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韓国の韓信大学、ビザ期間の残っているウズベキスタン留学生を強制出国させ物議

登録:2023-12-12 11:12 修正:2023-12-16 08:22
ウズベキスタン留学生22人 
行き先をだましてバスに乗せ、携帯電話押収
韓信大学の語学堂に通っていたウズベキスタン留学生たちが11月27日、バスに乗って仁川国際空港に向かっている=韓信大学提供の映像より//ハンギョレ新聞社

 韓国の韓信大学が、付設の韓国語学堂に通っていたウズベキスタン国籍の留学生22人を学期が終わっていない状況にもかかわらず集団帰国させ、物議を醸している。大学側は学生たちが自ら帰国便に乗ったと述べているが、留学生たちは何の権限もない学校が物理力を使って自分たちを強制出国させたと反論している。通報を受けた駐韓ウズベキスタン大使館が学校と法務部などを相手に真相把握に乗り出し、外交摩擦に広がる兆しまでみえる。

 11日のハンギョレの取材を総合すると、京畿道烏山市(オサンシ)にある韓信大学の語学堂で学んでいたウズベキスタン人留学生23人は、11月27日午前、「外国人登録証の受領のため出入国管理所に行くように」と学校側に言われてバスに乗った。しかしバスは最初の話とは異なり、平沢(ピョンテク)の出入国管理所に向かうのではなく、華城市(ファソンシ)の餅店(ピョンジョム)駅で私設警備会社の職員を乗せた後、そのまま仁川国際空港に向かった。空港に到着した教職員と警護会社の職員らは、健康問題を訴えた1人を除く22人を事前に予約しておいた帰国の飛行機に乗せた。

 留学生の話を聞くと、バスの中で教職員は「いま出入国管理所に行ったら皆さんは刑務所に行かなければならない。韓国にまた戻ってくるには、今から事前に出国しなければならない」と話したという。教職員らは警備会社の職員の手を借りて学生たちの携帯電話も押収した。学校はこの日、出入国書類未提出▽寮無断離脱▽学習態度不良▽品位違反などの理由でウズベキスタン国籍の語学研修生全員を除籍処理とした。

 韓信大学は「避けられない状況で出国指導をした」と言う。韓信大学語学堂の関係者は「法務部の出入国管理所が11月6日に学生たちの残高証明書を要求したが、ほとんどの学生が滞在条件に満たなかった。このような事実を通知したら学生たちが逃げて不法滞在者になる恐れがあった」と話した。大学側は留学生が離脱して不法滞在者になった場合、その後の留学生募集で不利益を被る恐れがあることを懸念したという。学生たちは強く反発している。ビザ期間が残っている状況で、学校が自分たちを脅迫し、強制的に帰国の途に就かせたということだ。入国時期によって異なるが、彼らは語学研修生用の3カ月間の条件付きビザを得ており、満了期間は学期が終わる12月20日前後だ。しかし、彼らは寮にある荷物をまとめることもできずにウズベキスタンに帰された。韓信大学はその後、学生たちに「本人の同意で出国した」ことを認める誓約書に署名すれば残っている授業料などを払い戻すと通知した。

韓信大学烏山キャンパスの校庭=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 匿名を要望した学生は、ハンギョレとの画像インタビューで「学校のうそにだまされてバスに乗ったら、しばらくして黒い服を着た警備会社の職員たちが乗ってきた。(学校の職員から)刑務所に行くと言われて怖くなり、仕方なく飛行機に乗った。それなのに、今になって自主出国を認めなければお金も返さないという」と怒りをあらわにした。別の学生は「一部の学生に問題があるという理由でこのようなやり方で全学生を出国させるなんて言語道断だ。韓信大学が私たちに知らせず飛行機のチケットまで予約したというが、彼らにこんな権利があるのか」と声を荒げた。

 関連団体では出国手続きは違法の素地が大きいと指摘する。「移住民センター・チング」のチョ・ヨングァン・センター長は「学校としては留学生の不法滞在問題が生じた時に受ける不利益を憂慮したのだろう。しかし、学校には留学生を出国させる権限が全くない。除籍されたかビザが満了した時、出入国管理所が当事者に出国を勧めたり通知したりして、自ら帰国させなければならない」と述べた。

 韓信大学は留学生の通報で管轄の烏山警察署の調査を受けている。情報提供を受けた駐韓ウズベキスタン大使館も、出国した留学生や韓信大学、法務部などを相手に具体的な状況を把握している。

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「銀行残高を滞在条件にする移住民政策も実効性がない」 
留学生強制出国問題をめぐり法務部の責任論も提起

 韓信大学の語学研修生の強制出国措置をめぐっては、現場の状況とかけ離れた法務部の規定と取り締まりに根本的な原因があるという指摘が出ている。

 ハンギョレが11日に入手した法務部の「外国人留学生査証発行および滞留管理指針」によると、外国人語学研修生は自国にある韓国の金融機関が発行した「留学経費預置残高証明書」が必要であり、この残高(1千万ウォン、約115万円)は3カ月以上維持しなければならない。韓信大学を担当する法務部水原(スウォン)出入国外国人庁平沢出張所は、この指針を根拠に11月6日、韓信大学の語学研修生の残高証明書提出を要求したが、ウズベキスタン学生のほとんどが国内滞在に必要な残高基準を満たせなかった。

 問題は、出国させられた研修生たちが残高基準について学校から誤った案内を受けていたということだ。韓信大学は現地で研修生を募集する際、韓国滞在に必要な残高維持期間を「1日」と案内していた。このため韓国に入国した研修生の大多数が、預けたお金を滞在中に引き出して使っていた。韓信大学はのちに残高維持期間が「3カ月」ということを通知され、研修生が不法滞在者になることを懸念して急いで出国させた。

 韓信大学は、そもそも法務部が学生たちの留学経費の残高証明の必要期間を「1日」と誤って案内したと主張する。韓信大学の関係者は「法務部が学生たちの入国が近づいた9月11日になって突然、残高証明維持基準について言うことを変えた。その後、万が一の不法滞在発生を防ぐための協力要請には、一度も責任ある回答がなかった」と述べた。だが、法務部の関係者は「5月に韓信大学の関係者が留学生の誘致に関して平沢出張所を訪問した際、担当者が財政能力審査基準を説明し、その後も何度も関連規定を説明した」と反論した。

 根本的な原因は、残高などによって滞在資格に適合するかを判断する政策そのものにあるという指摘もある。法務法人「ウォンゴク」のチェ・ジョンギュ弁護士は「学校の過ちもあるが、どんぶり勘定式政策を展開する法務部に根本的な問題がある。移住民は増やしつつ、彼らを管理する責任は学校に転嫁し、残高証明書の維持など実効性のない部分を問題視することが果たして何の役に立つのかを追及しなければならない」と述べた。

イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1119996.html韓国語原文入力:2023-12-12 10:06
訳C.M

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