「医師の人員を増やす根本的な解決策がなければ、地域の必須医療問題を解決する方法はありません」
木浦韓国病院のパク・インホ院長は22日、ハンギョレとの電話インタビューで、「少なくとも現在の医大定員(3058人)の30%(917人)以上は絶対に増員しなければならない。まず現定員の半分(1529人)以上まで増やした後、少しずつ減らしていく方法も考えられる」と話した。全羅南道木浦(モクポ)の総合病院である木浦韓国病院は、脳卒中や心筋梗塞などの応急患者も診療するが、近隣地域の務安郡(ムアングン)、珍島郡(チンドグン)、莞島郡(ワンドグン)はもちろん、順天(スンチョン)や麗水(ヨス)の応急患者が同病院を訪れる。
木浦韓国病院は以前まで24時間救急患者に対応していたが、最近は一部の科には救急患者を診療しない曜日や時間を設けた。医師不足のためだ。「以前より賃金ははるかに上がったのに、(医師)志願者はほとんどいません。この2~3年間でさらにひどくなり、半年から1年のあいだ欠員を埋められない場合もあります」。結局、被害は患者に回る。病院が救急患者を診ることができない曜日や時間に発生した救急患者は、診療を受けられるようになるまで待つしかない。パク院長は「(このような現実が)最も心が痛む」と話した。
全羅北道群山市(クンサンシ)にある総合病院の東群山病院のイ・ソンギュ理事長(大韓中小病院協会会長)も、「医師募集は非常に難しい。必須診療科はそれぞれ医師の獲得に必死なので、賃金は言い値で決まる」と話した。「心臓、脳、呼吸器などの重症患者をこれまで診ていた医師たちが離れて、2~3人勤務していたところに一人で残ることになり、手に負えない状況です。残った人員も大変さのあまりいつ退職すると言いだすか、いつも不安です。崩壊する一歩手前です」
彼らは、地域の必須医療危機の一番の原因として、18年にわたり3058人で維持されている医学部の定員凍結による絶対的な人材不足を挙げた。疲弊していく地域での勤務と小児青少年科・外科などの必須診療科を忌避する現象もますます増えている。特に、専攻医(レジデント)として研修を終えて専門医になる代わりに、所得と「ワークライフバランス」(仕事と生活のバランス)を求めて一般医として残り、美容皮膚科などの保険外診療をするケースが多くなった。
野党「共に民主党」のソ・ドンヨン議員室が各国立大学病院から提出を受けた今年7月基準の専攻医の現況によると、全国15カ所の国立大学病院(本・分院を区分)の25の診療科の専攻医の定員は計2632人だが、現役人員は14%足りない2267人だった。特に、小児青少年科は定員の45%、胸部外科は39%、産婦人科は27%足りないが、整形外科は不足人員はなく、皮膚科は4%のみの不足だった。大韓医学会の発表によると、専門医の合格者数は2011年から2020年までは2010年(3226人)に比べ95~109%の水準だったが、2021年、2022年にはそれぞれ90.1%、90.3%に減り、今年は87%(2807人)まで落ちた。
非首都圏で勤務する必須診療科の医療関係者は、まず医学部の定員を増やし、増えた人数が地域や必須医療に定着できる対策を講じることが急務だと指摘した。パク・インホ院長は「地域の医科大学に地域の人材を多く選抜し、卒業生が地域で一定期間義務的に勤務できるようにする方策などを考慮しなければならない」と述べた。仁川市(インチョンシ)、富川市(プチョンシ)の総合病院である世宗病院のパク・ジンシク理事長は「医大の定員が増えれば(美容皮膚など)保険外診療の経済的利益が減り、必須医療を選択する人員がいるだろうが、かなり時間がかかるため、必須医療分野が持ちこたえられるようにする措置も必要だ」と述べた。