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憲法裁でも相次いだ尹錫悦前大統領のうそ…罷免決定で「自縄自縛」

登録:2025-04-07 07:25 修正:2025-04-07 08:40
尹錫悦のうその抗弁、自身の証言で論破 
憲法裁「被請求人が権限を再び行使すれば 
国民は違憲・違法を絶えず疑うだろう」
尹錫悦大統領が2月25日、ソウル鍾路区の憲法裁判所で行われた自身の弾劾審判の第11回弁論で、最終意見陳述をおこなっている=憲法裁判所提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦前大統領は1月21日に行われた弾劾審判の第3回弁論から最後の弁論まで出席し、156分間にわたって自身の潔白を主張した。だが、うそはまた別のうそを生んだ。尹前大統領の抗弁は自身の法廷での証言で反論され、彼の「自縄自縛」は憲法裁判所の決定文に丸ごと記された。

 尹前大統領は、野党の横暴などのせいで国家非常事態に陥った現実を国民に知らしめるためのものだったとして、「警告のための、(国民に)訴えるための戒厳」を主張した。だが尹前大統領は1月23日の第4回弁論で、「戒厳解除には少なくとも数日かかると予想したが、予想より早く終わった」と述べた。憲法裁はこの発言を根拠に、決定文で「単に国民に訴えることを目的として戒厳を宣布したとみることはできない」と述べた。布告令まで発令して国民の基本権をも制限する非常戒厳を少なくとも数日続けようとしていたという尹前大統領の意図と「国民に訴えるための戒厳」の主張は矛盾する、との判断だ。

 憲法裁は、「象徴的布告令」だったという尹前大統領の主張の虚構性も彼の証言から引き出した。キム・ヨンヒョン前国防部長官の作成した布告令草案から「国民に不便をかける恐れがあるため、『夜間通行禁止』という文言を削るよう指示した」というのが尹前大統領の法廷での証言だ。これについて憲法裁は、「布告令が執行されないと考えていたなら、夜間通行禁止条項を削除する必要はなかった」として、尹前大統領には違憲で違法な布告令を実行する意思があり、それにともなう責任もあると判断した。

 警察を動員した国会封鎖を自身が阻止したとする尹前大統領の抗弁も、彼の別の発言で反論された。尹前大統領は今年2月13日の第8回弁論で、「私の記憶では、(昨年12月3日にソウル三清洞(サムチョンドン)の安家(秘密維持のために用いる一般家屋)で紙を置いて、キム・ヨンヒョン前長官がチョ・ジホ警察庁長とキム・ボンシク前ソウル庁長に、国会の外郭のどちらの側に警察力を配置するのがよいと言いながら絵を描くのを見た」と述べた。尹前大統領は、警察による国会封鎖はキム前長官の指示だったとして、キム前長官に責任を転嫁する趣旨の主張を展開したが、憲法裁は尹前大統領が警察に対するキム前長官の国会封鎖指示を黙認したのはつじつまが合わないと判断し、「被請求人の主張は信じ難い」と述べた。

 国務会議の承認と国務委員の副署(署名)を得るという非常戒厳の宣布手続きに違反したという争点についても、尹前大統領は「極度の保安が要求される非常状況では、事後的に文書を作成して決裁せざるを得ない」と主張した。しかし憲法裁は「被請求人はこの事件の戒厳宣布前、大統領室の大接見室に国務会議の11人の構成員が集まっている時、付属室長カン・ウィグが非常戒厳宣布文を10部コピーしてキム・ヨンヒョンに渡したと主張しているため、保安上の理由で決裁できなかったという主張は納得し難い」と述べた。

 憲法裁は決定文の最後で、尹前大統領の抗弁は「納得し難い」として、「もし被請求人が大統領としての権限をまたしても行使することになると、国民としては被請求人が憲法上の権限を行使する度に憲法が規定していることとは異なる隠れた目的があるのではないか、憲法と法律に違反しているのではないか、などを絶えず疑わざるを得ない」と述べた。尹前大統領の露骨なうそが罷免決定に至った一つの要因だということを明示したのだ。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1190961.html韓国語原文入力:2025-04-06 15:19
訳D.K

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