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列車、海、地下からも発射…北朝鮮、さらに威力的な「核による反撃」を誇示

登録:2023-03-27 06:34 修正:2023-03-27 16:36
ニュース分析ㅣ多様化したミサイル発射実験
北朝鮮が21~23日、金正恩国務委員長が見守る中、「核無人水中攻撃艇」の水中爆発試験と戦略巡航ミサイル核弾頭模擬空中爆発試験をそれぞれ行ったと発表した/聯合ニュース

 今月13~23日に実施された韓米合同演習「フリーダムシールド(FS・自由の盾)」を狙った北朝鮮の武力示威が多様化し、対応のレベルも高まっている。昨年末の韓米、韓米日共同訓練の際には短・中・長距離など各種のミサイル発射に重点を置いた北朝鮮が、ここのところ様々な種類の非対称戦力を動員した軍事行動を展開し、威力を誇示している。

 北朝鮮は、「フリーダムシールド」の開始を基点に、潜水艦発射巡航ミサイル(12日)▽大陸間弾道ミサイル(16日)▽巡航ミサイル(22日)▽核無人水中攻撃艇(21~23日)の実験などの武力示威を行った。北朝鮮は弾道ミサイルだけでなく、巡航ミサイルや自爆型無人潜水艇にも核兵器を搭載できるようになったと主張した。このような北朝鮮の動きには、韓米の探知、打撃、迎撃を避けてミサイルを発射する発射手段(プラットフォーム)を多様化したことを示す狙いがあるとみられる。北朝鮮はかつて主に使用していた車両形態の移動式ミサイル発射台(TEL)だけでなく、列車、海中潜水艦、貯水池、ゴルフ場にある池の付近、野山の地下格納庫からもミサイル発射が可能であることを示した。

 これは昨年の北朝鮮の行動とは全く違う。昨年11月、北朝鮮は韓米合同空中演習(ビジラントストーム)に対応し、東海(トンヘ)・西海(ソヘ)への砲撃、短距離ミサイルの発射、大規模空軍訓練、戦術核運用部隊の訓練、東海北方限界線(NLL)以南のミサイル発射などで対抗した。しかし、最近の北朝鮮の武力示威は当時よりはるかに威力的であり多様だ。

最近の北朝鮮のミサイル発射などの武力示威 //ハンギョレ新聞社

 特に北朝鮮は18~19日、「核反撃仮想総合訓練」を通じて、戦術核弾頭の搭載が可能だという戦術弾道ミサイル(KN23・イスカンデル)を発射し、核爆発操縦装置と起爆装置の動作を検証したと主張した。21~23日には核無人水中攻撃艇の水中爆発実験を発表するなど、核戦力を誇示した。

 北朝鮮はこれらを通じて反撃能力の強化による戦争抑止力の確保を見せつけようとしているものとみられる。

 北朝鮮が強調する「核による反撃」は、20世紀に米国とソ連が核兵器で対決した冷戦時代の核抑止戦略である第二撃(セカンドストライク)論理に基づいている。先制攻撃で相手が壊滅せず核による反撃(第二撃)が可能な場合、自分も共に破滅(相互確証破壊)するため、いずれも先制攻撃ができなくなるという論理だ。北朝鮮は「第二撃」の能力の確保に取り組み、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に続き潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)を開発している。海中に隠れている潜水艦と核無人水中攻撃艇は、第二撃の戦力だ。先制核攻撃を受けても、海中潜水艦などは生き残り、SLBMなどを発射して相手を壊滅できる。

 「労働新聞」の報道によると、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は20日、「核反撃仮想総合訓練」を現地指導する際、「我々が核を保有している国という事実だけでは戦争を実際に抑止できない」とし、「いつでも敵に恐れられる、迅速かつ正確に稼動できる核攻撃態勢を完備してこそ、戦争抑止の重大な戦略的使命を果たすことができる」と述べたという。

 さらに北朝鮮は、ミサイルを地下ミサイル格納庫(サイロ)に配備し、有事の際の生存性を高めるために移動式車両や列車、貯水池などに分散配置してミサイル発射プラットフォームを多様化している。北朝鮮が12日に発射した潜水艦発射巡航ミサイルは、北朝鮮が2021年から開発してきた戦略巡航ミサイルを潜水艦で使用できるよう改良したものとみられる。地上で発射していたミサイルを海上でも活用すれば、兵器を新たに開発する時間と費用を減らし、短時間で第二撃の能力を向上させることができる。

 北韓大学院大学のキム・ドンヨプ教授は「北朝鮮が弾道ミサイルだけでなく、超大型放射砲、巡航ミサイル、無人水中攻撃艇まで核起爆装置を結合して実際に爆発する姿を見せた点に注目し、懸念している」とした上で「北朝鮮が核攻撃手段を多様化すれば、それだけ量的増加も必要であるため、核物質の増加に邁進するだろう」と語った。

 韓国国防部は、北朝鮮の核弾頭小型化技術と戦術誘導兵器搭載の可能性について「関連技術が相当な水準に進展したとみているが、戦術誘導兵器体系に搭載できるとは判断していない」と述べた。北朝鮮の主張とは違って、まだ核弾頭を小型化し、ミサイルなどに搭載して実戦配備した状態ではないという意味だ。

 一方、23日に「フリーダムシールド」を終えた韓米は来月初めまで演習を続ける。韓米の海軍・海兵隊は今月20日に始まった師団級連合上陸訓練の「双龍訓練」を来月3日まで継続する。

 北朝鮮は強く反発した。北朝鮮の対外宣伝メディア「わが民族同士」は「南朝鮮傀儡の好戦狂たちが米帝との狂乱的な合同軍事演習で朝鮮半島情勢を危機一髪の戦争の淵に追い込んでいる」とし、「相手が誰かも知らずに銃口を突きつけているのだから、事態はさらに破局に向かわざるを得ない」と主張した。似たような性格のメディア「メアリ(こだま)」も「好戦狂たちの狂気に満ちた策動によって朝鮮半島で戦争勃発の導火線は刻々と燃え上がっている」と述べた。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1085229.html韓国語原文入力:2023-03-27 02:44
訳H.J

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