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警護処のナンバーツーとナンバースリーが尹大統領夫人派···「尹錫悦要塞」は健在

登録:2025-01-11 06:36 修正:2025-01-11 08:22
尹錫悦大統領に対する逮捕状の執行を阻止した容疑で立件されたパク・チョンジュン大統領警護処長が10日午前、ソウル西大門区の国家捜査本部に出頭し、取材陣の質問を受けながら取調室に向かっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する逮捕状の執行を阻止し、特殊公務執行妨害の疑いで立件されたパク・チョンジュン大統領警護処長が10日、警察に自ら出頭したことで、警護処が構築した「逮捕状阻止線」に亀裂が生じるかどうかに関心が集まっている。警護処は、キム・ソンフン警護処次長を中心に逮捕状の執行阻止を続ける方針だ。

 パク処長はこの日午前、ソウル西大門区警察庁国家捜査本部に出頭し、「警察の取り調べには最初から応じるつもりだったが、弁護団の準備が遅れて今日応じることになった」と述べた。これまで警察の2回にわたる出頭要請に応じなかったパク処長は、警察が3回目の出頭要請の期限としたこの日午前10時に警察に出頭した。警察は、パク処長が同日も出席しなければ、逮捕状を請求する計画だった。パク処長は出頭に先立ち、チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官に辞表を提出しており、チェ権限代行はこれを受理した。

 警護処は同日、パク処長の警察出頭の事実をマスコミに知らせただけで、立場を表明しなかった。尹大統領側と警護処は、パク処長が警察に出頭しても、キム次長を中心に逮捕状の執行を阻止する阻止線を維持することには変わりがないという立場だ。尹大統領弁護団公報を担当するユン・ガプクン弁護士は同日午前、記者団に対し、「警護処長が警護区域の外にいるため、警護処長が調査を終えて復帰するまで、規定により警護処次長が職務を代行することになる」と伝えた。

 緊急逮捕される可能性があるにもかかわらずパク処長が警察に自ら出頭したのは、尹大統領の逮捕状の再執行の際、現場で警護対象でない自分は特殊公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕される可能性があるという現実的な判断をしたためとみられる。また、自ら出頭することで、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の逮捕状の執行とやり方に問題があるという世論戦を目指している可能性もある。

 パク処長は同日出席し、「現職大統領にふさわしい(尹大統領の)捜査手続きが進められるべきだと思う。現在のような逮捕状の執行手続きは望ましくない」と主張した。ユン弁護士も「警察が警護処幹部らを呼んで取り調べる目的は、警護処指揮部を崩壊させ不法に大統領を逮捕するためであることが明らかだ」と主張した。

 パク処長が不在でも、野党が「キム・ゴンヒ(尹大統領夫人)、キム・ヨンヒョン(元警護処長で前国防部長官)派」とされるキム・ソンフン次長、イ・グァンウ警護本部長が逮捕状の執行阻止の先頭に立つとみられている。二人はパク処長と同じように逮捕状の執行を妨害した疑いで警察に立件されたが、イ本部長はこの日が期限である警察の2回目の出頭要請に応じなかった。8日までの2回目の出頭要請に応じなかったキム次長は11日午前10時を時限に3回目の出頭要請を受けた状態だ。

 国会行政安全委員会所属のある民主党議員は「パク・チョンジュン処長が出頭したことについて『投降だ、瓦解だ』と話すにはまだ早い」としたうえで、「むしろ出頭したという名目を立てておいて、抵抗の壁を維持しようとする思惑もあるとみられる。特に警護処には『キム・ゴンヒ派』とされる中間幹部たちが健在だ」と語った。別の民主党関係者も「警護処内部が一部動揺しても、首脳部が1回目の逮捕状執行の時のように激しく抵抗することも考えられるため、予断を許さない状況」だと予想した。

高位公職者犯罪捜査処の尹錫悦大統領に対する2回目の逮捕状の執行が秒読みに入ったなか、10日朝、ソウル龍山区の大統領官邸の入り口で車両と関係者たちが移動している=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 ただし、パク処長が自ら出頭したこと自体が、現在孤立している警護処の状況を示しているのではないかという見方もある。警察庁非常戒厳特別捜査団(特捜団)は、約1000人の警察官を尹大統領の2回目の逮捕状の執行に動員すると予告した。しかし、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸の警備と警護を担当する軍・警察は、すでに警護処に協力しないという意思を明らかにしており、逮捕状の執行を阻止するためには、警護処だけで警察を相手にしなければならない。逮捕状の執行阻止に動員できる警護処の人員は最大700人余りだが、実際に動員可能な人員はこれには及ばないという。

 パク処長は同日、記者団に対し、「いかなる場合であれ、物理的衝突や流血事態が起きてはならないと考えており、これまでチェ・サンモク大統領権限代行に何度も電話をかけ、政府機関間の仲裁を提案した。大統領弁護団にも第3の代案を要請したことがある」と述べた。警護処も警察との衝突を憂慮しているものとみられる。

 官邸に勤める警護処の職員たちの動揺も流れている。この日「文化放送」(MBC)のラジオ番組「キム・ジョンベの視線集中」は、官邸に勤務する警護処の職員が知人に送ったメッセージだとして、「多くの職員は命令なのでやむを得ずここにいる。入口を開けるわけにはいかないから立っているだけ」「指揮部とキム・ヨンヒョン-キム・ゴンヒ派だけが意気込んでおり、一般職員は動揺が大きい」という内容を公開した。

 野党では、「警護処の内部が動揺している」とし、2回目の逮捕状の執行は1回目に比べて容易になるという見通しも示されている。国会運営委員会が17日、警護処を対象に「ピンポイント」懸案質疑を開くことにし、警護処長と次長だけでなく部長級まで含む職員20人の出席を求めたことを受け、内部の動揺はさらに大きくなったという。民主党のある関係者は「警護処の職員はこのままでは仕事を失いかねない状況」だとし、「昨日と今日、警護処内部で『このように武力を動員してはならない。とにかく方法を探してみよう』という議論があったという話を聞いた」と伝えた。同関係者は、尹大統領が強制的に引きずりだされる場面を作らないため、警護処と捜査機関の間で詰めの協議が進められる可能性もあると予想した。

イ・スンジュン、キ・ミンド記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1177354.html韓国語原文入力:2025-01-10 23:33
訳H.J

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