韓国政府は16日、日本が外交青書で「竹島は日本の領土」という不当な主張を繰り返したことに対して抗議するという立場を示したが、日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員など韓日の歴史問題に関する部分については、これといった意見表明もなく、沈黙を守った。
外交部は同日午前、報道官論評を発表し、「日本政府がこの日発表した外交青書を通じて歴史的にも地理的にも国際法的にも明らかに韓国固有の領土である独島に対する不当な領有権主張を繰り返したことに対し、強く抗議する」とし、直ちに撤回するよう求めた。外交部は「韓国政府は、大韓民国固有の領土である独島に対する日本政府のいかなる主張も韓国主権に何の影響も及ぼさないことをもう一度明確にする」としたうえで、「今後も断固として対応していくことを明確に示す」と強調した。
外交部のイム・スソク報道官は同日の定例会見でも「独島は歴史的にも地理的にも国際法的にも明白な韓国固有の領土であり、独島に対する領有権紛争は存在しない」としたうえで、「韓国政府は独島に対する確固たる領土主権を行使しており、独島に対するいかなる不当な主張にも断固として厳重に対応する」と再度強調した。
外交部は同日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の外交部庁舎に在韓日本大使館の實生泰介総括公使を呼んで抗議した。この場で、外交青書内の独島領有権主張などに対する韓国政府の立場を重ねて伝えたものとみられる。
今回発表された日本の外交青書は、韓国最高裁が2023~2024年に日帝強占期の強制動員被害訴訟で、日本の被告企業に賠償を命じた判決についても、「これらの判決及び、2024年2月に日本企業が韓国裁判所に納付していた供託金が原告側に引き渡された事案については、日本政府として、極めて遺憾であり、断じて受け入れられないとして抗議を行った」と記述した。政府は外交部の論評で、これに対しては韓国側の立場を明示せず、歴史問題をめぐる日本の立場の変化も求めなかった。
イム報道官は定例会見で、「政府は今後も日本側がこれまで示してきた歴代内閣の歴史認識を揺らぐことなく引き継いでいく中で、未来指向的な両国関係の発展に向けて取り組んでいくことを望んでいる」としたうえで、「韓国政府は強制徴用解決策の趣旨に従って円滑な被害回復のために引き続き努力していく」と述べた。
イム報道官は「今回の日本の外交青書には、韓国政府の(強制動員関連の)解決策が難しい状態だった韓日関係を健全な関係に戻すことだったという日本政府の評価と、金大中(キム・デジュン)-小渕共同宣言(韓日共同宣言)を含め、歴史認識に対する歴代内閣の立場を引き継いでいるという内容が含まれている」として注目した。さらに「韓国との関係を規定するにあたって、『パートナー』という表現を新たに加えるなど、前年に比べて韓国関連記述が一部改善されたとみている」とし、「来年の国交樹立60周年を控え、未来指向的な韓日関係を構築していくうえで、両国が緊密に協力していくことを望んでいる」と述べた。日本と歴史問題をめぐる隔たりを埋め、韓日協力に重点を置く姿だ。
日本は外交青書で、韓国が独島を「不法占拠」しているという表現を2018年以来7年連続で使っている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は韓日関係を改善したという成果を掲げているが、日本の独島領有権主張は全く変わっていない。日本の外交青書に対する外交部報道官論評を発表し、在韓日本大使館総括公使を呼んで抗議するなど、韓国政府の対応は例年と同じレベルだ。