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「梨泰院惨事」国家責任問うた司法…業務上過失認めるか

登録:2024-02-16 08:48 修正:2024-02-16 10:42
2022年11月1日午後、ソウル龍山区元暁路の多目的体育館に設けられた梨泰院事故遺失物センターを訪れた市民が、「梨泰院惨事」の現場で回収された靴や服などの中から紛失物を見つけ、涙を流している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 梨泰院(イテウォン)惨事の発生直後に複数件の「ハロウィーン情報報告書」の削除を指示したソウル警察庁の情報部長に対して実刑が言い渡されことで、今後、直接的な国の責任が問われるキム・グァンホ前ソウル警察庁長らの業務上過失致死傷の成立が有力になった、との分析が示されている。検察の示す論理の核心が認められたと考えられるからだ。

 ソウル西部地裁刑事合議11部(ペ・ソンジュン裁判長)は14日、証拠隠滅教唆などの容疑で起訴されたパク・ソンミン元ソウル警察庁情報部長に懲役1年6カ月の実刑を言い渡した。パク元部長の指示で削除された4件の情報報告書がハロウィーンでの人の密集が懸念されることを明確に指摘しており、したがって報告書は警察幹部の犯行の証拠としての価値が十分にあると判断したのだ。

 梨泰院惨事に関する業務上過失致死傷容疑で起訴された警察幹部は、キム・グァンホ前ソウル庁長、イ・イムジェ前龍山(ヨンサン)警察署長の2人。検察は、2022年のハロウィーンの前後に梨泰院地域に例年よりはるかに多くの人が集中することが予想される中、キム前ソウル庁長が情報報告書などによって事故発生の危険性を認識していたにもかかわらず、必要な措置を取らなかったため、容疑は成立すると判断している。

 14日に裁判所がこれらの報告書について「事故を予見していた」と判断したことにより、検察の論理の核心が認められたとの分析が示されている。現在、イ・イムジェ前龍山警察署長はパク元ソウル庁情報部長と同じ法廷で、キム前庁長は別の法廷で裁判に臨んでいる。裁判所が「真相究明」、「責任の所在」、「再発防止」などを国家責任だと述べたことも、このような解釈を裏付ける。

 被害者側の代理人を務める民主社会のための弁護士会のチョン・ユンソク弁護士は15日、「惨事に関して、事前準備と事故前後の対応は国家が遂行すべき重要な業務だということが確認された。それは結局のところ公務員の行為を通じて具体化されるものだが、それを行わなかったことは業務上過失致死傷と直接つながる部分であるため、(各事件の)担当法廷が同じ見解を維持すれば有罪と判断される可能性は高いと思われる」と語った。

 10・29梨泰院惨事市民対策会議のチョ・イニョン共同状況室長は「この惨事は単なる個人の問題ではなく構造的な問題があり、明らかにされるべき真相があるということを裁判所が明示したと考える」とし、「事故の危険性の報告を受けていながらなぜ準備していなかったのかなど、明らかになっていない部分が多いため、特別な機関を設置すべきで、そのために『梨泰院惨事特別法』が必要だ」と強調した。

キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1128589.html韓国語原文入力:2024-02-16 06:00
訳D.K

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