韓国政府は深夜の時間帯(0~6時)の集会とデモを全面禁止する内容を盛り込んだ改正法案を発議すると発表した。裁判所が警察の「集会デモ制限」に相次いでブレーキをかけたことを受け、憲法と裁判所の判決の趣旨に反する法改正を通じて、集会の自由を萎縮させようとしているという批判の声があがっている。
ハン・ドクス首相は21日、国政懸案関係長官会議を開き、集会およびデモに関する法律(集示法)の改正などの内容を盛り込んだ「集会・デモ文化改善案」を推進すると発表した。ハン首相は「深夜集会と過度な騒音は国民の平穏権を侵害し、交通量が多い時間帯の道路占拠は多くの一般国民に不便をもたらしている」とし、「不法な集会・デモは多くの警察力を消耗し、警察の治安能力まで弱める恐れがある」と述べた。
政府が発表した改正対象法律は、集示法と屋外広告物法など計8件。深夜時間帯における集会の全面禁止をはじめ、騒音測定方式を強化する騒音規制の強化▽事前に集会届の内容を道路管理庁に通知する手続きの新設▽通勤時間帯など主要道路での集会・デモの判断基準の具体化▽秩序維持線の損壊・侵犯行為に対する処罰の強化など。
法改正と関係なく警察は集会・デモへの対応を強化することにした。集会届を出した段階から制限・禁止の通告および解散命令に応じない場合、直接解散措置などを積極的に検討する。大規模集会にドローン採証を導入し、集会と行進が頻繁な地域には官署別に集会・デモ捜査担当チームも運営する。違法行為による物的被害と警察官の人的被害にまで積極的に損害賠償も請求する方針だ。
市民社会団体では集会の萎縮をもたらしかねないと懸念している。警察の集会禁止通告処分に対抗する訴訟を数件担当してきたパク・ハンヒ弁護士は「集会禁止通告が司法府の判断で次々と阻まれたことを受け、立法を通じて司法府判決を遮断しようとしている」とし、「法改正ができなくても、『集会を行うと、犯罪者になるかもしれない』という萎縮効果を狙ったもの」だと批判した。