韓国国家情報院は19日、「ウクライナ戦に派遣された北朝鮮軍で100人を超える死者が発生し、負傷者は1千人余りに達すると把握している」と明らかにした。国情院は「北朝鮮軍がさらに派遣される可能性も注意深く見ている」と補足した。
国情院はこの日、国会で開かれた情報委員会非公開懇談会で、「クルスク州に配置された北朝鮮兵1万1千人余りのうち、12月に入って一部が実際の戦闘に投入され始め、この過程で死傷者が発生した」と報告した。国情院が北朝鮮軍の死傷者発生の事実と人数を公開したのは今回が初めて。これに先立ち、国情院は先月24日、「死傷者が発生したという具体的な情報があり、確認している」とだけ述べた。クルスク州は8月にウクライナ軍が奇襲攻撃によって占領した地域で、ロシア軍は同地域を奪還するため、激しい戦闘を行っている。
国情院がこの日に報告した死傷者の規模は、「少なくとも200人死亡」という海外メディアの報道とは多少差がある。国会情報委与党幹事のイ・ソングォン議員は「国情院はできるだけ慎重に(死傷者を)分析するため、100人以上と表現した」と説明した。国情院はまた「(クルスク州における)交戦以前にもウクライナのミサイル・ドローン攻撃、訓練中の事故で将官級を含む数人の北朝鮮兵の死傷者が発生した情況がある」とも述べたという。少ない交戦回数にもかかわらず北朝鮮兵の死傷者が多数発生した理由については、「遮る物がなく視界が開けた土地という慣れない戦場環境で北朝鮮兵が戦線突撃隊として使われており、ドローン攻撃に対する対応能力が十分ではないため」だとし、「ロシア軍内部でも北朝鮮軍がドローンに無知なためむしろ苦労しているという不満があがっている」と説明した。
国情院はまた、北朝鮮軍が追加で派遣される可能性についても言及した。これに先立ち、派兵を主導した北朝鮮暴風軍団(第11軍団)内で追加の兵力派遣説が流れており、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が訓練を視察しようとしている状況が把握されたという。暴風軍団は特殊作戦軍隷下の精鋭部隊で、兵力規模は4万人余りと知られている。国情院は「(追加派兵の)見返りとして、ロシアが北朝鮮軍の通常兵器の現代化を支援することなどが予想される」と述べた。イ議員は「追加派兵の規模はまだ話せる段階にない。戦況と北朝鮮軍の被害規模によって派兵規模が決まるだろう」とし、「暴風軍団を中心に派遣される余力がある」と述べた。
国情院は北朝鮮が「12・3内乱事態」と関連してまだこれといった反応を示していないと報告した。国家情報院は「北朝鮮は韓国の状況に対してローキー(low key)を維持している」とし、「12月11日と12日、16日の3回にわたり労働新聞と中央通信を通じて韓国状況に対する事実関係だけを報道している状況」だと述べた。
同日の懇談会は、与党議員だけが出席した中で開かれた。野党「共に民主党」は「12・3内乱事態」で告発されたチョ・テヨン国情院長から懸案報告を受けることは不適切だとし、出席しなかった。