジュン)

 「明確に定義されていない『極右』という攻撃的な言葉で特定の世代を規定すれば、むしろ感情的反発と社会的分裂を深めるだけだ」(チョン・ハヌル)

 延世大学のチェ・ヨンジュン教授(行政学)とシンクタンク「韓国人研究院」のチョン・ハヌル院長が27日、ソウル麻浦区孔徳洞(マポグ・コンドクドン)のハンギョレ新聞社3階の青巌ホールで開かれた「韓国社会・政治の極端化に対する診断と展望」フォーラムで、韓国社会の極右現象をめぐり相反する意見を出して正面から対立した。両専門家は極右の概念定義、実証的測定方法、社会的意味をめぐり意見が分かれた。このフォーラムはハンギョレ経済社会研究院とシンクタンク「LAB2050」、延世大学福祉国家研究センター、アジェンダニュースが共同で主管した。

延世大学のチェ・ヨンジュン教授が6月27日午後、ハンギョレ新聞社の青巌ホールで開かれたフォーラム「韓国社会・政治の極端化をめぐる診断と展望」で、「韓国社会・政治の極右性向を読む:世代別性向と社会的要因」をテーマに基調発表を行っている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

■21%が極右性向…年齢・所得分布はU字型

 チェ・ヨンジュン教授と福祉国家研究センターの研究チームが3月、全国1000人を対象に実施したアンケート調査で、極右性向は全体の21%に達することが分かった。調査結果を見ると、70歳以上の高齢層(29%)と20代(28%)で極右性向の比率が最も高く、40代(12%)が最も低かったことで、年代別にU字型の分布を示した。20代男性においては、極右性向の割合が33%で、同年代の女性(22%)より1.5倍高かった。30代でも男性(21%)の方が女性(10%)より極右性向が1.5倍以上多かった。このような結果は、極右性向は伝統的に高年齢層に集中するという従来の通念を覆すものだ。

 研究チームは極右を「極(far, extreme, populism)」と「右(right, conservative)」の属性を全て持った集団と定義した。「極」の属性には、権威主義(強い指導者が必要)▽急進主義(既存体制の果敢な打破が必要)▽反エリート主義(既得権層への不信・ポピュリズム)が、「右」の属性には、土着主義(反移民主義)▽保守主義(伝統家族・道徳重視)▽反共主義▽社会ダーウィン主義(能力主義・不平等を正当化)が含まれる。この7項目にすべて同意した回答者を極右性向に分類した。

 極右性向は学歴別では高卒以下(24%)が大卒以上(19%)より高く、職業別では販売・サービス職(33%)で高かった。所得別では低所得層(100万ウォン未満、30%)と高所得層(1000万ウォン以上、27%)など両極端で目立ち、所得でもU字型分布を見せた。

ハンギョレ経済社会研究院などが主催したフォーラム「韓国社会・政治の極端化をめぐる診断と展望」が6月27日午後、ソウル麻浦区孔徳洞のハンギョレ新聞社3階の青巌ホールで開かれ、登壇者たちが討論を行っている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 特に注目すべきなのは、極右性向の集団における自己認識だ。彼らのうち36%は自分を「中道」、9%は「進歩」と認識すると答え、実際の態度と自己認識間の乖離が明らかだった。「保守」と答えた割合は55%だった。これは主観的な政治性向だけで極右を区分するのは危険だということを示している。

 政治・社会的態度でも極右性向の集団は明確な傾向性を示した。政治効能感は低かったが(「私のような人は政府に何の影響も及ぼさない」という質問に77%同意)、「私の考えに共感してくれる人が多くなければならない」という質問には58%が同意し、共感欲求は高いものの、影響力に対する不信感が強いことが分かった。このような極右性向の集団は単一の人口集団の産物ではなく、社会的孤立、経済的不安定、デジタルメディアの拡散など多様な構造的・制度的・個人的要因が複合的に作用した結果とみられる。

 オンラインコミュニティ、アルゴリズム基盤のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、エコーチェンバー(閉鎖的な情報空間において価値観の似た者同士が交流・共感し合うことで、特定の意見や思想が増幅する現象)などが極右性向の拡散に影響を及ぼしているというのが研究チームの診断だ。チェ教授は「デジタル化が深化するほどニューメディアへの依存度が高まり、これは未来に対する不安と社会的孤立、そして極右性向の拡散の可能性を高める」と話した。実際、ニューメディア(オンラインポータル、SNSなど)の利用時間が多いほど極右色が高まり、オフラインで他人との交流が多いほど極右色が低くなった。

 何よりも寂しさを強く感じる集団がオンライン依存度が高くなると極右性向が確実に強くなった。一方、20代では同僚や友人など近い関係との交流が多いほど、70代以上では家族・親戚以外の他人との対面接触が多いほど極右性向が緩和された。世代別に交流の対象と方法によって極右性向の緩和効果が異なるわけだ。協力中心の教育、正しいデジタルメディアの使用教育、効能感の高い政治・社会基盤の回復などが極右性向を緩和しうる道であることを示唆した。

 チェ教授は「極右を理解するということはすなわち、私たちの社会で疎外された感情と累積した不安、そして不条理に向き合うこと」だとし、「この現象がどこから始まったのか、なぜ特定世代と階層で集中的に現れるのかを分析することは、単に政治的関心を越えて、私たちの社会の持続可能性を点検する過程」だと説明した。

(2に続く)

チョン・ウンジュ|ハンギョレ経済社会研究院記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1205349.html韓国語原文入力:2025-06-30 07:37
訳H.J

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