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韓国政府、鉄道労組ストに「鉄道警察の代替投入」推進…「経験なし、安全に問題」批判

登録:2023-08-28 08:41 修正:2023-08-28 10:00
光州松汀駅に入線する水西発高速鉄道(SRT)/聯合ニュース

 韓国で鉄道の民営化に反対して9月に行われる予定の全国鉄道労働組合(鉄道労組)の全面ストライキに対して、政府が機関士の代替要員として「鉄道特別司法警察官(特司警)」を教育中であることが確認された。列車運行の専門人材ではない特司警を短期の教育のみで投入した場合安全に問題が生じる、政府が鉄道労働者の争議権を侵害している、との批判の声があがっている。

 共に民主党のチャン・チョルミン議員室が27日にハンギョレに公開した「非常時の鉄道輸送力確保のための外部(特別司法警察など)代替機関士教育計画(案)」(7月に韓国鉄道公社=KORAILが立案)によると、KORAILは「SRT運行路線拡大のメディア発表により、鉄道労組にストライキの気運が広がっているため、非常時に備えて運行人員の事前確保が必要」であることなどを理由として、代替機関士教育を推し進めていることが明らかになった。KORAILは7月10日に国土交通部所属の鉄道特司警15人に対する機関士実務修習教育を開始し、9月中に課程を終えて現場に投入する方針だ。

 鉄道労組は28~30日の3日間にわたり、組合員に対して争議行為の賛否を投票で問う。賛成多数となれば、これらの特司警が代替機関士として投入されことになる。KORAILは9月4日~11月3日の8週間にわたって、さらに15人の鉄道特司警を教育することを予定している。また国家鉄道公団、交通安全公団などの関連機関の15人の職員に対する代替機関士教育も進める計画だ。

 これは鉄道の安全問題と直結しうる。教育対象の鉄道特司警は鉄道車両の運転免許を保有しているが、実際の運転業務の経験はない。鉄道労組は「運行線路を知っていなければ何も知らないに等しい。事実上のペーパードライバーだが、彼らに短時間で実務を修習させて現場に投入するというのは、政府の安全不感症」だと述べた。2016年の鉄道労組ストでは、専門性のない軍の人材が投入されたことで盆唐(プンダン)線の往十里(ワンシムニ)行き列車が1時間以上止まり、乗客が閉じ込められる事故が発生している。

 このようなやり方の代替人材投入は、労組の争議権を無力化する違法行為である可能性も高い。2016年の鉄道労組ストで朴槿恵(パク・クネ)政権は軍からの代替人材を投入した。これについてソウル中央地裁は2017年、代替人材投入の根拠として国土交通部などが提示した災害安全法、鉄道産業法に関して「争議行為が必須維持業務を順守した状態で行われた以上、国家インフラシステムのまひなどの社会災害や非常事態に当たると考えることはできない。軍人材の投入を決定した正当な法的根拠とはなりえない」と判決を下している。

 チャン・チョルミン議員は「国土部傘下の鉄道司法警察官をスト代替人材として投入するための教育訓練は不適切だ」とし、「鉄道労組の正当な争議権が国の公権力によって違法に侵害されることはあってはならない」と述べた。鉄道労組も「ストに備えるとの目的で『警察力』を動員するというのは、憲法的権利である争議権を侵害する非常に危険な発想」だと語った。

 KORAILは「鉄道司法警察隊所属の人材は鉄道車両免許所持者を対象に7月から運転実務を修習中であり、修習後に韓国交通安全公団で鉄道車両(運転)認証を予定している。その後は所属の教育後に業務に投入される」と説明している。

キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1105995.html韓国語原文入力:2023-08-28 05:00
訳D.K

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