本文に移動

韓国でホテル火災「5分後には息ができなくなる」…11秒の通話が娘との最後の会話

登録:2024-08-24 08:38 修正:2024-08-24 09:31
富川のホテル火災の犠牲者の葬儀 
遺族、音声記録にむせび泣く 
はしご車すら出さなかった初期対応に批判も
今月22日の富川のホテル火災で死亡したKさん(28)の葬儀=コ・ナリン記者//ハンギョレ新聞社

 「救急隊員は上がってきそうにもない。私、死ぬかもしれない。5分後には息ができなくなるかも。とりあえず切るよ」

 今月22日夜に京畿道富川市(プチョンシ)のホテルで起きた火災で死亡したKさん(28)が、母親にかけた最後の電話。通話時間は11秒に過ぎなかった。

 23日、京畿道の富川聖母病院斎場で営まれているKさんの葬儀は、遺族の泣き声で満ちていた。一夜にして元気な娘を失った母親は、火災の緊迫した状況を伝える娘の最後の声を聞きながら、今も信じられないという顔でむせび泣いた。突然の訃報を聞いて葬儀を訪れた弔問客たちも、どうしても慰めの言葉をかけられず、目を腫らして嗚咽する遺族を抱きしめることしかできなかった。

22日夜に火災が発生し、7人が死亡、12人が負傷した京畿道富川市遠美区中洞のホテルで23日午前、消防や警察などの関係者が合同鑑識をおこなっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 Kさんは交際している男性と22日に同ホテルに宿泊。8階の客室で心停止状態で発見され、病院に運ばれたものの死亡した。Kさんが母親に電話をかけたのは22日午後7時42分で、すぐ前の810号で火災が発生してから間もなくだった。

 Kさんの母親はこの日、「娘と彼氏が8階にいると消防にも通報したが、消防隊員は8階の構造は気にもせず、はしご車もなしに上がっていった。はしご車があればより多くの命が助けられたはずなのに、まともに救助しなかった消防にとても腹が立つ」と話した。また「ある警察官に『実は8階は煙が多くて鎮火できなかった』と後から言われたが、あり得ない」と言って怒りをあらわにした。

 Kさんの妹も、8階の客室に進入しなかった消防当局は理解できないと述べた。「父が浴室の水を流しっぱなしにしておけと対処方法も伝えたが、姉は煙がいっぱいでだんだん呼吸しにくくなってきたと言った。(その間に)消防は1階から(階段で)上がっていったということが理解できない」と言ってすすり泣いた。

 この日、京畿道富川市の富川斎場でも、8階の階段で遺体で発見された40代の女性の葬儀が営まれた。幼い子どもたちを含む遺族は、突然の悲報に涙が止まらなかった。今回の火災は22日午後7時34分に京畿道富川市中洞(チュンドン)のホテルで発生し、7人が死亡、12人が負傷した。炎がホテルの建物全体に広がることはなかったが、客室にスプリンクラーは設置されておらず、有毒ガスが内部に急速に広がったため、大きな人命被害が発生した。

イ・ジヘ、コ・ナリン、パク・コウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1155077.html韓国語原文入力:2024-08-23 17:06
訳D.K

関連記事