原文入力:2010-06-10午後08:28:05(3632字)
監査院 発表内容 覗いて見ると…
クォン・ヒョクチョル記者
←天安艦沈没事件と関連し中間発表に出た監査院パク・スウォン第2事務次長が10日午後、ソウル監査院ブリーフィングルームで調査結果を発表するため演壇へ向かっている。 パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr
監査院は10日に発表した‘天安艦沈没事件対応実態’監査結果(中間発表)内容はA4用紙5枚分に過ぎない。監査院は他の監査の時とは異なり、軍事安保と軍事機密保護を理由に監査結果の全文を公開せず、具体的な監査結果も明らかにしなかった。監査結果発表の後になされたパク・シジョン監査院行政安保監査局長と取材陣の間の質疑応答時間もパク局長が概して「公開できない、明らかにすることはできない」という返事で一貫し20分も経たずに終わった。
だが、監査院が曖昧にちびりちびりと明らかにした監査内容だけ見ても、軍事対備態勢、状況報告および伝播など指揮報告体系、初動措置、状況発生後の危機対応など随所にあきれる問題点が多くあらわれた。軍当局は当初事態の危機管理班を招集しないなど事態の深刻性を的確に把握できず、のろま報告と虚偽報告、現場報告黙殺、資料操作などがあったと監査院監査の結果 確認された。天安艦沈没事故と関連した軍当局の対応は一言で言えば‘総体的不良'‘総合不良セット'というに値する。さらに監査院のこの日の発表内容は監査結果のきわめて一部に限定されており、実際は天安艦沈没事故対応過程であらわれた軍当局の問題点の中の‘氷山の一角’に過ぎないという指摘が多い。
監査院は先月3~28日に国防監査専門担当者29人を投じ国防部と合同参謀本部、海軍作戦司令部などを対象に監査を始め戦闘予防・準備態勢、状況報告・伝播などで問題点を確認した。監査院は今回の監査結果にあらわれた‘制度改善事項'などは深層的な検討・分析の後に別途処理する予定だと明らかにした。監査院がこの日明らかにした軍当局の対応態勢の問題点を分野別に分けて探ってみる。
←天安艦沈没事件と関連してパク・シジョン行政安保監査局長が10日午後、ソウル監査院ブリーフィングルームで報告資料を調べている。 パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr
①戦闘準備態勢 いいかげん
事故3日前‘北潜水艇情報’伝達されても無防備
軍当局は北韓の潜水艦(艇)浸透・攻撃を予測し、気配があるという情報を確保しても必要な対備態勢を整えなかった。軍の基本任務である警戒と戦闘準備を軽視したわけだ。
合同参謀本部、海軍作戦司令部、海軍第2艦隊司令部は昨年11月10日の大青海戦以後、戦術討議等を通じて‘北韓が潜水艦(艇)を利用し西北海域から我が艦艇を隠密に攻撃する可能性が高い’と予想した。だが、第2艦隊司令部は大青海戦以後、ペクリョン島近海に潜水艦対応能力が不足した天安艦を配置したままで対潜水艦能力強化には出なかった。2艦隊司令部などは事件発生2~3日前‘北韓潜水艇関連情報’を伝達されても適正な対応措置をしなかったことが今回の監査で確認された。事実上無防備状態であったという話に他ならない。
②状況報告および伝播不良
2艦隊、事故受付16分過ぎて合同参謀に報告‘のろま’
警戒に失敗した軍は事態発生後、最初の状況報告が遅れ、天安艦が報告した‘魚雷襲撃の可能性'を除いて上級機関に報告した。迅速・正確な報告が生命である軍でのろま・縮小報告が起きたわけだ。
第2艦隊司令部は天安艦から3月26日夜9時29分頃、事件発生報告を受けても海軍作戦士には3分後に報告、合同参謀には最初の状況報告受付から16分が過ぎた夜9時45分に報告した。民・軍合同調査団の発表どおりならば、その間に天安艦を攻撃した北韓のサケ級潜水艇は事件現場から抜け出ることができたという批判を受けるに十分なのろま対処だ。軍ののろま報告理由について監査院関係者はこの日「初期に軍が状況把握できず右往左往したためと見る」と明らかにした。
