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案件提案も議決もなかった国務会議…「尹錫悦談話」に向けた形だけのものだった

登録:2025-01-31 06:42 修正:2025-01-31 08:34
「22時談話、生放送」に合わせて強引に国務会議を召集した形 
一部の国務委員ら「国務会議が開かれたと言えるのか」と当惑  
 
イ前行政安全部長官、警察で「議決にいたる過程、なにもなかった」という趣旨で供述 
チェ権限代行「接見室で待機…国務会議なら手続きにおいて深刻な問題あり」
イ・サンミン前行政安全部長官(左端)が22日午前、国会で開かれた「尹錫悦政権の非常戒厳宣言による内乱容疑の真相究明に向けた国政調査特別委員会」聴聞会に出席し、証言を拒否している=ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

 昨年12月3日夜、非常戒厳を宣布する前に開かれた国務会議で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の最側近だったイ・サンミン前行政安全部長官が、「国務委員全員が反対している」として、非常戒厳宣布を取りやめるよう尹大統領を引き止めたことが30日に分かった。実質的な案件審議もなく形だけのものとして会議が招集され、尹大統領が非常戒厳を宣布したことを受け、国務委員らは「正常な国務会議とは言えない」という意見も交わしたという。チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官も警察の取り調べで、「ただ会議室で待機していたら終わった程度」だとし、国務会議の手続きに問題があったことを強調したという。

 イ前長官は先月16日の警察の調査で、非常戒厳計画を知った国務委員らがこれに反対したことを受け、非常戒厳を宣布する直前に尹大統領に「本当にだめだ。国民は納得しない。国務委員全員が反対している」として引き留めたと供述した。「国務委員全員が反対」したというイ前長官の供述は、「非常戒厳に同意した国務委員がいた」というキム・ヨンヒョン前国防部長官の主張(23日憲法裁判所証人尋問)と食い違うもの。先月5日、国会行政安全委員会の全体会議で「(国務会議で)『反対』という言葉を使った方は数人ほどいたと記憶している」とし、反対意見は多くなかったという趣旨の自身の発言とも異なる内容だ。12月3日の国務会議に出席した国務委員は11人。

 この日の国務会議はハン・ドクス首相の建議で招集されたもので、会議に出席した国務委員らは「国務会議を開けば国民向け談話を遅らせることができるし、その間に尹大統領が非常戒厳について考え直すだろう」と期待していたという。ところが、尹大統領は「22時にKBSの生放送で(非常戒厳を)発表する。すでに(関係者を)呼んでおいた」とし、非常戒厳の宣布を急いだという。午後10時になると、尹大統領がイ前長官に「国務委員は全員揃ったのか」と尋ね、「全員到着したわけではない」と答えると、尹大統領は「22時に(ブリーフィングルームに)行かなければならないのに」と述べた。結局、尹大統領は国務委員らに引き止められたにもかかわらず、ブリーフィングルームに向かい、国民向け談話を発表した。非常戒厳宣布文に明示した「12月3日22時」に合わせるため、国務委員らの反対にもかかわらず戒厳を強引に押し通した格好だ。

 イ前長官は、国務会議で「案件提案、提案理由の説明、案件討議、議決の過程はあったか」という警察の質問に対し、いずれも「なかった」と答えた。イ前長官は警察の取り調べで、国務会議の成立可否について「司法的判断を受けなければならない事案」とも述べたという。警察は、非常戒厳宣布直後に数人の国務委員が「実際に国務会議が開かれたといえるのか」と当惑したという供述も確保した。ハン・ドクス首相も同日の国務会議を合法的な手続きに則ったものといえるかについて、関連の判例を探すようイ前長官に指示したという。

 イ前長官はまた、非常戒厳宣布直後、大統領室付属室の職員に「議事録の作成のために記録を残すように」と指示したという。「出席した長官(国務委員)、会議の時間、発言の要旨などを記録に残すように」指示を下したが、職員は「その場にいなかったので発言の内容を知らない」と答えており、イ前長官は繰り返し「長官が何人、何時頃来たという程度でも書いておけ」と指示したと警察の取り調べで陳述した。12・3非常戒厳宣布の手続き的違法性を国務委員が認識していたことを示す情況だ。

 非常戒厳宣布に反対するという意思を明確にしたチェ権限代行も先月12日、警察の調査で「(12月3日の国務会議は)正常な会議の雰囲気ではなかった」と述べた。チェ権限代行は「接見室で待機する雰囲気だった」とし、「それが国務会議ならば、手続きにおいて深刻な問題がある」と陳述した。

 一方、イ前長官は先月の警察の取り調べで、12・3非常戒厳当時、ハンギョレなど報道機関に電気と水の供給の遮断を指示した事実は隠した。「非常戒厳宣布直後、ホ・ソッコン消防庁長と電話で話した時、何を指示したのか」という警察の追及に、イ前長官は「事件・事故(の報告)が入ってきたことがあるかと尋ね、国民の安全を格別に気を付けるように指示した」と供述したという。

オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1180095.html韓国語原文入力: 2025-01-30 22:12
訳H.J

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