北朝鮮は20日、米戦略原子力潜水艦(SSBN)の42年ぶりの釜山(プサン)寄港について、北朝鮮の核武力政策法が明らかにした5つの「核兵器使用条件」のうちの1つに当たると明らかにした。
北朝鮮のカン・スンナム国防相は同日夜に発表した談話で、「米軍部側の戦略原子力潜水艦を含む戦略資産展開の可視性増大が、わが国の国家核武力政策法令で明らかになった核兵器使用条件に該当しうるということについて想起させる」とし、「(北朝鮮の)核使用の教理(基本原則)は、国家に対する核兵器攻撃が強行されたか、あるいは使用が差し迫っていると判断される場合、必要な行動手続きを進めることを認めている」と述べた。「朝鮮中央通信」が報じた。カン国防相は「米軍側は自分たちの戦略資産があまりにも危険な水域に入ってきたことを認識しなければならない」とも述べた。
カン国防相は韓国に向かっても、「わが国の『政権終末』を口にする米国と『大韓民国』の軍部ならず者集団に、再び厳重に警告する」とし、「朝鮮民主主義人民共和国への軍事力使用は、米国と『大韓民国』において自分たちの存在について再び考える余地すらないほど最も悲惨な選択になるだろう」と脅した。
これは今月18日、韓米核協議グループ(NCG)の初会議に合わせて、米海軍のSSBN「ケンタッキー」が釜山の作戦基地に入港し、19日には尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が潜水艦に乗り込み「北朝鮮政権の終末」を警告したことに向けられたものだ。
昨年9月8日、北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長が出席したなか開かれた最高人民会議第14期第7回会議で、「朝鮮民主主義人民共和国に対する核兵器またはその他の大量殺戮兵器攻撃が強行されたか、あるいは差し迫っていると判断される場合」など5つの核兵器使用条件を明示した核武力政策法を制定した。
米国防総省報道官は同日、カン国防相の談話に関する反応について尋ねた「聯合ニュース」に対し、「我々は北朝鮮の攻撃に備えた拡大抑止を提供し、朝鮮半島の平和と安保を維持することに専念するという意志を非常に明確にしてきた」と述べ、北朝鮮の主張に反論した。
「核兵器使用条件に該当する」というカン国防相の言及が出たことで、朝鮮半島の緊張は急激に高まる見通しだ。朝鮮半島情勢は最近、北朝鮮の「火星-18型」大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や中国・ロシアの東海(トンヘ)上での合同演習、米SSBNの釜山入港などが重なり、軍事対決ムードが色濃くなっている。韓米は18日、龍山(ヨンサン)大統領室で北朝鮮の核の脅威に対抗する核協議グループ初会議を開き、「米国と同盟国に対する北朝鮮のいかなる核攻撃も、北朝鮮政権の終末に帰結するだろう」と警告している。