原文入力:2010-06-29午後06:03:40(2179字)
政府、報道機関と合意してこそエンバーゴ成立
ハンギョレ拒否し報道するや "破棄" 非難
"不快な報道 阻もうとする政治意図" 指摘
イ・ムニョン記者,キム・ヨンフン記者
←大統領府‘問答無用 エンバーゴ’で戦作権報道統制. キム・ヨンフン記者 kimyh@hani.co.kr
韓・米首脳の戦時作戦統制権(戦作権)転換延期交渉過程でふくらんだ‘エンバーゴ’(特定時点まで報道猶予)破棄論難は‘円滑な報道’のための便宜的システムが‘報道統制機能’として乱用される現実を現したという指摘だ。
経緯はこうだ。イ・ドングァン大統領府広報首席は韓・米首脳が26日(現地時間)カナダ、トロントで会い、戦作権転換延期を協議するだろうという23日付<ハンギョレ>(1面)と<京郷新聞>報道を"エンバーゴ破棄" (24日国会運営委員会)と規定した。"当初からエンバーゴが成立しなかった" (25日付2面)というハンギョレの反論に、イ首席は報道資料を出し「一考の価値もない」と主張した。
先立ってイ首席は22日、大統領府出入り記者団に該当内容を伝え‘国益’を理由にエンバーゴを要請し、ハンギョレは論議の末に「戦作権転換延期は公的議論が必要な懸案」として受け入れ拒否の意思を明らかにした。大統領府出入り記者団は24日に総会を開き、2つの新聞社を懲戒することを決め、最終刑量は李明博大統領が帰国する7月3日以後に確定することにした。
チョン・ヨンウ世明大教授は「エンバーゴは政府部署の一方的要求ではなく報道機関全ての自律的合意で成立する」とし「エンバーゴを受けた報道機関が特ダネあるいは速報欲で破ったとすればエンバーゴ破棄だが、当初から受け入れないと明らかにした報道機関に対しエンバーゴを破ったというのは説得力がない」と指摘した。韓-米首脳会談での戦作権転換延期合意の可能性は<中央日報>が去る2日1面トップ記事で報道しすでに公開された懸案だった。
根本問題はエンバーゴを巡る論難の裏面にある。‘戦作権事前報道=国益侵害’という大統領府論理には不快な報道をあらかじめ遮断するという‘政治的意味合い’が敷かれているという分析だ。‘見解が尖鋭に分かれる懸案に対して、社会的公論を導くより最終決定を書き写すのが国益に寄与する言論’だという大統領府の認識も伺える。チョン・キュチャン韓国芸術総合学校教授は「大統領府が首脳会談前の報道を願わないのは、戦作権転換延期の妥当性論議はもちろん韓-米自由貿易協定(FTA)再議論との連係の可能性により社会的不満が提起されることを防ぐための意図と見える」とし「戦作権懸案を巡り国益という定規を突きつけるのは言論が権力の意に符合し沈黙してくれということと同じ」と指摘した。イ・ヨンソン韓瑞大教授は「戦作権転換問題はこの間、数回公開的議論を経た懸案だ。国家機密でもなく新しい内容でもない」とし「国益と見ることも難しいが、本当に国益ならばむしろ公論に付すことが言論の役割に相応しい」と話した。
イ首席がハンギョレのエンバーゴ破棄根拠として提示した‘大統領府出入り記者登録などに関する規定’も、大統領府が好き勝手にエンバーゴを乱発する可能性を明文化したという指摘を受けている。第12条(事前報道禁止など) 2項は「スポークスマンは運営委員会と協議し報道資料に特定時点まで報道制限などを内容とする事前報道禁止を設定することができる」と釘を刺している。韓-米牛肉交渉波動で政府が言論統制を強化しているという批判が噴出した2008年5月に新設された条項だ。
実際に現政権になって大統領府が権力の有利・不利によりエンバーゴを乱用した事例が少なくない。大統領府は昨年行政官のわいろ授受事件を取材した記者らにエンバーゴをかけ、イ大統領が米国歴訪中に韓-米牛肉交渉妥結事実を政府公式発表より現地企業の懇談会で先に公開した事実もエンバーゴを要請した。"日本も偉大な指導者が出てくれば独島問題が大いに変わるだろう" という2008年のイ大統領の発言もエンバーゴ懸案だった。
大統領府が‘戦作権エンバーゴ’を要請した方式も調べるべき内容だ。イ首席は‘戦作権関連エンバーゴ情報があるということをまず公示→エンバーゴを受け入れるか否かを把握→首脳会談の時に議論するという情報公開’という正常手続きに従わなかった。代わりに‘首脳会談で戦作権転換延期議論’という核心情報から投じた後、エンバーゴを受けろと要求した。報道機関に選択の余地を与えないわけだ。当時は国防部を通じて記者らが取材に入った状況だった。キム・ソジュン聖公会大教授は「エンバーゴ受け入れるかどうかを尋ねる前に情報から提供するのは言論学でエンバーゴの副作用を語る時に挙げる典型的な事例」とし「情報部員がエンバーゴ手続きを逆利用し進行中の取材をあらかじめ遮断してしまうことにより記者らをもてあそぶ方式」と説明した。
イ・ムニョン記者 moon0@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/media/428057.html 訳J.S