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米高官「非核化の中間段階」に言及…北朝鮮に向けた新たなシグナルか

登録:2024-03-06 06:30 修正:2024-03-06 08:41
米国家安全保障会議(NSC)のミラ・フラップフーパー上級部長が4日、米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ首席副所長との対談で、北朝鮮と非核化の中間段階について話し合う用意があると明らかにした=CSISホームページより//ハンギョレ新聞社

 米ホワイトハウス高官が北朝鮮との核交渉で「中間段階」(interim steps)について話し合う用意があると明らかにした。非核化完了以前に北朝鮮が「脅威削減」措置を履行すれば、制裁緩和など相応の措置をしうるという意味で、北朝鮮が交渉に応じるよう米国が交渉戦略の変化を示唆するシグナルを送った可能性がある。

 米国家安保会議(NSC)で東アジア・オセアニアを担当するミラ・ラップフーパー上級部長は4日、「中央日報-米国戦略国際問題研究所(CSIS)フォーラム2024」の特別対談で、「米国の目標は依然として朝鮮半島の完全な非核化だが、非核化に進む過程で域内と世界がより安全になりうるなら、中間段階(interim steps)を考慮することができる」と述べた。また「現在の朝鮮半島状況を考慮し、北朝鮮と『脅威削減』(threat reduction)に関して議論する用意があり、そうなることを望んでいる」とし、「中間段階」が北朝鮮の核による脅威の軽減を目指すものであることを示唆した。

 ジョー・バイデン政権は「朝鮮半島の完全な非核化」を目標にした北朝鮮政策を維持しながら、これまで北朝鮮と20回余りの水面下の接触を行い、条件なしの対話に出ることを提案したという。しかし、北朝鮮は米国との対話を拒否する一方、核とミサイル能力を増強し続け、特にロシアとの全面的な協力を強化している。

 このような状況で、米NSCの上級部長が公の場で北朝鮮に「北朝鮮政策と核交渉の原則を変えられる」というシグナルを送ったものとして(今回の発言を)捉えられるかどうかが関心事だ。北朝鮮が非核化を前提とした交渉には絶対に応じないとし、核保有国として地位を認めるべきという態度を貫いている状況で、米国が戦略変化を模索しているものとみられる。

 北朝鮮の核交渉に詳しいウィ・ソンラク「朝鮮半島平和づくり」事務局長(元朝鮮半島平和交渉本部長)は「ひとまず北朝鮮が核兵器開発を中断、凍結したり、一部の核施設を廃止する代わりに、米国が制裁緩和に乗り出す交渉も排除しないという意味と取ることができる」とし、「米国が北朝鮮に向けて送るシグナルともいえる」と語った。ウィ事務局長は「ロシアと北朝鮮の関係が急速に進んでいることについて米国が警戒心を抱いていること、また北朝鮮の持続的な核とミサイル能力増強が深刻なレベルに達したと米国が判断していることが背景」だと指摘した。

 米国が大統領選挙の局面に入った状態であるため、北朝鮮との対話戦略に進むことは難しいという見方もあるが、むしろ大統領選挙を控えて北朝鮮との緊張の高まりと核問題の悪化を管理する必要性が高まった可能性もある。米国と韓国はいずれも最終的な目標は「非核化」だと強調しており、既存の核交渉でもひとまずは凍結段階を経て非核化に進む段階的解決策を追求してきたため、米NSC高官の今回の発言は目新しい提案ではない。しかし、米国の責任ある当局者が公にこのような言及をしたのは異例のことだ。

 今すぐではないが、米国が非核化ではなく「核兵器削減」を優先的な目標に北朝鮮との交渉を模索するのは、事実上北朝鮮を「核保有国」と認めることになるという議論を呼ぶ可能性がある。特に、ドナルド・トランプ前大統領が大統領の座に返り咲いた場合、非核化を最終的な目標に明確に設定せず、まず北朝鮮と対話を目指すこともありうる。

 米国の専門家の間でも、北朝鮮は核・ミサイル能力の脅威をますます高めており、短期間に北朝鮮に核兵器を放棄させることは現実的ではないため、韓米が北朝鮮と軍備統制と信頼構築など脅威削減に焦点を合わせた新たな戦略を立てるべきだという声が広がっている。

 米国科学者連盟(FAS)のアダム・マウント上級研究員は4日、米国平和研究所(USIP)への寄稿で、「予測できる未来に、負担できる費用で北朝鮮政権の武装を解除する可能性は低いだけに、韓米同盟は核武装をした北朝鮮と平和に共存する戦略が必要だ」と強調した。また「韓米同盟の軍事態勢は抑止に必要なレベルを越えており、北朝鮮が核兵器を使用する危険を不要に高めている」とし、朝鮮半島状況を安定化する手段として軍備統制を提案した。特に、核危機が発生した場合、北朝鮮が使用する可能性が高い戦術核兵器を減らすことに焦点を合わせた軍備統制交渉を提案した。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1130937.html韓国語原文入力:2024-03-05 11:54
訳H.J

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