就任から3年で内乱行為により罷免された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が、14日からソウル中央地裁に出席し、本格的な刑事裁判を受ける。大韓民国の民主主義を危険にさらしたにもかかわらず、反省の色を見せない尹前大統領が、罷免から10日後に法廷に出てどのような発言をするかに注目が集まっている。
尹前大統領は11日午後、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸から出て、瑞草洞(ソチョドン)の私邸に到着した後、住民たちに「何もかも打ち勝って帰ってきましたから、心配しないでください」、「どうせ(辞めなければならないから)5年(韓国大統領の任期は1期限りの5年)でも3年でも(変わらない)」と述べるなど、無責任極まりない態度と異常なまでの自己陶酔を示した。尹前大統領はこの日、法律代理人団を通じて「大韓民国国民の一人に戻り、国と国民のための新たな道を探す」と述べたが、その「新しい道」を模索するためには、まず最高刑が死刑である内乱罪刑事裁判という高い壁を乗り越えなければならない。
ソウル中央地裁刑事合議25部(チ・グィヨン裁判長)は同日午前10時、ソウル中央地裁417号の刑事大法廷で、尹前大統領の内乱首謀容疑の裁判の1回目の公判を行う。同日の初公判は、検察の公訴事実要旨の読み上げと尹前大統領側の立場陳述、証人尋問の順に進められる予定だ。尹前大統領は被告としてこの日の裁判に出席が義務付けられているが、裁判長に要請し、事件と関連した発言をする可能性もあるとみられる。
主な争点は尹前大統領の非常戒厳宣布に内乱罪の構成要件である「国憲を乱す(国憲びん乱)目的」があったか、軍と警察を動員したことが暴動に当たるかなどだ。検察は軍と警察を動員した国会封鎖は国憲を乱したもので、暴動に該当すると主張するが、尹前大統領側は国憲を乱す目的はなく、暴動でもなく、被害もなかったと反論している。
検察が収集した証拠に対する判断も主な争点になるものとみられる。尹前大統領側は先月24日、2回目の公判準備期日で、「検察が内乱罪捜査権のない高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が収集した証拠をもとに起訴したため、公訴提起手続きは違法だ」と主張した。これに対し、検察は裁判所の令状発付で公捜処の捜査権の適法性が確認されており、公捜処の捜査内容だけで起訴したわけではないため、問題がないという立場を示している。地裁は「違法に収集した証拠は裁判進行過程で争いの余地がある」とし、両側の意見を総合し、今後証拠の排除の可否を決める方針だ。
同日、当初証人として予定されていたチェ・サンモク副首相とチョ・テヨル外交部長官は出席せず、検察側が申請したチョ・ソンヒョン首都防衛司令部第1警備団長、キム・ヒョンギ特殊戦司令部第1特戦大隊長に対する証人尋問が行われる予定だ。チョ団長は先立って尹前大統領の弾劾審判に証人として出席し、12・3非常戒厳当時にイ・ジヌ首都防衛司令官から「議員たちを引きずり出せ」という指示を受けたと証言しており、キム大隊長はイ・サンヒョン特殊戦司令部第1空輸旅団長から同じ指示を受けたという。
尹前大統領の公判期日は今月21日と28日、来月8日など毎週行われる見通しだ。地裁は、他の主要裁判のように公判を2週間に3回以上進めることを念頭に置いていると明らかにした。尹前大統領が現職大統領の特権を失い、職権乱用の疑いなどで追加起訴され、裁判が増える可能性もある。
地裁は同日、内乱の重要任務従事の疑いが持たれている関係者らの裁判との併合などについても、双方の意見を聞いて調整するものとみられる。