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「尹大統領が闘うべき対象を正確に教えてくれた」韓国の極右青年らの政治不信(1)

登録:2025-01-23 08:57 修正:2025-01-23 10:02
同調から暴動へ 極右の先鋒となった20~30代-上 
憲政秩序無視、一線を越える
内乱首謀容疑で逮捕された尹錫悦大統領が出席する中、拘束前被疑者尋問(令状実質審査)が行われた18日、ソウル麻浦区のソウル西部地裁で、尹大統領の支持者が裁判所の柵を越えようとしている=写真共同取材//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束令状が発行された19日未明、ソウル西部地裁に乱入して暴動を起こし、現場で捕らえられた20代の青年A氏ら46人全員の拘束令状が21日に請求された。46人のうち、A氏と同じ20代は6人、30代は19人で、半数以上(54%)が青年だ。ソウル警察庁は、この日から順次、「彼らに対する拘束前被疑者尋問が行われるだろう」と説明した。法の解釈と審判を担う法治のとりで、司法府の権威を無惨におとしめた夜が過ぎ、青年A氏は拘束の審判台に立たされる立場となった。一線を越えてしまった。

 それから47日前、大統領尹錫悦は政治活動と市民の基本権全般を制限する非常戒厳を宣布し、戒厳軍は国会に乱入した。一線を越えて、立法機関の窓ガラスを粉々にした。それが原因で15日に逮捕される直前、大統領尹錫悦はある意味、青年A氏を思い浮かべながら語った。「青年たちが自由民主主義の大切さを本当に再認識するようになり、それに対する情熱を示してくださるのを見て…この国の未来には希望があると考えるようになりました」

 青年A氏と大統領はどのように出会い、憲政秩序の一線を越える例のない悲劇に至ったのか。ハンギョレは、尹大統領がソウル漢南洞(ハンナムドン)の官邸に隠れて逮捕状の執行を拒否していた時期に官邸の前に集まっていた青年の声を集中的に聞いた。その際にインタビューに応じる意思を明らかにした3人の青年に、今月7~8日と20日に各々1時間にわたりインタビューを実施した。登場する青年の名前は、本人の要請により、いずれも仮名。

■「極右」の世代交代

 「『高齢層の集会』対『若者の集会』、こんな風にレッテルを貼らないでほしい」。子育て中の平凡な主婦、イ・ジミンさん(33)は大統領支持者集会の性格について語った。尹大統領を支持する新自由連帯の集会は先月24日から、大統領官邸から300メートルあまり離れた国際ルター教会の前で行われてきた。以前は政治集会に参加したことはないというイ・ジミンさんは今月1日、尹大統領の「みなさんと共に最後まで闘う」というメッセージを見てから、ほぼ毎日官邸前に出かけた。「私たちが闘うべき対象が何者なのかを正確に教えてくださいました」

 依然として高齢層が大多数を占めるものの、2016~2017年の太極旗集会に比べて尹大統領支持集会に青年の占める割合は高まっている。主催者側の意図と実際の雰囲気が融合している。集会初期にチョン・グァンフン牧師が作った「清教徒霊性訓練院」の名が記されたチョッキを着た青年たちが、集会現場で道を案内したり間食を配ったりしている。反フェミニズム団体「新男性連帯」のペ・インギュ代表も、20~30代の男性に参加を呼びかけている。

 今月10日からは、司会者は完全に「青年」のみを舞台発言者として立たせている。13日には、集会は名前も「20~30尹錫悦弾劾無効」に変更された。舞台に立った青年たちは「これまでは年配の方々が闘ってくださったから、これからは私たちが闘う」として「世代交代」を誓った。発言者たちにはハンバーガーと「滅功棒」と呼ばれるペンライトが配られた。

 韓国ギャラップの調査では、尹大統領の弾劾に反対と答えた人の割合は20代で25%、30代では29%に達した。朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追直前の2016年12月の弾劾反対世論が2%(20代)にとどまったことと比べると、顕著な変化だ。内乱時の国会侵奪が生中継までされ、直観的な衝撃を与えたこと、戒厳布告令が基本権を侵害し、日常の侵奪と直結していたことを考慮すると、なおさら理解し難い。

 イ・ジミンさんは言う。「8年前は疎外感を抱きました。あの時は報道される話だけを信じて極限にまで追い込んだとすれば、今はユーチューバーも活性化しているし、もう少し客観的に現実が見られますからね」。すでに偏向し、汚染されている「制度圏報道」と、政界が語らない「オルタナティブな世界観」を、2025年の官邸前とソウル西部地裁前の青年は持っているということだ。(2に続く)

コ・ナリン、チョン・ボンビ、イム・ジェヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1179133.html韓国語原文入力:2025-01-22 05:00
訳D.K

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