3日夜の非常戒厳下で2時間8分間にわたって国会を「全面封鎖」した警察の指揮者らが、「指示を忠実に履行しただけ」という抗弁を繰り返している。違法な非常戒厳と布告令に、何ら問題意識を持つことなしに服従したとの趣旨だ。
5日の国会行政安全委員会の緊急懸案質疑で、共に民主党のパク・チョンヒョン議員に「戒厳軍が国会本館を侵奪している間、国会警備隊長は何をしていたのか」と問われ、国会警備隊のモク・ヒョンテ隊長(総警:警視正に相当)は「上命下服に忠実な警察官として、大統領の厳重な戒厳令にもとづいて下された指示を聞いて、その指示が正当な指示だと判断した」と答えた。
「指示そのものが違法だった」という趣旨の基本所得党のヨン・ヘイン議員の指摘にもかかわらず、モク隊長は「戒厳令は大統領命令であり、警察公務員として指示を忠実に遂行しなければならないと考えた」として、「任務を遂行していた時、違法だとは考えなかった」と語った。モク隊長は、戒厳軍が国会に侵入している状況にあっても、そのことを国会議長などに報告しなかったと述べた。
非常戒厳が宣布された3日、国会警備隊は談話発表直後の午後10時30分ごろから国会への出入りの遮断を開始。モク隊長はその際、現場で自ら規制を指示した。警察は布告令発動後の午後11時37分から約2時間8分間にわたって国会を全面封鎖したが、その際もモク隊長は国会敷地内で国会警備隊を指揮していた。当時、国会議員たちは非常戒厳解除要求決議案を採決するために国会議事堂に集まりつつあったが、警察の規制にあった。
チョ・ジホ警察庁長も「指示に従っただけ」との態度を保っている。チョ庁長はこの日、「布告令が憲法と法律に則っていたと自信を持って言えるか」と行政安全委員会のシン・ジョンフン委員長に問われ、「当時の状況にもとづいて評価されるべきだ。国務会議によって発令された戒厳令であり、戒厳法に則って司令官が発動した布告令だった」と答えた。
国会の全面封鎖を実行した警察の指揮部は「忠実な指示の履行」だったとの立場を繰り返しているが、このような理由は免罪符になりえない。最高裁判所は、違法な命令だった場合、上官の指示に服従したという理由での免責を認めていない。12・12軍事反乱の首謀者である全斗煥(チョン・ドゥファン)氏に無期懲役を確定した1997年の最高裁判決にもとづく法理だ。