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12年前に止まった韓日「シャトル外交」…尹大統領の再始動で「急発進」

登録:2023-03-17 04:34 修正:2023-03-17 07:04
1泊2日の日程で日本を訪問した尹錫悦大統領が16日午後、儀仗隊による栄誉礼の後、東京の首相官邸で岸田文雄首相と少人数会談の会場に向かっている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が16日、韓国の首脳としては約4年ぶりに日本を訪れ、韓日首脳会談を行った際に強調したのは、両国首脳の「シャトル外交」の復元だ。2国間会談のために韓国大統領が訪日したのは、李明博(イ・ミョンバク)政権以来11年3カ月ぶり。大統領室は9日に尹大統領の訪日日程を発表した際に、「12年間中断していた韓日両国の首脳交流が再開され、韓日関係の改善と発展にとって重要な一里塚となるだろう」と意味付けしている。

 韓日の首脳が相手国との間を行き来しながら会う「シャトル外交」という言葉が登場したのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2004年のことだ。その後、李明博(イ・ミョンバク)政権(2008~13)時代には両国首脳が20回も行き来し、韓日関係に「春風」が吹いていたが、2011年12月の京都での韓日首脳会談以降は、この日まで一度もシャトル首脳会談は実現していなかった。当時、李大統領は懸案だった日本軍「慰安婦」問題とについて、日本の野田佳彦首相に「日本政府が認識を変えれば直ちに解決できる問題」と決断を促し、野田首相は「我々も人道主義的配慮で協力してきた」と反論したことで、硬直したムードが造成された。翌年の2012年6月に李明博政権は韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を推進しようとしたが、批判の世論に押されて白紙撤回。8月には李大統領が政府樹立後、韓国大統領としては初めて独島(トクト)を電撃的に訪問したことで、両国の対立はさらに深まった。その後、韓日首脳会談は朴槿恵(パク・クネ)政権時代に3回、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に6回実現しているが、文前大統領が2018年に韓中日首脳会議への出席のために大阪を訪問して安倍晋三首相と会ったことを除けば、全て第三国で行われた。

 これは韓日関係が悪化の一途をたどってきたことを意味する。朴槿恵政権時代には韓日「慰安婦」合意(2015年12月)、GSOMIA(2016年11月)などを締結して関係改善に乗り出したが、日本が2018年10月の韓国最高裁(大法院)の「日帝強占期の強制動員被害者による損害賠償請求訴訟」での原告勝訴判決に反発し、破綻の危機に直面した。日本政府は2019年夏の半導体生産に欠かせない高純度のフッ化水素などの「3大品目」に対する輸出規制措置、ホワイト国(現在は「グループA」、輸出管理優待国)からの排除措置を相次いで取り、両国の信頼関係すらも地に落ちた。韓国政府による世界貿易機関(WTO)への提訴、GSOMIA終了の「条件付き延期」などの超強硬対応により、対話チャンネルは閉ざされたままとなった。安倍晋三首相は文在寅政権による「朝鮮半島平和プロセス」の各過程ごとに対北朝鮮強硬論を掲げ、反対の立場を示した。

 尹錫悦政権の成立後、対日政策は180度変わった。尹錫悦大統領は大統領選挙の過程ですでに、韓日の未来に向けた協力関係の構築▽首脳シャトル外交の復元▽歴史・主権問題での堂々とした立場の堅持▽未来世代を中心とする両国市民同士の開かれた交流の拡大を公約として提示していた。当選後は、昨年9月の国連総会への出席を機として米ニューヨークで韓日略式会談(日本政府は「懇談」と規定)を、11月の東アジア首脳会議への出席のために訪れたカンボジアのプノンペンで首脳会談を成功させた。ニューヨーク会談の際には、尹大統領が岸田首相のいる会議場を自ら訪問するなどしたため、低姿勢だとして「屈辱外交」という批判を受けてもいる。

 尹大統領は今回の来日のために、歴史問題などの日本が敏感に考えている事案に対する言及を最小限に抑えてきた。三一節記念演説では、強制動員被害者に対する賠償問題などには言及せず、「日本は過去の軍国主義侵略者から『協力パートナー』へと変化した」と語っている。6日には、日本政府による謝罪や被告戦犯企業の賠償参加のまったくない強制動員被害者に対する賠償問題の解決策を発表。それから10日後のこの日、1泊2日の日程で訪日した尹大統領は、安保と経済における協力というキーワードを成果として掲げようと躍起になっている。

 大統領室は今回の尹大統領の訪日を機に、韓日関係が最悪の状況に直面したのは文在寅前政権時代であるということにも改めて触れている。大統領室の高官は15日、今回の首脳会談を通じて共同宣言が発表されない理由について「2018年以降は悪い関係が増幅されてきたため、様々な事件によって不信感が高まった」、「この間の立場を整理し、精製された文言を入れるには時間が足りない」と語った。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1083929.html韓国語原文入力:2023-03-16 17:19
訳D.K

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