「ドナルド・トランプ次期米大統領がロシアとウクライナの戦争の終結後、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とパートナーとなって北朝鮮をコントロールする可能性もある」
13日午前、釜山市海雲台区(プサンシ・ヘウンデグ)のヌリマルAPECハウスで開幕した「ハンギョレ-釜山国際シンポジウム」で、基調講演を行ったカーネギー国際平和財団のスティーブン・ベルトハイム上席研究員は、朝米首脳会談再開の可能性と関連し、「ウクライナ戦争以降」に注目すべきだとして、このように述べた。米国の外交政策と戦略を歴史的に研究してきたベルトハイム研究員は同日の基調講演で、「トランプ氏の当選という米国大統領選挙の結果が出た後、多くの人々が『米国の秩序は終わった』とか『パックス・アメリカーナは終わった』などと言っているが、8年前にトランプ氏が当選した時もそのような声があがった」とし、「今後4年間、米国秩序がどのように進むのか不安定さが高まり、どんでん返しが多くなるかもしれないが、それを予測するのは難しい」と語った。ベルトハイム研究員は第2次トランプ政権が発足してからも「すべてがうまくいくだろう」という楽観的な態度だけでなく、過度に怯えて萎縮する態度も望ましくないと助言した。
「米国人はトランプ氏の勝利をどのように捉えているのか」というハンギョレ統一文化財団のムン・ジョンイン理事長の質問には、「トランプ氏は極端で衝動的な発言で信頼が低かったが、(米国人の立場からすると)第1次トランプ政権の間、経済状況も良好だったし、戦争もなかった。政策的にも大災害はなかった」と答えた。トランプ大統領が在任する間、外交などで極端な主張もしたが、これがトランプ氏の全てを物語っているわけではないという説明だ。
ベルトハイム研究員は「第2次トランプ政権の政治・経済政策は第1次トランプ政権とは違うだろう」とし、「トランプ氏が強い性格の指導者であることは確かだが、重要なのは第2次トランプ政権を歴史的文脈絡から捉えること」だと強調した。それとともに「(通念とは異なり)第1次トランプ政権はバラク・オバマ政権の外交をそのまま受け継ぎ、NATO(北大西洋条約機構)が拡大され、世界の米軍駐留現況にも変化がなかった」と述べた。
また「米国は第2次世界大戦以降、関与政策を実施してきており、全体主義勢力の膨張を防ぐのに貢献した。これが米国の大戦略が働く方式であり、普遍的な戦略として多くの同意を得た」と評価した。ところが、脱冷戦時代にも続いた米国の軍事的優位は現在、もはや支配的な位置を占有しておらず、トランプ氏の当選はこのような状況を反映したものだというのがベルトハイム研究員の説明だ。
ムン・ジョンイン理事長は、第2次トランプ政権の外交安保政策の流れを3つの派閥の角逐とせめぎ合いの枠組みから捉えた。1つ目はすべての外交関係は損益計算に基づいていなければならず、そのために外交的取引をするという取引主義派、2つ目は「米国を偉大にする」派、3つ目は共和党強硬主流で構成された「ネオコン」派閥だ。ムン理事長は「これら3つの派閥の相互作用によって米国の対外政策が決定されるものと予想される」とし、ベルトハイム研究員に「どのような基調と人物が米国の外交政策を導くと思うか」と尋ねた
ベルトハイム研究員は先日のマイク・ワルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)の起用に触れ、「(第2次トランプ政権で)力による関与と民主主義拡大政策の試みはないだろう」との見通しを語った。ムン理事長が「韓国の独自核武装の可能性」について質問すると、「韓国は核保有について話してきたが、その場合はかなりの危険を招く」とし、「(核保有で)韓国が得るものが何なのかを聞きたい」と問い返した。ムン理事長は「韓国が核を保有した場合、(尹錫悦政権が成果として強調する)原子炉輸出の機会もなくなるだろう」と述べた。
トランプ2期目時代に韓国はどう取り組むべきかというムン理事長の問いに、ベルトハイム研究員は「簡単には言えない。トランプ氏が何をするのか、綿密にその意味に集中しなければならない」と助言した。
トランプ氏が韓国に圧力を加えるため、在韓米軍の削減や撤退カードを持ち出す可能性をめぐり、ムン理事長が「韓国は在韓米軍が撤退するかもしれない危険を甘受しなければならないのか」と尋ねると、ベルトハイム研究員は「トランプ氏は交渉が上手で、相手を強圧し利益をテコにした交渉が得意だ」と答えた。これに対し、ムン理事長は「私たちが気を引き締めて、言うべきことは言って米国に接すれば、進む道が見えてくるだろう」という発言でオンライン対談を締めくくった。