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米国のセンシティブ国指定…保守権力の核武装論と戒厳が招いた外交大惨事=韓国

登録:2025-03-17 06:46 修正:2025-03-17 08:47
【ニュース分析】米国「センシティブ国指定」の波紋  
バイデン政権の決定、トランプ政権が修正せず施行 
韓国の地位に打撃…先端技術協力の制限は避けられず
2023年4月26日(現地時間)、ホワイトハウスのイーストルームで開かれた国賓晩餐会で、尹錫悦大統領が「アメリカンパイ」を歌っている/聯合ニュース

 米国政府が原子力と人工知能(AI)など先端技術協力が制限される「センシティブ国」リストに韓国を加えたと公式に発表し、波紋が広がっている。同盟国である韓国に対する米国のセンシティブ国指定には、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後、韓国保守陣営に広がった「核武装論」と尹大統領の12・3非常戒厳宣言が決定的な影響を及ぼしたものとみられる。

 米エネルギー省の報道官は14日(現地時間)、「エネルギー省は広範囲な『センシティブ国およびその他の指定国リスト』(SCL)を維持しており、前政権(バイデン政権)が2025年1月初めに韓国をこの中で最も低い段階である『その他の指定国』に追加した」と発表した。米国エネルギー省傘下の情報機関である情報防諜局が指定し管理するセンシティブ国は、段階によって「その他の指定国」(イスラエル、インド、パキスタンなど)、「危険国」(中国・ロシアなど)、「テロ支援国」(北朝鮮、シリア、イランなど)に分類されるが、韓国がこのリストに含まれたのは初めて。

 米国エネルギー省はどんな理由で韓国をリストに加えたのかは明らかにしなかったが、バイデン政権末期の1月初めに今回の措置が決定されたことに注目する必要がある。「ロイター通信」は15日、韓国で「核兵器を開発すべきだ」という主張が広がっている中で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣布した後に、米エネルギー省が韓国をセンシティブ国に指定したと報道した。米国政府は2023年1月、「大韓民国が戦術核を配置するとか、独自の核を保有することもあり得る」という尹錫悦大統領の発言以来、韓国内の核武装論を注視してきた。その後、バイデン政権は韓米核協議グループ(NCG)を構成し、北朝鮮の核の脅威にともに対応することにしたうえ、小型モジュール原子炉をめぐる協力も推進し、韓国が非核化の原則を順守するようにした。

 ところが、2024年11月にドナルド・トランプ大統領が当選するや、韓国では「トランプ政権は韓国の核武装を認めるだろう」という考えとともに保守政治家を中心に核武装論、核自強論の声が急速に広がった。こうした中、尹錫悦大統領が昨年12月3日に非常戒厳を宣布したことを受け、韓国に対する失望と韓国の国内政治不安に対する懸念がセンシティブ国の「引き金」となったものとみられる。

 軍備管理協会のダリル・キンボール会長はロイターに「(尹錫悦大統領と韓国の政治家の)挑発的な発言を考えると、韓国は核拡散のリスクががあり、(これによって)エネルギー省は慎重に判断し、韓国を(センシティブ国の)リストに加えた」とし、「韓国が核拡散センシティブ国に含まれると、米国からウラン濃縮や使用後の核燃料再処理の承認を受ける可能性も排除される」と述べた。バイデン政権が指定したが、トランプ政権もこれを覆さずに施行しようとする点も注目に値する。

 今回の措置で韓米原子力・先端技術協力が禁止されるわけではない。エネルギー省の報道官は「リストに含まれたからといって、必ずしも米国と敵対的な関係を意味するわけではない」とし、「指定国の中にはエネルギー、科学、技術、テロ防止、不拡散など多様な分野で定期的に協力する国も含まれている」とし、韓国の懸念を静めようとした。

 しかし、テロ支援国であり違法核兵器の開発国である北朝鮮と韓国がセンシティブ国として類似の位置に置かれるようになったことで、韓米同盟と韓国の地位は打撃を受けざるを得ない。最大野党「共に民主党」のウィ・ソンラク議員は「弱い段階の制約が始まったのも深刻な問題だ。同盟をリストに加えたということ自体が、韓国には大きな影響を及ぼすだろう」と指摘した。ウィ議員は「米国情報当局が数カ月間検討して取った措置なので、元に戻すことも容易ではない」と補足した。

 現場でもセンシティブ国指定による懸念が広がっている。センシティブ国出身の研究者たちは、米エネルギー省所属の研究所と研究プログラム、情報にアプローチするためには特別承認を受けなければならず、「訪問と協力には事前に内部検討が必要」と規定されている。米国立研究所のある研究者は「個人目的であれ出張であれ、韓国に行く時は研究所に事前報告をしなければならず、パソコンなども持って行けなくなるため、米国国立研究所所属の研究員たちは韓国で開催される学会への参加が難しくなる」とし、「韓米間の政府支援で進められている課題を続けられるかも協議しなければならない」と語った。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1187212.html韓国語原文入力:2025-03-17 00:58
訳H.J

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