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「市庁駅の店を出てから1秒もたたないうちにお客さんをはねた」韓国の逆走車事故

登録:2024-07-03 08:59 修正:2024-07-03 11:09
同じ銀行の4人の行員、ソウル市の2人の公務員 
病院の受託業者の3人の社員が犠牲に 
ソウルの市庁駅近くの交差点の歩道に設置されたガードレールが、1日夜の大規模な交通事故で完全に破壊され、破片が散らばっている/聯合ニュース

 「まだ店には、あの一行が持ってきた花束が残っています」

 ソウル都心で、突如歩道に突進してきた車にひかれて9人の市民が死亡し、4人が負傷するという大規模な交通事故が起きた翌日の2日、事故現場で居酒屋を営むPさん(66)は、ハンギョレに前日の状況を語りながら犠牲者たちを哀悼した。

 Pさんは、「店の中にも喫煙室があるが、天気が良いので外にタバコを吸いに出て行って1秒もしないうちに車が通り過ぎていった。ぶつかるものすごい音がした。一緒にいた同僚の人たちも呆然としていた」、「私も今、まともでいるのが難しいほど」だと話した。

 前日の事故の死者の大半は、近くの勤め人だった。銀行員が4人、市役所の公務員が2人、病院の受託業者の社員が3人だ。事故が起きたのが残業で遅くなった勤め人の退勤時間帯、そして退勤後に同僚と会食をする時間帯だったからだ。

 ハンギョレの取材を2日に総合すると、前日夜9時27分ごろにソウル地下鉄2号線の市庁(シチョン)駅近くの道路で起きた交通事故の犠牲者の半数近い4人が、同じ銀行の同僚だった。彼らは前日に発表された人事を祝う夕食の席で事故にあったという。

 4人の銀行員のうち3人の遺体が安置されているソウルの永登浦(ヨンドゥンポ)病院斎場は、取材陣の出入りが規制されている中、遺族を手伝いにやって来た銀行の関係者たちが慌ただしく行き来していた。現場にいた同銀行の関係者は、「状況を見るために出てきた」と述べるにとどまった。葬儀は行われていないが、同僚たちの弔問も相次いでいる。残る1人の遺体は国立中央医療院斎場に安置されている。故人の母親は、「こんなことがどこにあるのか。うちの子たちにどうしろというの、私たちにどうしろというの」と叫んだ。

 ソウル市役所からも2人の犠牲者が出た。彼らは市役所の総務課と法人税務課に勤めていたという。故人が安置された病院の斎場は、同僚の公務員の弔問が早朝から相次いだ。ソウル新村(シンチョン)のセブランス病院斎場で故人を悼んだあるソウル市の関係者は、「故人はソウル市全体の予算集計を総括するほどスマートな方だった。古参たちが大変だと言っていても、いつも笑っていて、大変だとは一度も言わない方だった」と語って涙ぐんだ。

 国立中央医療院の斎場で取材に応じた故人の知人のKさん(52)も、「先週土曜日ごろに電話で話した時、自分はソウル市のために働いていると言っていた友人だ。週末もなく働いていた人」だとし、「明るくて登山好きで、パンパイプを吹くのがうまかった。最後の電話で、(友人は)山に一緒に行こうと言っていたのに」と言って言葉をつまらせた。

 ソウルのある大病院で働いていた協力会社の3人の社員も、事故の犠牲となった。

 今回の惨事は、前日の夜、市庁駅近くのホテルから出てきたジェネシスが逆走し、BMWとソナタに次々と追突してから、歩道に突っ込んだ際に横断歩道で信号を待っていた歩行者を次々にひいたというもの。この事故の9人の犠牲者のうち6人は現場で死亡し、3人は病院への搬送中に死亡した。4人の負傷者のうちの1人も重傷だという。

シム・ウサム、ユン・ヨンジョン、キム・チェウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1147331.html韓国語原文入力:2024-07-02 10:27
訳D.K

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