「救急隊員は上がってきそうにもない。私、死ぬかもしれない。5分後には息ができなくなるかも。とりあえず切るよ」
今月22日夜に京畿道富川市(プチョンシ)のホテルで起きた火災で死亡したKさん(28)が、母親にかけた最後の電話。通話時間は11秒に過ぎなかった。
23日、京畿道の富川聖母病院斎場で営まれているKさんの葬儀は、遺族の泣き声で満ちていた。一夜にして元気な娘を失った母親は、火災の緊迫した状況を伝える娘の最後の声を聞きながら、今も信じられないという顔でむせび泣いた。突然の訃報を聞いて葬儀を訪れた弔問客たちも、どうしても慰めの言葉をかけられず、目を腫らして嗚咽する遺族を抱きしめることしかできなかった。
Kさんは交際している男性と22日に同ホテルに宿泊。8階の客室で心停止状態で発見され、病院に運ばれたものの死亡した。Kさんが母親に電話をかけたのは22日午後7時42分で、すぐ前の810号で火災が発生してから間もなくだった。
Kさんの母親はこの日、「娘と彼氏が8階にいると消防にも通報したが、消防隊員は8階の構造は気にもせず、はしご車もなしに上がっていった。はしご車があればより多くの命が助けられたはずなのに、まともに救助しなかった消防にとても腹が立つ」と話した。また「ある警察官に『実は8階は煙が多くて鎮火できなかった』と後から言われたが、あり得ない」と言って怒りをあらわにした。
Kさんの妹も、8階の客室に進入しなかった消防当局は理解できないと述べた。「父が浴室の水を流しっぱなしにしておけと対処方法も伝えたが、姉は煙がいっぱいでだんだん呼吸しにくくなってきたと言った。(その間に)消防は1階から(階段で)上がっていったということが理解できない」と言ってすすり泣いた。
この日、京畿道富川市の富川斎場でも、8階の階段で遺体で発見された40代の女性の葬儀が営まれた。幼い子どもたちを含む遺族は、突然の悲報に涙が止まらなかった。今回の火災は22日午後7時34分に京畿道富川市中洞(チュンドン)のホテルで発生し、7人が死亡、12人が負傷した。炎がホテルの建物全体に広がることはなかったが、客室にスプリンクラーは設置されておらず、有毒ガスが内部に急速に広がったため、大きな人命被害が発生した。