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輸入衛生条件 5条‘放棄した検疫主権’

原文入力:2010-05-11午後08:18:48(1840字)
米国産牛肉 SRM部位 韓国は限定的輸入 許容
日本・台湾・オーストラリア 全面中断
* 輸入衛生条件 5条:米国で狂牛病が発病しても一方的に輸入中断できない

チョン・ヒョクチュン記者

←その時 光化門では… ‘6・10 100万ロウソクのあかり大行進’が開かれた去る2008年6月10日夕、警察がコンテナを積んで作ったソウル、光化門交差点のいわゆる‘ミョンバク山城’から徳寿宮大漢門前まで、市民が持ったロウソクのあかりが道路をいっぱいに埋めている。 写真 共同取材団

[‘ロウソクのあかり’その後の2年] 牛肉交渉 不均衡 相変わらず

昨年9月末、日本に輸入された米国タイソン社の牛肉732箱中 1箱から狂牛病特定危険物質(SRM)である牛背骨16kgが発見された。これに対し日本,農林水産省は直ちに米国産牛肉の輸入中断措置を下した。

我が国に輸入された米国産牛肉から背骨が発見されればどうなるだろうか?‘日本のようにはできない’が正解だ。2008年、韓-米牛肉交渉で2回以上 食品安全を威嚇する要因が発生して初めて中断できるようにしたためだ。

去る2008年4月、李明博大統領の米国訪問日程に合わせて開かれた韓-米牛肉交渉は首脳会談の一日前に妥結した。‘政治的決断’という解釈を産んだ背景だった。交渉結果もまた、予想を跳び越え‘検疫主権放棄’という批判につながった。特に米国で狂牛病が発病しても、我が政府が一方的に輸入中断措置を下せないように規定した‘輸入衛生条件5条’という明白な検疫主権侵害だった。日本や台湾、メキシコなどで禁止している30ヶ月以上の牛肉も輸入することにした。米国で狂牛病特定危険物質として分類し食用販売を禁止している頭骨、脳などの部位の輸入まで許容した。

全国各地で交渉結果と政府を糾弾するろうそく集会が続いた後、政府はひざまずいた。政府は結局、米国との追加交渉テーブルに座った。米国農務部が用意した品質体系評価(QSA)プログラムを通じ現地輸出作業場で狂牛病危険物質を除去したことが確認された30ヶ月未満の牛肉だけを韓国に輸出するということに合意した。ろうそく集会が成し遂げたせめてもの成果だった。

←国別米国産牛肉輸入条件比較

政府はまた、韓-米牛肉交渉妥結直後「他国も国際獣疫事務局(OIE)基準により近い将来に輸入衛生条件を緩和するだろう」と主張した。だが、今でも台湾と香港は30ヶ月未満の骨のない赤身の肉だけを輸入しており、日本は20ヶ月未満の牛肉だけ輸入許容するという方針を守っている。パク・サンピョ‘国民健康のための獣医師連帯’政策局長は「台湾は去る1月、台湾執権国民党が米国産牛肉危険部位輸入許容などの理由で地方選挙で惨敗した後、去る1月にすべての月令のひき肉と内臓の輸入を禁止する内容の食品衛生法改正案を通過させた」と伝えた。

政府が最初のボタンを掛け違えたために起こった波紋は、牛肉関連通商紛争でも続いた。昨年4月、カナダは韓国が自国牛肉の輸入を禁止していることを問題視し、世界貿易機構(WTO)に提訴した。カナダも米国のように国際獣疫事務局から‘狂牛病危険統制国’地位を受けたが、米国牛肉だけ輸入を許容するのは世界貿易機構会員国に対する‘同等待遇の原則’に違反するという理由だった。カナダでは昨年3月にも17番目の狂牛病牛が発見されたが、通商スペシャリストらは我が政府が敗訴する可能性が高いと見ている。

こういう状況で、米国は韓-米自由貿易協定(FTA)批准と連係し牛肉市場開放の拡大を圧迫している。去る3月、米貿易代表部(USTR)が発表した‘2010国家別貿易障壁報告書(NTE)’には、韓-米自由貿易協定批准のためには牛肉市場開放幅を拡大しなければならないという内容が含まれている。カン・キガプ民主労働党代表は「李明博政府が政権の序盤期、韓-米FTA交渉妥結のために検疫主権を放棄した結果、牛肉通商問題はずっと火種として残ることになった」とし「拙速交渉は結局、国民の健康権威嚇につながっている」と話した。
チョン・ヒョクチュン記者 june@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/420236.html 訳J.S