テレグラムを中心とした広範な違法合成物(ディープフェイク)性犯罪が明るみに出てから、「女性嫌悪犯罪」だとの批判の声が高まると共に処罰強化の動きが起きている中、「なぜ男性を対象化するRPSは処罰しないのか」という声があがっている。専門家たちは、ディープフェイクは実際に性搾取が行われるという点で、RPSとは本質的に異なるとして、論点ずらしの反応はデジタル性犯罪対策を遅らせるだけだと指摘した。
n番ルームなどの、主に女性が被害者となる性犯罪事件が注目される度に、SNSやオンラインコミュニティーなどでは「男性だけでなく女性も加害者だ。女性も処罰せよ」という主張が繰り返される。今回の違法合成物性犯罪が明るみに出てから、またしても処罰すべきだとする声が高まっているのは、「RPS(Real Person Slash)」だ。実在の人物を素材とした虚構の愛情関係を扱う文章や創作物を意味するRPSは、一種のファンダムの下位文化とされ、芸能プロダクションも特に問題を提起していない。ただ、一部の描写が性的な屈辱感を与えうるため、ファンダム内からは自省の声があがってもいる。RPSの主人公は概して男性アイドルだ。
韓国多様性研究所のキム・ジハク所長は、24日のハンギョレの電話取材に対し、「違法合成物を利用して被害者に金品、性関係などを要求する犯罪と、実際の性搾取につながる可能性のないRPSを、同一線上で比較することはできない」と指摘した。実際に、2021年に「RPS処罰法」が国会に提出された際には、法務部も反対意見を示している。この時、法務部は検討意見書で「人の顔や身体などを対象にした映像を、性的欲望または羞恥心を誘発しうるかたちへと編集・合成する行為と、小説やウェブトゥーンで露骨な性行為を表現する行為は、同じ行為とは考え難く、これを同じ条項で一律に規定することは法体系に合わない」と述べている。
RPSを処罰せよとの主張は、「男性中心主義社会における女性に対する差別」問題を隠すための「バックラッシュ(逆襲)」に近い、との分析も示されている。キム・ジハク所長は、「ディープフェイク性暴力の被害を受けた女性が被害者であるにもかかわらず、女性は再び脅迫される。このようなことは男性中心主義社会で繰り広げられる代表的な構造」だとし、「(RPS論争は)男性にジェンダー権力があるということを取り繕うための手段に過ぎない」と述べた。昌原大学のユン・キム・ジヨン教授(哲学科)は、「問題を問題ではないものとしてしまうと、性搾取構造という問題にきちんとした対応が取られないだけでなく、被害者を沈黙させる恐れがある」と述べた。