韓国労総(韓国労働組合総連盟)が今年26億ウォン(約2億6千万円)規模の政府の国庫補助金支援事業から脱落した。政府が労組会計資料の未提出を口実に、労働界圧迫のために本格的に資金源を握って揺さぶったことで、労組の支援を受けてきた「労働弱者」に被害が及ぶと憂慮する声があがっている。
1日の本紙の取材を総合すると、雇用労働部は先月28日、韓国労総本部に送った公文書「2023年労働団体支援事業審査結果通知」で「補助金申請に対する選定審査委員会による審査の結果、支援対象事業者に選定されなかった」と明らかにした。政府は毎年、労使共生・協力増進の名目で労働団体と非営利法人を選び、国庫補助金を支給している。今年は労働団体に44億7200万ウォン、非営利法人に11億3千万ウォンの規模で、3月に支援事業の公募申請を受けた。韓国労総も毎年26億ウォン規模の補助金支給を受けてきたが、今年は脱落した。
政府が韓国労総本部に支援事業脱落を通知した背景には「労組会計未提出」がある。政府は今年2月、「会計関連法令上の義務を順守しない団体は(支援事業の)選定から排除する」という方針を明らかにした。韓国労総は「政府の会計関連資料の提出要求は自主性を侵害する反憲法的行為」だとして資料提出を拒否した。
問題は、支援事業脱落が総連盟本部ではなく地域の脆弱な労働者の権利保護に被害を及ぼしかねないという点だ。韓国労総は昨年、事業支援金として受け取った補助金26億ウォンのうち14億7700万ウォンを全国19カ所の地域労働教育相談所の運営(法律相談・救助事業)に使った。残りの補助金は労組幹部の教育、政策研究事業などに使われた。昨年だけで2万5千人余りの労働者が韓国労総の運営する全国の地域相談所を利用した。政府の補助金中断により、相談業務を行う相談所の職員30人余りは雇用不安に直面することになった。
韓国労総富川教育労働相談所のイ・ドンチョル相談室長は「最も脆弱な現場にいる労働者がわらをつかむ思いで来るところが地域相談所」だとし、「ただでさえ常に人員不足なのに、予算が切られるかもしれないという不安は相談サービスの質を落とすことになるだろう」と話した。韓国労総の報道担当のイ・ジヒョン氏は「当分は総連盟の一般予算で相談所を運営するつもりだが、以後事業をどのように進められるかは分からない」と語った。
労働部は、会計法令を守らなかった労組の代わりに今年の支援事業予算の50%を新規参加機関に配分すると明らかにしたが、これらの申請率は著しく低いことが分かった。今回の支援事業選定に関する予算44億ウォンのうち、選定通知を受けた機関の予算規模は8億ウォンであることが明らかになった。労働部関係者は「会計関連義務を順守していない団体は今回の公募で選定されなかった」とし「(44億ウォンのうち)残った予算に関しては(5月中に)2次公募申請を受けつける」と明らかにした。