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韓国の環境団体「汚染水視察団を解体し、海洋法裁判所に日本を提訴すべき」

登録:2023-06-01 06:29 修正:2023-06-09 10:53
「汚染水投棄阻止共同行動」主催の懇談会 
「トリチウム濃度、微々たるものでも発がん物質」
市民団体と環境団体が集まった「日本の放射性汚染水の海洋投棄阻止共同行動」が5月31日、ソウル中区のフランシスコ教育会館で記者懇談会を開き、政府が派遣した福島原発汚染水視察団は日本政府の汚染水海洋投棄の手助け役だと批判した=ナム・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 先月31日、福島原発汚染水の韓国専門家視察団が行なった発表と関連し、韓国の環境団体が日本政府の汚染水投棄を手助けするものだと批判した。

 市民団体と環境団体が集まった「日本の放射性汚染水の海洋投棄阻止共同行動」は31日、ソウル中区のフランシスコ教育会館で記者懇談会を開き、福島原発汚染水専門家視察団を解体し、日本の汚染水海洋投棄の件を国際海洋法裁判所(ITLOS)に提訴するよう政府に求めた。

 加湿器殺菌剤やアスベスト(石綿)など安全保健について研究してきたソウル大学のペク・ドミョン名誉教授(保健学)は、同日の懇談会に出席し、「視察団は主要設備が設計通りに建てられたのか見てきたというが、設計自体については質問しなかった」と指摘した。ペク教授は、日本政府が海洋放出の基準値を設定するにあたり、一年間の露出を想定した点や、原発汚染水の貯蔵タンクで19個の核種だけを測定した点などについて(専門家視察団が)質問しなかったとし、「そもそも日本の仮定と設計が(健康被害について)最大限の注意を払っていない」と批判した。

 日本が排出する原発汚染水のトリチウム濃度は微々たるもので安全だという一部の主張に対し、ペク教授は「トリチウムは放出エネルギーが少なく、健康への影響は大きくないと知られているが、依然として遺伝毒性と生殖毒性のある発がん物質だ。体を構成している成分と結合すれば、より大きな生物学的効果が現れる可能性もあるという反論が提起されている」と説明した。

 原子力安全分野を専門とする「原子力の安全と未来」のイ・ジョンユン代表は、日本は福島原発事故以降どれだけ多くの放射性物質が海と地下水に流れたのかについて情報を発表していないとし、「海と地下水への流入総量を提示し、これを分析・評価して、今後の生態環境にどのような変化をもたらすのかを考えなければならない」と指摘した。特に「最も重要なのは、コリウム(炉心溶融物)が建物の床を突き破って地中に染み込み、地下水と交流しているという点」だとし、「日本はこれに関する解決策を示す取り組みをおろそかにしている」と指摘した。コリウムは使用済み核燃料が溶けて流れ落ちた物質で、専門家たちはこれを福島第一原発で生成される放射能の主な源泉だと指摘する。これについて、イ代表は「日本は公海上に汚染水を捨てる破廉恥な行為をやめ、この問題を独自に解決しようとせず、国際社会に協力を求めるべきだ」と主張した。

 福島原発汚染水視察団が日本側から受け取った多核種除去設備(ALPS)のデータはあまり意味がないという主張も提起された。環境運動連合のアン・ジェフン活動処長は、この日ハンギョレとの電話インタビューで、「東京電力ですでに遂行された、サンプル数の少ないデータ」だとし、「ALPSで本当に核種の除去がうまく行われるのかどうかを共同実験し、何回行って濃度がこれだけ減ったということが示されなければ、信頼性を得られなくなるだろう」と指摘した。ソウル大学のソ・ギュンリョル原子核工学科名誉教授も「安全施設の異常点検をするために(視察団を)派遣したわけではない」とし、「ALPSの性能を見るためには、そこでろ過される不純物、セシウム、ストロンチウムなどがきちんとろ過されているかを確認する必要があるが、それができなかった」と指摘した。

ナム・ジョンヨン、キ・ミンド記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1094078.html韓国語原文入力:2023-05-31 17:29
訳H.J

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