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福島原発汚染水の採取・検査・民間専門家なし…韓国の「3無視察団」

登録:2023-05-20 04:14 修正:2023-05-30 23:33
17日午前、ソウル光化門広場で、「日本の放射性汚染水の海洋投棄を阻止するための共同行動」の主催で開かれた広島G7サミット対応記者会見で、参加者たちが放射性汚染水の海洋投棄の中止などを要求している/聯合ニュース

 韓国政府は19日、福島第一原発の「汚染水管理現況」を点検するための専門家視察団が21~26日に日本を訪問すると発表した。視察団は日本に独自の検査装備を持ち込まず、汚染水などの試料採取も行わない。現場で目で確認し、日本側に必要な資料を要請する水準になる可能性が高く、汚染水の海洋放出の正当性を持たせる「手助け役」として悪用されるという韓国国内の懸念を払しょくするのは難しい見通しだ。

 国務調整室のパク・クヨン国務第1次長は同日、政府ソウル庁舎で記者会見を開き、韓国原子力安全技術院(KINS)の原発施設および放射線専門家19人と韓国海洋科学技術院(KIOST)の海洋環境放射能専門家1人など計21人で構成された「専門家視察団」が、21日に日本に向けて出国すると明らかにした。視察団の団長はユ・グクヒ原子力安全委員長が務める。

 視察団の訪日は5泊6日だが、実際の活動は22~25日の4日間。22日には東京電力や日本原子力規制委員会など関係機関と技術会議および質疑応答を行い、23~24日には福島第一原発の汚染水管理実態などを確認する。25日には日本の関係機関とさらに詳しい内容の技術会議と質疑応答を行う。

 今回の視察の核心である「放射能汚染水」の管理実態と関連し、パク次長は「多核種除去設備(ALPS)を最も集中的かつ重点的に見る計画だ」とし、「ALPSが放射能核種を除去する手続きや現場の設備、資料などを十分把握できるよう(日本側に)求める」と述べた。

 しかし、汚染水の安全性を確認するのに必要な条件は満たされていない。まず、視察団の現場訪問の結果に対する社会的共感の確保に必要な民間専門家の現場訪問が、日本側の反対で実現しなかった。太平洋島しょ国18カ国が集まった「太平洋諸島フォーラム」(PIF)が2月に福島第一原発の現場視察を行った際、米国などの民間専門家と同行した前例にも及ばない。PIFは現場の点検直後、「海洋放出の安全性を判断するには不十分だ」とし、日本政府に「放出の延期」を要請した。

 これを意識したかのように、パク次長は「民間専門家を含む10人内外の諮問グループを別途構成し運営する計画」だと述べた。

福島第一原発敷地のタンクに保管されている放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 自主検査装備の持ち込みと現場試料の採取も行われない。ユ・グクヒ委員長は「我々の装備を持ち込んで確認・点検すべき事項はない」と述べた。ユ委員長は試料についても「国際原子力機関(IAEA)が昨年、汚染水関連試料と福島原発沖の試料(環境試料)を採取し、韓国(原子力安全技術院)など4カ国に交差分析を依頼しており、試料はすでに持っている」と語った。さらに「汚染水の試料分析結果はすでにIAEAに通知しており、環境試料は分析中」だと付け加えた。

 このような限界は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が7日に日本の岸田文雄首相と会談した後、現場「検証団」ではなく「視察団」の派遣に合意したと発表した時から予想されていた。

 グリーンピースのキャンペイナー、チャン・マリ氏は「ALPSの処理能力と放出された汚染水が生態系に及ぼす生物学的影響が検証されなければならないのに、まともな資料もなく施設を見るだけではきちんとした視察とは言えない」とし、「政府が発表する視察結果が、国民が満足できる水準になるかは疑わしい」と語った。

 パク次長は「IAEAが(日本の福島原発汚染水の海洋放出計画と関連した)最終検証結果を6月末に発表するだろう」とし、「我々もほぼ同じ時期に活動結果を国民に報告する」と述べた。

 日本の汚染水は福島第一原発敷地に設置された1060個以上の巨大なタンクに保管されているが、日本政府はこれらを早ければ今夏から30~40年かけて海に放出する方針だ。

イ・ジェフン、キム・ジョンス先任記者、シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1092536.html韓国語原文入力:2023-05-20 00:23
訳H.J

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