全斗煥(チョン・ドゥファン)など新軍部が1979年12月12日に主導した軍事反乱を取り上げた映画「ソウルの春」が、封切りから12日目の3日、累積観客数400万人を突破した中、最近全氏の遺骨が埋葬されるという噂が流れた京畿坡州市(パジュシ)は、市長が先頭に立って「決死反対」の立場を表明するなど、激しく反発している。
キム・ギョンイル坡州市長は1日、フェイスブックへの投稿で、「12・12軍事クーデターと5・18光州(クァンジュ)虐殺で大韓民国民主化の春を徹底的に踏みにじり、国民を虐殺した全斗煥の墓を坡州に建てようとする動きがある」と明らかにした。さらに「個人的に、また政治家として、全斗煥の遺骨を坡州に埋葬することに断固反対する」としたうえで、「これまで市に土地使用に対するいかなる問い合わせもなく、行政手続きも進められていないが、引き続き動向を調べ、厳正に措置していく」と付け加えた。
2021年11月23日、ソウル延喜洞の自宅のトイレで倒れて死亡した全氏の遺体は、現在延喜洞(ヨンヒドン)の自宅に臨時保管されている。全氏は生前の回顧録で「北朝鮮の地を眺められる前方のある高地に白骨としてでも残り、統一のその日を迎えたい」と記した。全氏の遺族が仮契約した葬地は坡州市長山里(チャンサンリ)のある私有地だという。
このようなニュースが伝えられると、坡州地域の11の市民団体は先月30日、坡州市庁前で記者会見を開き「坡州に虐殺者全斗煥が埋葬されることを必ず防ぐ」として反発した。彼らは「長山里は臨津江(イムジンガン)と北朝鮮の開城(ケソン)を見下ろす最高の眺望を備えた場所であり、各種平和統一行事を開いてきた南北和解の象徴的な場所で、坡州市民にとってその意味は特別な場所」だとし、「そのような長山里にクーデター、光州虐殺、軍部独裁、民衆弾圧の象徴である全斗煥が葬られる場所はない。さらに坡州のどこにも虐殺者全斗煥が安らかに眠る場所はない」と主張した。
実際、最近葬地として名指しされた長山里一帯には全氏の埋葬に反対する垂れ幕がかかっていた。
政界も埋葬の動きを阻止している。坡州を選挙区とするユン・フドク議員とパク・チョン議員(共に民主党)と同党の坡州市議員7人、京畿道議員2人など11人は1日、ソウル汝矣島の国会疎通館で記者会見を開き「(坡州に埋葬されることを)あらゆる方法でもって阻止する」と明らかにした。
特に彼らは「全斗煥は全財産が29万ウォン(約3万2800円)だと主張しながら、ゴルフ場に通い、追徴金1020億(約115億3200万円)と滞納税金30億(約3億3900万円)は結局納付しなかった」と指摘し、「今回(取り沙汰されている)墓地は1700坪で、地価だけで5億1000万ウォン(約5800万円)だというが、どの国民がそれを容認できるだろうか」と述べた。
「北朝鮮の地が眺められる前方のある高地に白骨としてでも残り、統一のその日を迎えたい」という回顧録の内容については、「北朝鮮と敵対的でなかったことは一度もなく、戦車と装甲車で権力を奪い取った独裁者が、統一を迎えたいということをどう理解できるだろうか」とし、「38度線を越える渡り鳥にも笑われるだろう」と指摘した。
一方、先月22日に封切りした映画「ソウルの春」は封切りから4日で観客数100万、6日で200万、10日で300万人を越え、封切り12日目の3日午前0時直後400万人を突破するなど、大ヒットしている。