尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が関与したという疑惑が持ち上がっているドイツモーターズ株価操作の控訴審で、幇助の疑いが追加された「金主」(資金提供者)のS被告に有罪が言い渡された。キム女史もS被告のように巨額を投資する一方、多数の相場操作注文を出した事実がすでに確認されており、裁判所の今回の判断を通じて、検察捜査を経てキム女史にも幇助疑惑が適用される可能性が高くなった。
ソウル高裁刑事5部(クォン・スンヒョン裁判長)は12日、S被告に懲役6カ月、執行猶予1年、ドイツモーターズのクォン・オス前会長に懲役3年、執行猶予4年と罰金5億ウォン(約5300万円)を言い渡した。また、2010年10月以前の1次株価操作の主導者のL被告には懲役2年に罰金5千万ウォン、2次株価操作の主導者のK被告には懲役2年に執行猶予3年、罰金1億ウォン(約1060万円)を言い渡した。
クォン前会長らは2009年12月から3年間にわたり共謀し、ドイツモーターズの株価を人為的に引き上げた容疑(資本市場法違反)で起訴された。約90人の口座157個を使って仮装・馴合売買(通謀のうえで株式を売買すること)などで相場を操作し、2千ウォン(約210円)台後半にとどまっていた株価を8千ウォン(約850円)台まで引き上げた疑いだ。キム女史の口座3つも株価操作に活用されたことが検察の調査を通じて確認され、1審裁判所はキム女史のドイツモーターズ株式売買の相当数が相場操作性取引という事実を認めた。
これに先立ち、1審はS被告が株価操作一味と共同で相場操作に加わったとみる証拠が不足しているという理由で、無罪を言い渡す一方、「いわゆる作戦が行われているという事実を認知できたとみられる」と判断した。これに対し検察は「犯行の事実をあらかじめ知ったうえで、このような実行を容易にする直接・間接行為をするのは幇助に当たる」という判例を根拠に、控訴審で控訴状を変更しS被告に幇助容疑を追加した。
控訴審裁判所は同日「S被告は単に資金を提供した金主ではなく、相場操作行為をする事実を認識し、これに便乗して自身の利益を図りながらも、互いの利益のためにこれを助ける意思」を持って「資金を動員してドイツモーターズ株を大量に買収することで、人為的に買い注文を誘導し、株価引き上げを助けるなど、正犯の行為を容易にした」として、有罪と判断した。