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米国産牛肉‘安全装置’また無力化 憂慮

原文入力:2010-06-28午後09:29:40(1656字)
30ヶ月以上 輸入制限など
国民健康権‘取り引き’可能性

チョン・ヒョクチュン記者

←ろうそくデモ前後 米国産牛肉 輸入条件比較

[ニュース分析] 韓米 FTA 追加協議 論難

主要20ヶ国(G20)首脳会議参加のためカナダを訪問した李明博大統領がバラク・オバマ米国大統領に韓-米自由貿易協定(FTA)の‘追加実務協議’を約束したことにより米国産牛肉輸入拡大論議が本格化するものと見られる。

特に現在は禁止された‘生後30ヶ月以上牛肉’が交渉のテーブルに上がる可能性が大きい。米国主要言論らは米通商当局と議会関係者たちの発言を引用し、自動車と牛肉分野を交渉議題として既定事実化している。<ワシントン ポスト>は28日社説で 「韓国では牛肉問題が狂牛病波紋を呼び起こした複雑な懸案だが、最近この問題に対する韓国の人々の憂慮が落ち着き、特に北韓の(天安艦)攻撃以後、米国との友好関係に対する有り難みが大きくなっている」とし「(こういう雰囲気は)韓-米交渉当局が残った異見を繕うことを可能にする」と報道した。

こういう米国側の希望どおりに米国産牛肉開放が拡大する場合、これは2008年ろうそくデモの成果として用意された国民健康権を無力化しかねないという憂慮をもたらしている。

李明博政府スタート初期の拙速牛肉交渉に対する国民的抵抗は健康主権のための2つの安全装置を作り出した。最初の安全装置は自主規制である米国の‘品質体系評価’(QSA)プログラムだ。このプログラムは米国肉類輸出業者らが狂牛病危険物質を除去した30ヶ月未満の牛肉だけを韓国に輸出するという自主規制だ。

問題はこのプログラムが両国の通商当局が合意すれば簡単に変わることにある。輸入禁止期間自体が‘韓国国民の信頼が回復する時まで’と曖昧になっている。米国産牛肉に対する韓国消費者らの信頼が改善されたか否かを判断する客観的方法や基準がない。もちろんキム・ジョンフン通商交渉本部長は、韓-米首脳会談後の記者会見で「米国産牛肉を輸入するほど国内消費者の信頼が回復したという証拠はない」と話した。だが、米議会が韓-米自由貿易協定批准の先決条件として牛肉月齢制限を解くように継続要求するならば、この条項はいつでも死文化しかねない。

ろうそくデモの後、与野党合意で改正した‘家畜伝染病予防法’も韓-米自由貿易協定再論議にともなう犠牲羊となる公算が大きい。2008年8月に国会通過した家畜伝染病予防法改正案は、狂牛病発病国家の30ヶ月以上牛肉は発病後5年が過ぎれば輸入できるようになっている。また、輸出国で狂牛病が追加発生すれば、輸入中断措置を下すことができ、輸入を再開しようとするには国会の審議を受けるようにした。こういう条項らは韓-米自由貿易協定の衛生・植物検疫措置(SPS)や通商紛争処理手続きと関連した条項らと正面から衝突する。

30ヶ月以上牛肉の輸入可否は6・2地方選挙であらわれた民心を政府がどのように受け入れるかを試す照尺と言える。台湾政府は昨年10月、30ヶ月未満の骨付き米国産牛肉に対する禁輸措置を撤回した後、12月地方選挙で執権国民党が惨敗した。これに伴い、台湾政府と与党は民心収拾策の一環で、すべての月令のひき肉と内蔵肉輸入を禁止する食品衛生法改正案を用意し、去る1月から施行している。
国際通商専門家のソン・キホ弁護士は 「李明博大統領が去る2008年ろうそくデモの後、国民の前に頭を下げて‘国民の健康は何ものにも変えることはできない’と言った」として「政府は国民健康権の問題をFTA交渉対象としてはならない」と話した。

チョン・ヒョクチュン記者 june@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/427817.html 訳J.S