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[ニュース分析] 内憂外患 警察なぜこんな羽目に?

原文入力:2010-06-29午後10:32:14(2097字)
示威鎮圧など無理手 繰り返しても‘指揮部栄転’
法治前面に出し‘検挙責め立て’一線警察官 圧迫感

キル・ユンヒョン記者,ソンチェ・ギョンファ記者

←人権侵害論難を惹起した警察指揮部および主要公職者の発言

企業式成果主義‘人権軽視’あおり
警察が内憂外患の憂いに陥った。性犯罪者キム・ギルテ,キム・スチョル事件に続き、去る26日‘東大門署小学生性暴行事件’で民生治安の穴があらわれたうえ、警察首脳部の実績主義に対する内部の公開批判までが起きた。ソウル、陽川警察署の拷問事件が「警察指揮部の実績主義のせい」というチェ・スチャン前ソウル、江北警察署長の記者会見は腐った患部を外部に克明に表わした。

何が問題で、どこから誤ったのだろうか。警察内部と専門家たちは現政権スタート後、検察・警察が異口同音に強調した‘法治主義確立’スローガンが、実状は処罰と取り締まり、規制などに流れ相対的に人権を軽視する風潮ができ、ここに現警察首脳部が強調する実績主義がかみ合わさって副作用を産んでいるということで意見を共にした。

ソウル地方警察庁所属のある幹部は最近の事態に対して 「新政府になって公企業に導入した企業式成果主義を考えなしに公務員組織にも適用したが、これが警察組織では支障を起こした」と診断した。警察に無理に実績を要求すれば、警察は保護対象である国民を捕まえ実績を満たすしかなく、そのような過程で陽川署拷問のような事故が起こることになるということだ。

人権専門家たちは‘警察危機’の根本原因として、李明博政府になって明確になった人権軽視風土を挙げた。キム・チルチュン弁護士(前国家人権委員会事務総長)は「李明博政府が強力な法執行を促し、成果だけを重視したことが一線警察官らに法手続き遵守や市民人権配慮を疎かにするようにした側面がないか反省しなければならない」と話した。

実際政府は人権を考慮しない警察指揮部の形態があらわれても、これを全く問題視しなかった。昨年10月、国会行政安全委員会国政監査場では、当時ソウル庁指揮部がろうそく集会1周年記念集会の時に警察無線網を通じ集会解散を指揮し吐きだした言葉が公開され論難がおきた。ソウル庁指揮部は「たとえ歩道に(デモ隊が)散在していても攻撃的に追いかけて行き検挙しろ」(チュ・サンヨン ソウル庁長),「罪証して文句を言えば、それなら検挙して」(チャン・ジョンベ交通指導部長),「質の悪いデモ隊ら」(シン・トゥホ警備部長)などの発言で‘集会および示威に関する法律’と‘警察官職務執行法’に明白に外れる指示をした事実があらわれたが、人事上何の不利益も受けなかった。そうするうちに警察指揮部は人権問題を軽視することになり、これは国家人権委員会勧告無視や警察が導入した人権関連制度までも後退につながった。

オ・チャンイク人権連帯事務局長は「こういう経験が何回も反復されるや一線警察官らは‘実績のためにならば何をしてもかまわない’という誤った考えを持つようになったのだろう」と話した。

一線警察官らに対する人権教育などもないがしろにされた。警察は2005年7月、警察人権センターの運用を始め、人権保護のための警察職務規則を制定するなど種々の努力を傾けてきた。しかし現在の警察庁人権センター長(総警級)は2ヵ月にわたり空席だ。人権センターが運営する人権相談電話では2008年に47件、2009年(上半期) 46件の人権侵害事例が受け付けられたが、警告・懲戒などの後続措置がなされた事例は一度もない。昨年9月にスタートした3期警察人権委員会の勧告件数はただの1件に過ぎない状態だ。

警察首脳部のこういう態度は一線警察官たちにどんな影響を及ぼすだろうか?
警察官たちは「警察首脳部で人権を強調するのか、法治を強調するのか、一線警察官たちは大きな関心がない」と話す。だが、一線警察署長や課長など中間幹部らが急き立て始めれば問題が変わると指摘する。警察首脳部が検挙実績などを重要な人事基準としたので、進級に目のない中間幹部らが一線警察官らをひどく圧迫することになるということだ。実際にソウル庁の場合‘警察署長評価制’を通じ各種実績などを土台に順位を付けた後に希望する職務などをあたえる機会を提供し、成果が悪い署長は6ヶ月で交替させるという超強手を用いた。こういう構図の中ではどうにかして成果を引き上げようとじたばたするほかはない。

ソウル市内警察署のある課長は「実績に飢えた中間幹部らは成果の低い職員らを急き立てるが、激しい場合には侮辱感を与えたり休日なしで実績を強要するなど非人間的な待遇をしたりもする」と話した。

キル・ユンヒョン、ソンチェ・ギョンファ記者 charisma@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/428110.html 訳J.S