海軍2艦隊司令部は天安艦から沈没原因が「魚雷襲撃と判断」されるという報告を夜9時53分に受けたが、このような事実を合同参謀、海軍作戦士など上級機関にきちんと報告しなかった。事故当日夜11時頃、哨戒艦の束草艦が北方境界線(NLL)付近で発砲した海上標的物に対しても束草艦は「北韓半潜水艇と判断される」と報告したが、2艦隊司令は束草艦の報告とは異なり上部に「鳥の群れ」と報告するよう指示した。これと関連し監査院は最初の状況報告を中間部隊で推定・加減することなどを禁止した報告指針に反し、現場の報告を脱落させ初期対処に混線を招いたと指摘した。監査院は監査期間中にレーダーサイト映像と鳥類専門家諮問等を通じて詳細な調査したが、束草艦が発砲した物体が半潜水艇なのか鳥の群れなのかに最終判断を下すことは難しかったと明らかにした。
合同参謀は海軍作戦士から天安艦沈没の報告を受けた後、緊急状況を伝播しなければならない関連機関中の相当数機関に状況を伝播していなかったことが確認された。合同参謀は夜9時15分という海軍作戦士報告とは異なり、事件発生時刻を‘21:45分’に任意修正し、「爆発音聴取」等、外部攻撃の可能性報告内容を削除したままキム・テヨン国防長官などに報告し言論に発表した。監査院は合同参謀が事件発生時刻を勝手に直したことに対し‘警戒失敗と初動対処遅延にともなう非難をまぬがれようとした行動'と指摘した。
軍当局はまた、3月27日午前7時40分、大統領府国家危機状況センターから正確な事件発生時刻などが分かる地質資源研究院地震波資料を受け取っても当時に混線があった事件発生時刻に対する積極的な修正措置を取らなかった。
③状況発生後の危機管理・対応措置不良
国防部‘危機管理班’招集せず“招集”嘘
軍を指揮し状況を総括しなければならない国防部もあわてて嘘をついた。国防部は天安艦沈没のような危機状況では、関係規定により‘危機管理班’を招集しなければならないのにも関わらず、これを招集しなかった。その一方でキム・テヨン長官には危機管理班を招集したように虚偽の報告を行い、言論にも危機管理班を招集したと広報した。合同参謀など一部関係部隊は非常状況の際に義務的に措置しなければならない戦闘対応態勢を履行しなかった。監査院は「国防部が初めは事件の深刻性をきちんと認識できなかった」と指摘した。
国防部は全国民の関心が集中した天安艦事件に対する正確な実状を知らせず隠蔽疑惑と国民不信を自ら招来した。特に事件直後に沈没原因糾明と関連し関心を集めた熱像監視装備(TOD)公開過程で言葉を変えることを3回も行い、国民の不信だけを高めた。
国防部は動画が実際の時刻基準として事件当日の夜9時25分38秒から録画された事実を知っても9時35分8秒以後の映像だけを編集し公開した後、世論の叱責に押され2度にわたり追加映像を公開し疑惑を増幅させた。
パク・シジョン監査院行政安保監査局長は「事件発生時刻を巡る論難が増幅され、軍が難しい立場に陥り、軍が2回目に修正し発表した事件発生時刻である夜9時30分を維持するため、夜9時30分以前のTOD映像は公開しなかった」と指摘した。パク局長は「事故発生当時、夜9時21分56秒のTOD場面はないことが確認された」と話した。
また、軍当局は報道資料配布に際し、保安性検討を実施しなかったり疎かにし主要武器配置現況など軍事機密資料多数が外部に流出した。
④監査院“軍事機密”具体内容を明らかにせず“監査結果不十分”批判
監査院は監査結果全文に軍の核心的な軍事作戦指針・計画、西北海域艦艇保有・配置現況、軍の武器性能および限界など軍事機密事項が多数含まれており、国家安保および軍事機密管理などに阻害とならない範囲内だけで報道資料を作り監査結果を公開したと明らかにした。この日の発表質疑応答でも監査院は大部分の質問に「軍事機密に属するので明らかにすることはできない」という立場を守った。監査院はまた、束草艦が未確認物体を半潜水艇と判断した根拠、未確認物体を半潜水艇か鳥の群れなどか結論を出しにくい理由などに対しても具体的な説明をしなかった。このように監査院が大部分の監査内容を国家安保を害しかねないという理由で公開せず国民の疑惑と不信を解消するには大きく不十分な監査結果という批判が出ている。 クォン・ヒョクチョル記者 nura@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/425058.html 訳J.S