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尹大統領、北朝鮮住民の人権について言及し「1ウォンたりとも渡せない」

登録:2023-03-29 06:20 修正:2023-03-29 07:08
尹錫悦大統領が28日、龍山大統領室で開かれた国務会議で発言している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は28日、「統一部は今後、北朝鮮への一方的な支援を中断し、北朝鮮が核開発を進める状況では1ウォンたりとも渡せないという点を明確にしなければならない」と指示した。尹政権発足後、「人道支援は政治・軍事的状況と関係なく進める」と強調してきた政策基調と衝突するとして批判の声があがっている。

 尹大統領は同日、龍山(ヨンサン)大統領室で開かれた国務会議でクォン・ヨンセ統一部長官から「北朝鮮人権報告書」の公開発行計画などについて報告を受けた。同報告書は2016年に北朝鮮人権法が制定された翌年から毎年非公開で発行されてきたが、尹錫悦政権発足後は北朝鮮の劣悪な人権実態を広く知らせる必要があるとして、今年から「公開発行」に切り替えた。

 報告を聞いた尹大統領は、「北朝鮮の人権の実状を公開することは、国家安保にも非常に重要だ。国家の正当性がどこにあるかを示すからだ」とし、「一方的な支援の中断」を指示した。大統領室のイ・ドウン報道官がブリーフィングで明らかにした。尹大統領はまた「北朝鮮の人権と政治、経済、社会的実状などを多様なルートで調査し、国内外に知らせることが、安全保障と統一の重要なロードマップ」だと強調した。また24日、「西海(ソヘ)守護の日」行事で面会した遺族たちが「日本には口癖のように謝れと言う人たちが、我が子を殺した北朝鮮にはなぜ謝罪を求めないのか」と訴えたことに触れ、「このような見解が一般に広がらなければならない」と述べたという。

 尹大統領がこのような強硬メッセージを発信したのは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長の「兵器級核物質の生産拡大」指示など、北朝鮮の最近の武力示威に向けられた対応とみられる。尹大統領の発言があまりにも強行だったため、今後北朝鮮に対する人道支援まで萎縮するのではないかという懸念の声があがっている。複数の元政府高官は本紙の取材に対し、「北東アジアの平和において、南北関係の安定的な管理は不可欠な先決条件だ。『1ウォンたりとも渡せない』という発言は、大統領としては絶対避けるべき感情的対応だ」と批判した。キム・チャンス元大統領府統一秘書官は、尹錫悦政権の北朝鮮政策である「大胆な構想」にも朝鮮半島資源・食糧交換プログラムなどが含まれている点に言及し、「大胆な構想が大胆ではないという意味」だと指摘した。

 統一部は尹大統領の同日の発言が「人民の困窮を無視し、核・ミサイル開発だけに没頭する北朝鮮政権に断固たる立場を表明したもの」だとし、「人道支援は一貫して進めるという従来の立場には変わりがない」と収拾に乗り出した。大統領室関係者も「人道支援の原則は変わらない」と述べた。

キム・ミナ記者、イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1085487.html韓国語原文入力:2023-03-28 21:44
訳H.J

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